SPX Daily
SPX 5days
 年末からS&P 500のメルトアップが続いている。1/15には米中貿易協議のフェーズ1が無事に締結された。今更目新しいグッドニュースでもなかったし、むしろ一部の人々には不満が残る内容であったが、当然そんなものは関係ない。不確実性がなくなったことが大事である。大々的な関税撤廃もなかったが、中国政府が言い訳のために考えた用語「関税が引上げ局面から引下げ局面へ」は案外本質を捉えており、クオンタメンタルな判断を吹き飛ばすような不確実性はこれでなくなる。「どれくらい引下げるか」や「フェーズ2」についての期待が上下してももはや瑣末な問題である。実際、先週後半の指数には毎日引け決めで発注する、最も足が遅そうな投資家が目を瞑って投げ込んでいる形跡が観測された。スマート指数の考え方に基づくと彼らこそがスマートなのだが

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 テクニカルは引続きただの強いトレンド継続しか示唆していない。200SMAからの乖離は2017年年末以来の大きさ、つまり2017年年末以来の激しい一方的な上昇となった。あらゆる意味で2017年年末に似てきた。
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 バリュエーション的には当然高い。年初の記事では「2017年年末の手前までフォワードPERは上昇している。Fedのスタンスの当時との違いを考えると超えてもおかしくはないが、長い目で上値余地があるとしても腰を据えて長期投資するような割安さではなくなっていることは間違いない」としていたが、実際に安定した低金利を手掛かりにフォワードPERは2017年年末の水準を超えた。長い目どころか短い目で見ても上値余地があった訳だ。

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 実際、PERの逆数である益利回りと10年金利の差で見ると2017年年末〜2018年年初よりはまだまだ残っている。もっとも絶対的には低いので単に「全てがバブル」という話でしかないという見方もできるだろう。これがイエレン時代ならFed関係者から「株が高い」「クレジットは過熱」などと言われていただろうが、「Fedが気にしないバブル」がどうなるかは見ものである。
VIX
 ポジショニング的には、前回の記事でDBから拝借した通りシステマティック勢のポジショニングはこれまた2018年初頭並みにパンパンである。しかし、ボラティリティが低迷する中でリスクを取らざるを得ない引け値勢がシステマティック勢の後に入ってくるとなるといつでも彼らにポジションを渡せるので、ポジショニングがやや健全になってしまう。前回の記事では「2017年年末ではメルトアップの後に金利が上昇してリスクパリティ爆弾が落ちてきたのだが、今回は金利も動かない」「金利上昇の他に一応VIXが20台まで上昇してもリスクパリティ爆弾が落ちてきそうだが、戦争ですらその水準の達成が難しそうだ」としてきた通りである。システマティック勢がパンパンだから直ちにクラッシュするというより、ただ単に焼け野原になってしばらく低迷するという形になるかもしれない。いずれにしても、この水準から飛び乗ると遠からぬうちにまた飛び降りることになりそうであるので、押し目買いをしては細々と引っ張るくらいしかできることがない。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。