S&P 500は月曜朝一にFedが二度目の緊急利下げをぶっ込んでから逃げる暇もなく続落。前回の記事では純粋に日足の形から「2480 -2600の間は日足程度の時間軸での買い下がりをチャレンジする価値がありそうだ。一方で2480までも遠いため、既にリスクを取りすぎてしまった参加者にとっては現水準より上は整理の機会となる」「レジスタンスはヘッドアンドショルダーのネックラインにあたる2850近辺か」としていたが、朝一から2480をブレイクされて買い下がりが串刺しになってしまった。「現水準より上」はやって来なかった。前回の週足200SMAの2630に続き、ブログに書いたレンジ下限をブレイクされるまでの日数が減りつつある。「現水準〜2850」までは試す機会もなかった。
先週はNY閉鎖など新型コロナ対策の先進国の経済停止と、銀行システムからの資金の取崩しが話題になった。米国国民が自宅隔離や失業に備えてドル現金を引き出せば当然そこからの信用創造が止まる。またハイイールド債とは別に、恐らくは原油安により財政を運営できなくなった中東勢からの名門ファンド解約、現金化が入っていたように見える。流動性枯渇による悪いドル高、金利高止まりが続いている。ドル高によりドル建てで見たグローバル流動性は激減した。それに対抗する形でFedからは利下げに続いて17日のCP買入れ(CPFF)、18日のプライマリーディーラーへの信用供給(PDCF)、19日の米ドル供給スワップライン拡充、20日のマネーマーケット流動性供給ファシリティ(MMLF)と毎日のように流動性供給策が打ち出された。また19日にはECBも7500億ユーロの資産買入れ(PEPP)を発表しており、欧州での感染拡大に伴いぶん投げられていた周辺国国債は一気に買い戻された。各施策の利用度はバラバラかもしれないが、少なくともスピード感では批判されづらい。
今週には製造業、サービス業PMIと新規失業保険申請件数が控えている。特に雇用統計の悪化が始まっており、100万人を超える失業も予想されている。それに対して米国政府は最大2兆ドルの経済対策を議会にかけるようである。米国の総賃金は9兆ドルちょっとなので2兆ドルは額としては十分に見えるが、議会で採決されるまでは油断できない。
バリュエーションは当然どんどん安くなっている。S&P 500のフォワードPERは既に13まで調整している。もちろん減益が多発すれば割安でもなくなるが、一応は2018年年末を超える割安さまで来ている。トランプ大統領も要求した「自社株買いより雇用維持」の他、クレジット市場も崩壊しているため見境いのない債務調達 +自社株買いのサイクルは止まり気味になるはずで、それはややバリュエーション切り下げを正当化するだろう。しかしそれでも一旦落ち着けばゼロ金利であることを考えると決して高くはない。
ポジショニングはひたすらロング解消が続いている。リスクパリティなどはしばらく表舞台から消えそうだが、傷ついたファンドのポジションアンワインドや中東勢からの解約が入ると新しい実弾売りフローになってしまう。
テクニカルには鯨幕日足が続いている。先週の記事で目を付けた下ヒゲ陽線だが、今週は連発しては連敗している。ここまで鯨幕だと個々の日足の意味も薄くなっていそうなのが反省点である。先週の記事で「ブレイクされた挙句に平地のようなリアクションだった」としていた2630の週足200SMAは昔から相当重要だったらしく、やはり週足200SMAの下での推移では下向きの力がかかりやすそう。週足そのものは小さな上ヒゲを付けた大陰線であり、(一応は2480 -2600レンジの中間まで戻り高値を付けた)2560は週足レジスタンスとなる。軽視すべきでなかった週足ヘッドアンドショルダーだが、トップ3400からネックライン2850まで550ポイントであり、2850から2300までも550ポイントなので一応はターゲット達成となるった。しかし下値を掘り続けたためサポートはまだない。
というわけでポジショニングとテクニカルは慎重になってしまう。ファンダメンタルズ的にはしばらく米ドルの流動性がキーになる。具体的にはいつLIBOR(LIBOR -OIS)が下がってくるか。CP利回りも監視したところだが探しづらい。補助的にはドル円ベーシススプレッドも監視対象になるだろう。ECBのドル供給オペで正常化したユーロドルベーシスはあまり参考にならない。景気的にはAfter CoronaのPMIも重要だろう。雇用は一時的に激しく落ち込むのは既に織り込まれつつあるように見え、またそれによる総収入の落ち込みは短期的には(通れば)財政出動でカバーされるはずなので、そこで改めてクラッシュというより、もしそれまでに米ドルの流動性が諸施策で回復していれば米金利低下〜ゴルディロックスが戻ってくるだけの可能性もあり、失業そのものをあまり過度に恐れる気にはならない。経済対策やFedによるクレジット、株への介入は議会承認が得られて初めて信用すべきである。
カナリアのVIXは異様に高い水準で高止まりはしているが、週後半の相場が弱めながらも下値更新とならなかったためこちらもややピークから調整している。だんだん討ち死したファンド名も上がってきて未知の恐怖は薄まりつつあり、正常化は遠くないはずだ。しかし「VIXが恒常的に50を超えるニューノーマルにふさわしいリスクテイクに抑えるべきである」はあくまでも続いている。
S&P 500の持込み可試験はそろそろ終わる
