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SPX DailySPX Weekly
 先週のS&P 500は2800台はしばらく重かったが、2700半ばまでの二度の調整を経てついに2850を突破して2875まで付けた。本ブログでは2850レジスタンスと共に2640, 2450とサポートを並べ、更に「荒削りな値動きは段々収束に向かう可能性が高い」「VIX的には再び暴落に転ずる可能性は低下しつつつある。下げに転じても底割れというよりは買い場になりそうだ」まで辿り着いたのに肝心な想定レンジは2450 -2850と広いままであった。結局チャートは2640を再びタッチすることすらなく、2640 -2850でも消極的すぎるくらいであった。

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 筆者は米株の決算を懸念したが、実際には無事に通過するケースの方が多かった。TSMCの強気決算はむしろブル転のきっかけになった。先進国は依然ロックダウンの早期打開を探っている。中国のように目立った第二波がないまま経済活動が回復すればグッドニュースが続く(それでも中国はL字回復だが)し、もし性急な経済活動再開により第二波が来た場合は二番底がやって来そうだ。
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 バンカメのFMサーベイによると、V字回復を期待する参加者は15%にすぎず、期待はゆっくりなU字回復にならされつつある。という中で買いは決算が怖いが売りも出尽くしの買い戻しが怖い、というのが先週であった。
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 またU字回復期待の浸透に伴ってのことか、キャッシュをオーバーウェイトにしているFMの割合もチャイナショックや貿易戦争ショックを上回りリーマンショックに迫る水準まで上昇している。
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 現金保有だけでなく、SPYのショート建玉も2016年以来の高水準となっている。ショートはいずれ買い戻されなければいけない。
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 経済活動停止の悪影響を受けなさそうな、むしろ巣ごもり消費の恩恵を受けそうな巨大テックが再び相場をリードした。一時は原油の協調減産観測と共に売られたセクターほど戻りを試す局面もあったが、結局原油が駄々下がりになる中で再びナスダック優位に戻ってきている。これは「なんとなくの全体的な反発はここまでで、ここからリスクを取っていくには確たる材料と安全性がほしい」という解釈もできるし、ただのセクター選別した上でのアニマルスピリットの回復と解釈することもできそう。

 なおFedの社債買入れプログラムは「株対比の社債の元々の割安さが修正されるだけで終わる可能性も残る」としていたが、確かに社債は株よりしっかりラリーしているが、少なくとも原油安からリスクオフへの連動を断ち切ったようであり、過小評価したのは間違いであった。

  チャート的には、週足は下ヒゲ陽線となり、2700台への押しは押し目で終わった。2640に加えて2720も週足サポートとなる。一方、ネックライン2850突破は週足200SMAの2640突破ほどの深い意味は持っていないと見られ、2850を足掛かりにヘッドアンドショルダーの否定を図っていくことになっても右肩の3100は相当遠いし、2850から3100にかけての右肩ゾーンは引続きコロナショック後に経済が完全に元には戻らないを予想する参加者の外しどころとなる。2720 -3000あたりが新レンジとなるか。先週も「どちら方向でも利が乗ったポジションを長く引っ張る価値は薄そう」としていたように、2〜3%程度の押しを見てより深い押しを期待するのが間違いであったし、金曜まで2850レジスタンスもしっかり機能し2800台は重かった。2850レジスタンスは消えたためもう少し上値を期待できるものの、今週もどこまで2720に近い水準で押し目を拾って高めの水準で回転できるかが問われるか。
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 バリュエーション的にはEPSの切り下がりもあってフォワードPERがギャグのような高値圏への全戻しを見せている。何回も動かしたくなかったり、いざという時に逃げ足が遅い指数の長期投資ならここからのアニマルスピリット比べに参加しなくても許されるだろう。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。