


先週のS&P 500は1974年以来の週間12%という大幅上昇となった。先週の記事では「死亡数が最も遅行で、感染して具合が悪くなって病院に行くまでもラグがあるため、一旦統計に出てくる新規患者数が減り始めると先月の中国のように急速に山の向こうが見えてくるだろう」としていたが、週明けに早速米国のNY州新規死者数が減少に転じたというヘッドラインが話題となり、一週間の流れが決まってしまった。米国の失業保険申請件数は三週連続で大変な数字になったが、二度あることは三度ある形で無視されている。その直前に発表された、Fedが新たに2.3兆ドルを供給してハイイールド債の購入や中小企業支援に動くというヘッドラインの方が大きかったようだ。
「強烈なレジスタンスとしてワークするだろう」としていた週足200SMAの2640は月曜引け前に突破されてしまった。そこからの展開については温存していた「2640を再び上にブレイクできた場合は週足ヘッドアンドショルダーのネックラインの2850までは上値余地ができそう」というブレイクの勢いでわずか4営業日で2800突破まで来ている。一時期のようにアジア時間からワッショイしてS&P 500先物をストップ高まで買い上げた挙句にVolが上がって荒れて下がって終わる、という展開はなくなったが、それでも週間を通して相当急ピッチな上昇であった。バーニー・サンダーズの大統領選撤退のようなどうでもよさそうなニュースにまで反応していたのは、いい加減そろそろ株の新規買いを入れたい参加者がクラウディッドになっていたことを示唆している。
「強烈なレジスタンスとしてワークするだろう」としていた週足200SMAの2640は月曜引け前に突破されてしまった。そこからの展開については温存していた「2640を再び上にブレイクできた場合は週足ヘッドアンドショルダーのネックラインの2850までは上値余地ができそう」というブレイクの勢いでわずか4営業日で2800突破まで来ている。一時期のようにアジア時間からワッショイしてS&P 500先物をストップ高まで買い上げた挙句にVolが上がって荒れて下がって終わる、という展開はなくなったが、それでも週間を通して相当急ピッチな上昇であった。バーニー・サンダーズの大統領選撤退のようなどうでもよさそうなニュースにまで反応していたのは、いい加減そろそろ株の新規買いを入れたい参加者がクラウディッドになっていたことを示唆している。


ファンダメンタルズ的には引続き「経済活動停止期間を当てるゲーム」となる。先行する中国は武漢の封鎖解除を大々的に祝ったが、だからと言って経済がすぐに元通りV字回復するわけでもなく、依然全国各地で(主に人の移動に伴う輸入だが)クラスタが見つかっては閉鎖するという状態がダラダラと続いている。グローバルでもピーク後の回復の遅さが徐々に織り込まれていく可能性がある。MSは労働者の職場復帰の「第一波」が6月、第二波が8月に起きると予想している。失業給付金が出るのは4ヶ月分なので一部は無給状態になるのか、それとも経済対策もどんどん追加されていくのか。経済の回復を急ぐ先進国の一部で抗体検査などを使って経済再開を強行しようという動きもあるが上手くいくのか。いずれにしても「一瞬だけ経済の異常値が出て、それは経済対策でカバーされ、その後はV字回復」というストーリーは薄れつつあるかもしれない。

そもそも、先週のラリーのきっかけを作った「米国の新規患者数の減少」はその後続いていない。


今週から米国企業は決算シーズンに差し掛かるが、個別企業のコンセンサスを積み上げると2020年の企業収益は非常に軽い減益となっている。アナリストが在宅で更新が追いつかないためかもしれないが、その分決算を機にやや荒れる可能性が普段より高いかもしれない。
テクニカル的には週足のヒゲブレイクで勢いよく上に跳ね、その上昇が段々中期的なレジスタンスに差し掛かって来た形に見える。2850には週足でブレイクしたヘッドアンドショルダーのネックラインが、そして3100には右肩がそれぞれ控えている。元通りには戻らなそう=全戻しがなさそうとすると3100も大変遠く、2850〜3100は当然買いの利食いゾーンとなる。また2850そのものもレジスタンスになるだろう。一方、200SMAの2640と、日足の小さなアイランドで週足上ヒゲ陰線を跳ね返した2450がサポートとなりそう。ポジショニングはシステマティックな参加者の存在感がなくなったままである。彼らの売り玉がなくなっていたからこそここまで反発できたのだろう。

先週の反発の素地を作ったVIXの低下はまだ続いている。VIX的には再び暴落に転ずる可能性は低下しつつつある。下げに転じても底割れというよりは買い場になりそうだ。

Fedのハイイールド債に落ちてしまった企業を含む社債買入れ策を受けてLQDはコロナショックでの3割近い下げをほとんど全戻ししている。特に木曜には莫大な出来高と共に力づくで買い上げられた。もちろん資金調達コストが低下するのはグッドニュースだが、Fedは同時に株も買うわけではないし、更に新たな資金供給策の支援を受ける企業は自社株買いや配当を制限されるため、株(配当利回り)対比での社債の元々の割安さが修正されるだけで終わる可能性も残る。企業が潰れづらくなってもバリュエーション調整の余地は残る。

