先週のS&P 500テクニカル記事では「崩れやすい需給には見えない」「これで週足上ヒゲの3022レジスタンスが更に3008まで降りてくる。日足では水曜の下ヒゲ陽線が台無しにされたため2990もレジスタンスとなる。しかし下を売り崩せそうなイメージもないため、「どちらの方向にも深追いは不要」という前回の観測は継続」としていたが、その後指数は迫ってくるレジスタンスから逃げるように、悪かったISMをきっかけに下にクラッシュした。もっとも、恐らくはポジショニングが軽いため、クラッシュしたところでは怒濤の押し目買いが入り、全戻しまではいかないにしても長い下ヒゲで引けている。「深追いは不要」は合っていたが、正直もう少し小動きを想定していた。
火曜にISM製造業が悪いと判明した後、ゲームはシンプルであった。「製造業は景気悪いが消費が堅調なので非製造業は堅調」説に大半の市場参加者が縋り付いていたところ、ISM非製造業は良くても出尽くし、悪いとリセッション懸念が一気に盛り上がるということでリスクオフベットのオッズが圧倒的によかった。よかったからこそいざ悪い結果が出ても、ISMを見て機械的に切らされた市場参加者が一定数いたように見えたものの、あっという間に指数は跳ね返ってしまった。金曜には雇用統計もあったが、ISMで疲れ切った市場参加者にとってこちらはやや消化試合感があった。ISMと比べると雇用統計は所詮遅行指標なので、良くてもどうせそのうち悪くなる、悪かったらまたリセッション祭り、という話になってしまうが、それを更に多くの市場参加者は織り込んでいたようだ。二匹目のドジョウも中途半端になったのに三匹目のドジョウがいるわけもなく、米株は高値圏まで戻って来た。
S&P 500連動ETF「SPY」の出来高を見ると、投げ尽くしたほどの大相場ではないものの、それなりに投げが出て出来高は膨らんだ。もっともその後再び買い上げられてしまったから投げ以上の買いが入ったことになる。
S&P 500には様々なプレーヤーがいるが、このブログでは極論すれば「リスクパリティ、モメンタムを検出して加速させるCTA、景況感や決算を見ながらエイヤーと張るリアルマネーおじさんの三体問題」として考えている。CTAの売りは様々なところで噂になっている。景況感連動のおじさんも機械的にポジションカットを余儀なくされただろう。日本株では「気が早いリスクパリティも売っているようだ」と言われているが、少なくともグローバルではリスクパリティの売り余力は限定的との本ブログの観測を維持する。8月の第4弾騒ぎの時よりもVIXの山が低いのに、8月に畳まれていないポジションが畳まれるとは考えづらいし、8月に落としたポジションを9月に復元した上でもう一回投げているほどせわしいイメージもないため今回は無実だろう。もっともリスクパリティの幻影に怯えておいた方が正解にたどり着きやすかった。押し目買いを入れたのはずっとリセッション売りを待ちわびていた、システム系以外の投資家と推測される。
ファンダメンタルズ的にはこちらの記事の主張通り、リセッションを織り込むほどではない。金利サイドでは10月利下げもほぼ完全に織り込まれてしまった。株が再び売り込まれるきっかけがあるとしたらこちらの剥落だろうか。買われるきっかけがあるとすれば来週始まる米中貿易協議だろうか。少なくとも日本においては誰に聞いても「グッドニュースなどあるわけがない」というスタンスで、アップサイドは織り込まれていないはずだ。しかし個人的には今回はトランプが中国投資制限を言い出した(後に財務省が火消し)割りには、中国側から反発の買い言葉が出てこなかったのは意外と重要で、協議に向けた誠意の表れではないかと見ている。陶然筆記も長い沈黙を保っている。前回の記事では協議決裂を恐れた上で「それより景況感である」としていたが、今週は逆である。それよりヘッドラインである。
テクニカルには、8月と同様200日線の少し上でサポートされた形となる。6月からの上昇トレンドラインは一時期下にブレイクされたが、元々急すぎる上に再びラインの上まで戻っているためベアサインとしては完成しないだろう。3022から3008まで降りて来たレジスタンスは完璧な仕事をしたが、2850までの押しは期待以上であった。下方は週足下ヒゲによりサポートされているが、畢竟下ヒゲ陽線ではないため3008レジスタンスは健在。一方で200日線の2841〜先週安値の2850はサポート帯になりそうだ。とすると2850〜3008のレンジか。リセッションを織り込んでポジションを投げる(2850〜)のはやりすぎだし、一方で米国の景況感が悪化はしたので何か期待が変わるようなヘッドラインがないのに上を追いかける(〜3008)のも面白くないというところである。3008を突破されたら上方向に飛びやすくなり、2841を下に割られたらクラッシュが加速しやすくなる。
