

先週のS&P 500はレンジが続いた。「ネックライン2850突破は週足200SMAの2640突破ほどの深い意味は持っていない」こともあって週内は調整が優勢であった。「2720 -3000あたりが新レンジとなるか」「2850レジスタンスは消えたためもう少し上値を期待できるものの、今週もどこまで2720に近い水準で押し目を拾って高めの水準で回転できるかが問われるか」と何度か出てきた週足下ヒゲの2720は完璧にサポートとして機能し、2720まで限りなく近い水準まで来てからの反発となった。もっとも上値は軽くはなく、一度は突破された2850を再び超える形にすらなっておらず、2720 -3000レンジの下半分での推移となった。


バリュエーション的には異論なく高い。フォワードPERは近年にない高さとなった。前回(2019年5月)と前々回(2018年1月)2800近辺で推移した時を思い出すと、その時より予想EPSは低く、景況感と失業率は悪くVIXは著しく高い。値持ちをサポートしているのは明らかに2%下がった10年金利である。そしてハイイールド債利回りも以前より高い。従って中長期的な目線で「何回も動かしたくなかったり、いざという時に逃げ足が遅い指数の長期投資ならここからのアニマルスピリット比べに参加しなくても許される」のは変わらない。

一方ポジショニングは前回の記事で記した通りシステマティック系は不在、ファンダメンタルズ系裁量おじさんはV字回復を諦めキャッシュを普段よりもオーバーウェイトにしている状態なので依然売り手不在感が強く、ファンダメンタルズで相当強く揺さぶられないと下がりづらい態勢となっている。L字とV字で分かれていたのがU字にならされるにつれてVIXも下がってきた。
ファンダメンタルズについては引続き経済再開を睨みながらとなるか。中国では見られなかったケースだがもし早急な経済再開が第二波を招いたら相当深い二番底になるだろうが、その辺りが今週来週に現実化するとは考えづらい。レムデシビルが治験に失敗したとのヘッドラインは木曜の2800台からの調整に繋がったが、それ以上の揺さぶり要因にはなっていない。先週にも一度リスクオフを招いた北朝鮮情勢はやや要注意に見える。企業決算は今のところいまいちであり、発表済みの企業群を見ると1Qは16%程度の前年比EPS減となったようだ。しかし市場参加者の注目はせいぜい数個のメガテックに集中している。
テクニカル的には引続き2720 -3000のレンジ内の推移が継続している。先々週に一度突破された2850は先週再び蓋となっており、結果的には2720 -2850でもよかった。しかしこれは結果論であり、レンジ上限での決め打ちショートはポジショニングが味方しないので依然踏まれるリスクが相応に高い。一方2850から右肩の3140にかけては依然中長期的には買いの利食いゾーンになり、域内でずるずるとショートに踏まれたら痛いものの買いのニューエントリー水準としては面白くない。先週は記事通り2720近辺まで引っ張れるだけ引っ張って押し目買いを入れるのが正解であったが、押し目買い→回転のサイクルは今週も維持する。2720サポートはポジショニングの味方を得て、テクニカルが効かないとは言わせないぞ、と言わんばかりの綺麗な反発を作った。しかしそれだけに2720は市場参加者の目に止まりやすい水準となっており、仮にファンダメンタルズの急変でもう一度下にブレイクした場合は一旦買い撤退となる。
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