グッドニュースとして期待していた原油については、期待されていたサウジとロシアの協調減産はトランプ大統領の仲介もあって合意に近づいているが、肝心の原油の上げは一瞬で終わったし、株の反応も薄かった。
以上により、ここからはグッドニュースに段々と反応しづらくなる時間帯に差し掛かっている可能性が強い。一方で下もそこそこ硬く、今までの100ドル単位の荒削りな値動きは段々収束に向かう可能性が高い。指数全体で動くというより選別が進みそうである。という中で新レンジ2450 -2850を意識することになるか。ウィルスにしろ決算にしろ状況が流動的なのは変わらないため、どちら方向でも利が乗ったポジションを長く引っ張る価値は薄そうだ。
S&P 500は無制限QEに押し流される
S&P 500は流動性枯渇との戦い
S&P 500はVIXが50を超えるニューノーマルへ
S&P 500の持込み可試験はそろそろ終わる
S&P 500は教科書二冊持ち込み可の試験
S&P 500は再び天井サインが点灯
S&P 500は新高値に釣られず様子見
S&P 500のバーゲンセールを期待
S&P 500は10月以来の調整入り
S&P 500は引続きメルトアップ
S&P 500は引続き座して押し目待ち
新年のS&P 500
S&P 500は年末を前にメルトアップ
S&P 500はユーフォリアか出尽くしか
S&P 500は一瞬だけ調整を見せる
S&P 500は外部環境を最後まで無視し切れるか
S&P 500は高値圏でグダグダ
S&P 500は最高値でこそ長期投資を始める流れに
S&P 500は売りをこなしながら更に上値を試す
S&P 500は本当に新高値に売りなしに
S&P 500は万人の期待に反してサプライズ上抜けへ
S&P 500はやる気なくレンジ継続
S&P 500はレンジを信じた者を救う
S&P 500はISMで振り落としをかける
S&P 500はトランプ政権のせいですっかりクソゲーに
S&P 500は7月高値を前に伸び悩む
S&P 500は全ての懸念の壁を駆け上がる
そしてS&P 500はレンジ上限をブレイク
S&P 500は一気にレンジ下限が危うい形に
S&P 500は雨が降って地合い固まる
S&P 500はリスク非対称なレンジを作る
S&P 500は貿易戦争再開でどこまでクラッシュするか
S&P 500はひたすらクラッシュ雨乞い
S&P 500が利下げ織込みすぎから押すな押すなに
S&P 500が結局浮力に負けてしまうか
利下げサイクル開始でドル安に備える局面が近付くか
S&P 500が意外な粘り強さを見せる
下抜けてもやはり煮え切らないS&P 500
新高値に売りありS&P 500の煮え切らない調整
S&P 500の新高値に売りありの法則
Fedハト化でもS&P 500の勢いが止まる
S&P 500が最後の関門を突破
S&P 500がH&S右肩近くまで一気呵成
S&P 500の重要な水準が向こうからやって来る
S&P 500ここから上はさすがに前途多難
ようやく貿易戦争の悪影響の織り込みが終わる
S&P 500のテクニカルの続き
全てがかかっているS&P 500の右肩
米株指数を純粋なテクニカルで見る

そもそも、先週のラリーのきっかけを作った「米国の新規患者数の減少」はその後続いていない。


今週から米国企業は決算シーズンに差し掛かるが、個別企業のコンセンサスを積み上げると2020年の企業収益は非常に軽い減益となっている。アナリストが在宅で更新が追いつかないためかもしれないが、その分決算を機にやや荒れる可能性が普段より高いかもしれない。
テクニカル的には週足のヒゲブレイクで勢いよく上に跳ね、その上昇が段々中期的なレジスタンスに差し掛かって来た形に見える。2850には週足でブレイクしたヘッドアンドショルダーのネックラインが、そして3100には右肩がそれぞれ控えている。元通りには戻らなそう=全戻しがなさそうとすると3100も大変遠く、2850〜3100は当然買いの利食いゾーンとなる。また2850そのものもレジスタンスになるだろう。一方、200SMAの2640と、日足の小さなアイランドで週足上ヒゲ陰線を跳ね返した2450がサポートとなりそう。ポジショニングはシステマティックな参加者の存在感がなくなったままである。彼らの売り玉がなくなっていたからこそここまで反発できたのだろう。

先週の反発の素地を作ったVIXの低下はまだ続いている。VIX的には再び暴落に転ずる可能性は低下しつつつある。下げに転じても底割れというよりは買い場になりそうだ。

Fedのハイイールド債に落ちてしまった企業を含む社債買入れ策を受けてLQDはコロナショックでの3割近い下げをほとんど全戻ししている。特に木曜には莫大な出来高と共に力づくで買い上げられた。もちろん資金調達コストが低下するのはグッドニュースだが、Fedは同時に株も買うわけではないし、更に新たな資金供給策の支援を受ける企業は自社株買いや配当を制限されるため、株(配当利回り)対比での社債の元々の割安さが修正されるだけで終わる可能性も残る。企業が潰れづらくなってもバリュエーション調整の余地は残る。

グッドニュースとして期待していた原油については、期待されていたサウジとロシアの協調減産はトランプ大統領の仲介もあって合意に近づいているが、肝心の原油の上げは一瞬で終わったし、株の反応も薄かった。
以上により、ここからはグッドニュースに段々と反応しづらくなる時間帯に差し掛かっている可能性が強い。一方で下もそこそこ硬く、今までの100ドル単位の荒削りな値動きは段々収束に向かう可能性が高い。指数全体で動くというより選別が進みそうである。という中で新レンジ2450 -2850を意識することになるか。ウィルスにしろ決算にしろ状況が流動的なのは変わらないため、どちら方向でも利が乗ったポジションを長く引っ張る価値は薄そうだ。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。