S&P 500は7月高値を前に伸び悩む
S&P 500は全ての懸念の壁を駆け上がる
そしてS&P 500はレンジ上限をブレイク
S&P 500は一気にレンジ下限が危うい形に
S&P 500は雨が降って地合い固まる
S&P 500はリスク非対称なレンジを作る
S&P 500は貿易戦争再開でどこまでクラッシュするか
S&P 500はひたすらクラッシュ雨乞い
S&P 500が利下げ織込みすぎから押すな押すなに
S&P 500が結局浮力に負けてしまうか
利下げサイクル開始でドル安に備える局面が近付くか
S&P 500が意外な粘り強さを見せる
下抜けてもやはり煮え切らないS&P 500
新高値に売りありS&P 500の煮え切らない調整
S&P 500の新高値に売りありの法則
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S&P 500が最後の関門を突破
S&P 500がH&S右肩近くまで一気呵成
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S&P 500ここから上はさすがに前途多難
ようやく貿易戦争の悪影響の織り込みが終わる
S&P 500のテクニカルの続き
全てがかかっているS&P 500の右肩
米株指数を純粋なテクニカルで見る
S&P 500連動ETF「SPY」の出来高を見ると、投げ尽くしたほどの大相場ではないものの、それなりに投げが出て出来高は膨らんだ。もっともその後再び買い上げられてしまったから投げ以上の買いが入ったことになる。
S&P 500には様々なプレーヤーがいるが、このブログでは極論すれば「リスクパリティ、モメンタムを検出して加速させるCTA、景況感や決算を見ながらエイヤーと張るリアルマネーおじさんの三体問題」として考えている。CTAの売りは様々なところで噂になっている。景況感連動のおじさんも機械的にポジションカットを余儀なくされただろう。日本株では「気が早いリスクパリティも売っているようだ」と言われているが、少なくともグローバルではリスクパリティの売り余力は限定的との本ブログの観測を維持する。8月の第4弾騒ぎの時よりもVIXの山が低いのに、8月に畳まれていないポジションが畳まれるとは考えづらいし、8月に落としたポジションを9月に復元した上でもう一回投げているほどせわしいイメージもないため今回は無実だろう。
ファンダメンタルズ的にはこちらの記事の主張通り、リセッションを織り込むほどではない。金利サイドでは10月利下げもほぼ完全に織り込まれてしまった。株が再び売り込まれるきっかけがあるとしたらこちらの剥落だろうか。買われるきっかけがあるとすれば来週始まる米中貿易協議だろうか。少なくとも日本においては誰に聞いても「グッドニュースなどあるわけがない」というスタンスで、アップサイドは織り込まれていないはずだ。しかし個人的には今回はトランプが中国投資制限を言い出した(後に財務省が火消し)割りには、中国側から反発の買い言葉が出てこなかったのは意外と重要で、協議に向けた誠意の表れではないかと見ている。陶然筆記も長い沈黙を保っている。前回の記事では協議決裂を恐れた上で「それより景況感である」としていたが、今週は逆である。それよりヘッドラインである。
テクニカルには、8月と同様200日線の少し上でサポートされた形となる。6月からの上昇トレンドラインは一時期下にブレイクされたが、元々急すぎる上に再びラインの上まで戻っているためベアサインとしては完成しないだろう。3022から3008まで降りて来たレジスタンスは完璧な仕事をしたが、2850までの押しは期待以上であった。下方は週足下ヒゲによりサポートされているが、畢竟下ヒゲ陽線ではないため3008レジスタンスは健在。一方で200日線の2841〜先週安値の2850はサポート帯になりそうだ。とすると2850〜3008のレンジか。リセッションを織り込んでポジションを投げる(2850〜)のはやりすぎだし、一方で米国の景況感が悪化はしたので何か期待が変わるようなヘッドラインがないのに上を追いかける(〜3008)のも面白くないというところである。3008を突破されたら上方向に飛びやすくなり、2841を下に割られたらクラッシュが加速しやすくなる。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。