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 先週の記事では新しいことをほとんど何も言っていなかった。S&P 500は引続きダラダラと上昇している。10月末に「目がくらむような高さではあるものの、これだけ白けた雰囲気で迎えるなら「新高値に売りなし」がワークしても仕方ないように思える。2018年以降「新高値に売りあり」などと茶化しながら逆張りビューで当ててきたが、「今回は違う」にベットする価値もあるように見える」としてからほとんど押し目もないまま1ヶ月間で実に120ポイントの上昇になった。

 一直線に上がってきたためテクニカルには依然大した示唆がない。せいぜい週足サポートの3065が残っているくらいだ。日足では一応11月中旬と同程度の調整を示唆しているように見えるが果たして。
VIX

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 ポジショニングは感謝祭もあって大して変わっていないだろう。VIXは11月初旬の記事では「VIXはS&P 500の過去最高値更新を受けて年初来の安値圏まで低下している。2018年まで遡ってもVIXショック以降10が下限となっていたためダウンサイドも限定的になっているが、もしこの水準での推移が続く場合、リスクパリティの買い戻しが発生する可能性もある」としていたが、実際その後恐らくリスクパリティをはじめとするシステマティック系機関投資家の買戻しのおかげで、ニュースフローさえなければ毎日上がるのが当たり前になってきた。

 同時にVIXの投機筋ネットショートポジションも2017年年末の大ブル相場を1割上回る幅まで積み上がっている。しかし、2017年のパターンでは底値を付けて反発を始めた後もしばらくS&P 500は上がり続け、2018年2月になってショートポジションがだいぶアンワインドされて初めてVIXショックが起きているため、VIXのショートポジションの積み上がり幅だけでショックを予想できる訳ではない。2018年2月、10月に続く第3次VIXショックはあるとしても米金利が急騰したところで起きるのだろう。
HSI
TOPIX
 香港のハンセン指数(上)は金曜に目立ったトリガーがないまま急落している。シクリカルに敏感なTOPIX(下)もショートカバーが一巡した後はS&P 500に付いて行ききれず週足で3本目の陰線、ついで上ヒゲ陰線となった。米株はどこまでこのあたりを完全に無視できるか。

 ファンダメンタルズ的にはやはりISM製造業がキーになる。先行する連銀指標は軒並み悪く、代わりにMarkit PMIが欧州や中国を追いかける形で改善している。サーベイは49.5と相当ハードルの高いV字回復を織り込んでいるが、これを実際の数字が上回るのは相当困難だろう。またISMに限らずV字回復は至るところで織り込まれているため、あまりここから乗っかりたくはない。米中貿易交渉は目立った進捗がないが、とりあえず12/15開始分の撤廃もだいぶ織り込まれているため上と同じである。ショートでカッコよく一攫千金を決めるほどではないしろ、リスクを外したとえS&P 500が青天井になっても見送って穏やかな年末を過ごしたいものである。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。