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 4月の米株はFed関係者のハト化示唆などもあって延々とゴルディロックを演じた。本ブログが最後に示したS&P 500の2860レジスタンスはあっさりブレイクされ、2018年高値を更新した。1年あまりをかけたヘッドアンドショルダーの右肩が3月にブレイクされたことをもって、過去最高値更新は時間の問題となっていたが、あっさり更新してしまったわけだ。筆者などは途中で気持ちが揺らぐことがあっても基本的に2400台から押し目買いを推してきたので、景況感の1月底入れ3月反発を見てもあまり高値を追いかけたくなかったし、たとえ最高値を更新して俗に言う「新高値に売りなし」の図となってもその気持ちは変わらない。2018年9月も新高値は売りだったではないか。
 
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 景況感をクオンタメンタルに分析した結果かわからないが、1-3月期の米株の戻り局面ではいわゆる投信・ETFは(つまりその裏にあるアセットアロケーターは)株を淡々と売り続けた。リスクパリティファンドも年末の底で振り落とされていたことだろう。では代わりに誰が買い上げたのかというとCTAと企業自身の自社株買いと思われる。そしていい加減指数が戻りきったところでクオンタメンタルかリスクパリティか知らないがアセットアロケーターが買い戻し始めたようだ。代わりに持っていた国債もゴルディロックで調子が良かったので気持ちにも余裕があるのだろう。特に4月の米株の下がらなさは異常だった。
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 しかし、一通りショートカバーが済んだところで「新高値に売りなし」だからと3000代を新たに画餅しにいく気にはあまりなれない。景況感は米国は相対的に少しマシだとしてもグローバルで減速しているのは事実であり、Fedの利上げ停止、ないしは利下げ観測(に由来するPERの上昇)のみを頼りに株価が景況感を無視して上昇するとしても追いかける気はあまりしない。
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 またFedのハト化に伴いVIXにも投機的なショートポジション(ボラティリティが上がらないことにベットするブルポジション)が積み上がっている。4月にはVIX先物の投機的ショートポジションが過去最大となった。これは何かのショックがあった場合に押すな押すなとなるリスクの高まりを示している。VIXの数字が上に飛んだ場合、リスクパリティなどのアセットアロケーターも押すな押すなとなる。もっとも、前回の記録的なショートが作られたのは2017年9月であり、そこから現にボラティリティは抑制され、2018年2月のVIXショック前にはVIXショートは既に畳まれ始めたので、記録的なショートそのものが直ちにショートカバーを誘発するわけではない

 テクニカルには、冒頭のチャートに戻ると週足では下ヒゲ陽線で新高値を取った後に下ヒゲを下に割れている。上海株などと比べると確かに米株の下がらなさ(特に昨日)は絶望的だったが、それはあくまでも相対的な話であり、更に日本株の「出来高が伴った下落」が加わっても米株がずっと買い方だけ群がる展開が続くかはわからない。「ヘッドアンドショルダーの右肩ブレイクから新高値まで上昇」サインは実際に新高値を取ったことから役目を終えている。最悪新高値の2950を再び取ったら初めて追いかけるつもりで手を出さずに見守るのも手かもしれない。再び新高値を取った場合、ようやく2018年から続いた「新高値は売り」のジンクスが打破されることになる。ただ、景況感が一応は戻っており暴落も遠そうなので大きく押したらまた押し目買いで良さそうだ。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。