SPX Daily
 先週のS&P 500は中東の地政学リスクに振り回された一週間となった。イランによるイラク米軍基地への弾道ミサイル攻撃を受けて先物ベースではS&P 500は一時3200割れまで下落したが、例によって一瞬の押し目で終わり、現物ではその調整の痕跡すら見えず、指数の水準は3200台前半から3200台後半まで切り上がっている。想像しづらかったが米軍基地は殴られっぱなしで終わった。
IMG_8483
    月初に発表されたISM製造業は40台でどんどん悪化しているが、例のごとく無視されてしまっている。SOXはISMで言うと60相当まで買い上げられている。では何を期待して買い上げているのかはさっぱり分からないが、それだけ逆張りが危険に見える。 
 
IMG_8393
 メルトアップの背景にはFedの流動性供給があり、これが続く限りあまり深く考えずに買っておけばよいという構図となっている。2017年年末ではメルトアップの後に金利が上昇してリスクパリティ爆弾が落ちてきたのだが、今回は金利も動かない。前回の記事の「今回ももし年始から米金利が急上昇した場合は2018年年初の再来もありそうだが、今のところ米金利は安定している」の繰り返しとなる。金利上昇の他に一応VIXが20台まで上昇してもリスクパリティ爆弾が落ちてきそうだが、戦争ですらその水準の達成が難しそうだ。
IMG_8475
IMG_8485
IMG_8486
IMG_8487
IMG_8488
 DBによると投資家の株ポジションは2017年年末の水準まで高まっている。リスクパリティ、volコントロール、そしてCTAのいずれも同じように株エクスポージャーを増やしている。裁量的投資家も同様である。特に最高値でシステマティックな危なっかしい人達がどんどん積み増している形なので、長期的な目線では全く入りどころではなさそうだし、ロングを引っ張るにしても戦術的と割り切り危うくなったらさっさとクローズする覚悟が必要だが、目先では強さをひっくり返すのは思いのほか難しい。10月のFedのQE再開以来ほぼ一直線で上昇してきたためテクニカルな手がかりもない。前回に続き押し目をどこまで深く拾えるかのゲームか。

関連記事

新年のS&P 500
S&P 500は年末を前にメルトアップ 
S&P 500はユーフォリアか出尽くしか 
S&P 500は一瞬だけ調整を見せる 
S&P 500は外部環境を最後まで無視し切れるか
S&P 500は高値圏でグダグダ
S&P 500は最高値でこそ長期投資を始める流れに
S&P 500は売りをこなしながら更に上値を試す
S&P 500は本当に新高値に売りなしに
S&P 500は万人の期待に反してサプライズ上抜けへ
S&P 500はやる気なくレンジ継続
S&P 500はレンジを信じた者を救う

S&P 500はISMで振り落としをかける
S&P 500はトランプ政権のせいですっかりクソゲーに 
S&P 500は7月高値を前に伸び悩む 
S&P 500は全ての懸念の壁を駆け上がる
そしてS&P 500はレンジ上限をブレイク
S&P 500は一気にレンジ下限が危うい形に
S&P 500は雨が降って地合い固まる
S&P 500はリスク非対称なレンジを作る
S&P 500は貿易戦争再開でどこまでクラッシュするか
S&P 500はひたすらクラッシュ雨乞い

S&P 500が利下げ織込みすぎから押すな押すなに
S&P 500が結局浮力に負けてしまうか
 
利下げサイクル開始でドル安に備える局面が近付くか
S&P 500が意外な粘り強さを見せる 
下抜けてもやはり煮え切らないS&P 500 

新高値に売りありS&P 500の煮え切らない調整

S&P 500の新高値に売りありの法則
 
Fedハト化でもS&P 500の勢いが止まる 
S&P 500が最後の関門を突破
S&P 500がH&S右肩近くまで一気呵成 
S&P 500の重要な水準が向こうからやって来る
S&P 500ここから上はさすがに前途多難
ようやく貿易戦争の悪影響の織り込みが終わる
 S&P 500のテクニカルの続き 
全てがかかっているS&P 500の右肩 
米株指数を純粋なテクニカルで見る

この記事は投資行動を推奨するものではありません。