SPX DailySPX Weekly
 前回の記事で「今回の調整は10月以降の全てのそれよりやや大規模なものになる可能性」と記した通り、S&P 500は「先週までの感覚でどうせバブルになるので少しでも押したら買い」という参加者を轢き殺しながらガツガツ下げた。「コロナウィルスのヘッドラインを追いかけるよりも、もしもう一つの隠れていた下げ要因が世に出てきた時に心を折られないように備えることの方が重要そうだ」としていた通り、FedのIOER引上げによるQE期待後退とシカゴPMIもやってきた。Amazonの決算がよかったにもかかわらず指数が上がらなかったから相場は相当重い。
 
 週足で見ると2本目の上ヒゲ陰線であり、3300はレジスタンスとなる。従って何かの拍子で3300に近付いた場合はとりあえず外しどころとなる。下値余地の方は、前回の記事から変わらずせいぜい3100という見方は維持する。
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 ポジショニング。パブロフの犬に釣られた他の投資家もポジションがパンパンである。BoAのFMサーベイによるとファンドマネージャー達のキャッシュ保有は6年ぶりの低さである。下に突っ走れば走るほど怒られと損切りが発生する態勢ではあり、それが相場の雰囲気の重さに繋がっている。
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  VIXは当然上昇しているが、まだまだリスクパリティファンドを突き崩す22ポイントまでは来ていない。国債のヘッジ機能もまだまだ生きている。朝起きてVIXが22を超えたら押し目買いの前に一呼吸置くべきだという見方は維持するが、今のところ首の皮は繋がっている。

 特効薬ネタに釣られようとは思わないが、コロナウィルスネタはもう少しで賞味期限切れを迎えると思う。結局退治のために1Q程度のGDPが犠牲になるだけで、実害そのものはその辺のインフルよりも小さい。シカゴPMIはそれまでの諸連銀サーベイの回復を打ち消すような悪さであったがこれは明らかにボーイング効果であり、同じくボーイング効果が激しいと分かっている月初発表のISM製造業に引続き注目である。上海株がちゃんと月曜から取引再開されるのは個人的にはやや驚きであったが、何かしらの介入策でぶち上がってリスクオンの小陽春がやってきた場合は売り場になりそう。ただサプライズをぶつけて指数を売り崩す場面は過ぎており、ここから戻り売りならともかく、下を売ってもヘッドラインに殺される確率の方が高い気がする。本ブログの予想通りに先週の押し目買いを見送った参加者であれば、下がりきったところで押し目買いを狙う場面ではないか。米ドルの流動性は依然じゃぶじゃぶであり、そもそもアジア株や日本株がボコボコな中、米株は雰囲気ほど下がっていない。
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 ただアップサイドの方もコロナウィルスとQE期待剥落で一時期のように青天井を期待できるわけではなくなったため、落ちるナイフを掴んだら色気を出さずに回転した方が安全ではある。図はS&P 500のシーズナリティであるが、概ねシーズナリティ通りになるのではないかというイメージである。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。