S&P 500は教科書二冊持ち込み可の試験
S&P 500は再び天井サインが点灯
S&P 500は新高値に釣られず様子見
S&P 500のバーゲンセールを期待
S&P 500は10月以来の調整入り
S&P 500は引続きメルトアップ
S&P 500は引続き座して押し目待ち
新年のS&P 500
S&P 500は年末を前にメルトアップ
S&P 500はユーフォリアか出尽くしか
S&P 500は一瞬だけ調整を見せる
S&P 500は外部環境を最後まで無視し切れるか
S&P 500は高値圏でグダグダ
S&P 500は最高値でこそ長期投資を始める流れに
S&P 500は売りをこなしながら更に上値を試す
S&P 500は本当に新高値に売りなしに
S&P 500は万人の期待に反してサプライズ上抜けへ
S&P 500はやる気なくレンジ継続
S&P 500はレンジを信じた者を救う
S&P 500はISMで振り落としをかける
S&P 500はトランプ政権のせいですっかりクソゲーに
S&P 500は7月高値を前に伸び悩む
S&P 500は全ての懸念の壁を駆け上がる
そしてS&P 500はレンジ上限をブレイク
S&P 500は一気にレンジ下限が危うい形に
S&P 500は雨が降って地合い固まる
S&P 500はリスク非対称なレンジを作る
S&P 500は貿易戦争再開でどこまでクラッシュするか
S&P 500はひたすらクラッシュ雨乞い
S&P 500が利下げ織込みすぎから押すな押すなに
S&P 500が結局浮力に負けてしまうか
利下げサイクル開始でドル安に備える局面が近付くか
S&P 500が意外な粘り強さを見せる
下抜けてもやはり煮え切らないS&P 500
新高値に売りありS&P 500の煮え切らない調整
S&P 500の新高値に売りありの法則
Fedハト化でもS&P 500の勢いが止まる
S&P 500が最後の関門を突破
S&P 500がH&S右肩近くまで一気呵成
S&P 500の重要な水準が向こうからやって来る
S&P 500ここから上はさすがに前途多難
ようやく貿易戦争の悪影響の織り込みが終わる
S&P 500のテクニカルの続き
全てがかかっているS&P 500の右肩
米株指数を純粋なテクニカルで見る
今週には製造業、サービス業PMIと新規失業保険申請件数が控えている。特に雇用統計の悪化が始まっており、100万人を超える失業も予想されている。それに対して米国政府は最大2兆ドルの経済対策を議会にかけるようである。米国の総賃金は9兆ドルちょっとなので2兆ドルは額としては十分に見えるが、議会で採決されるまでは油断できない。
バリュエーションは当然どんどん安くなっている。S&P 500のフォワードPERは既に13まで調整している。もちろん減益が多発すれば割安でもなくなるが、一応は2018年年末を超える割安さまで来ている。トランプ大統領も要求した「自社株買いより雇用維持」の他、クレジット市場も崩壊しているため見境いのない債務調達 +自社株買いのサイクルは止まり気味になるはずで、それはややバリュエーション切り下げを正当化するだろう。しかしそれでも一旦落ち着けばゼロ金利であることを考えると決して高くはない。
ポジショニングはひたすらロング解消が続いている。リスクパリティなどはしばらく表舞台から消えそうだが、傷ついたファンドのポジションアンワインドや中東勢からの解約が入ると新しい実弾売りフローになってしまう。
テクニカルには鯨幕日足が続いている。先週の記事で目を付けた下ヒゲ陽線だが、今週は連発しては連敗している。ここまで鯨幕だと個々の日足の意味も薄くなっていそうなのが反省点である。先週の記事で「ブレイクされた挙句に平地のようなリアクションだった」としていた2630の週足200SMAは昔から相当重要だったらしく、やはり週足200SMAの下での推移では下向きの力がかかりやすそう。週足そのものは小さな上ヒゲを付けた大陰線であり、(一応は2480 -2600レンジの中間まで戻り高値を付けた)2560は週足レジスタンスとなる。軽視すべきでなかった週足ヘッドアンドショルダーだが、トップ3400からネックライン2850まで550ポイントであり、2850から2300までも550ポイントなので一応はターゲット達成となるった。しかし下値を掘り続けたためサポートはまだない。
というわけでポジショニングとテクニカルは慎重になってしまう。ファンダメンタルズ的にはしばらく米ドルの流動性がキーになる。具体的にはいつLIBOR(LIBOR -OIS)が下がってくるか。CP利回りも監視したところだが探しづらい。補助的にはドル円ベーシススプレッドも監視対象になるだろう。ECBのドル供給オペで正常化したユーロドルベーシスはあまり参考にならない。景気的にはAfter CoronaのPMIも重要だろう。雇用は一時的に激しく落ち込むのは既に織り込まれつつあるように見え、またそれによる総収入の落ち込みは短期的には(通れば)財政出動でカバーされるはずなので、そこで改めてクラッシュというより、もしそれまでに米ドルの流動性が諸施策で回復していれば米金利低下〜ゴルディロックスが戻ってくるだけの可能性もあり、失業そのものをあまり過度に恐れる気にはならない。経済対策やFedによるクレジット、株への介入は議会承認が得られて初めて信用すべきである。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。