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 コロナショックを真っ先に被弾し、さらに全世界に拡散した第二波も被弾したハンセン株が、更に殺伐としてきた米中関係という第三波も被弾しようとしている。日足で見るとコロナショックの底から反発したところで限りなく水平の綺麗なヘッドアンドショルダーを作ってしまっている。ヘッドアンドショルダーは天井圏で示現すると反転サインとされているが、安値圏で作られると更に厄介である。

 週足ではちょうど似たような形が年初に作られている。中国のロックダウンを受けてクラッシュしても年末安値の26,000が守られ、そこから「在宅に売りなし」とも言える経済対策のばら撒きへの期待で反発したが、米株のクラッシュと共に再び売り込まれて安値圏のヘッドアンドショルダーが完成した。その後は安値圏が安値圏に見えないほどの下落となった。

 ファンダメンタルズには、中国の人民向けばら撒きは米国などに劣後しているため、ビジネスが中国に依存する企業の収益は回復が遅れる可能性がある。また米中対立により米国上場の中国企業の米国上場が危うくなっており、香港上場の同業者にも悪影響が出ると思われる。更に中国が制定を急いでいる「香港国家安全法」により香港政治がまた混沌としてきた。昨年香港経済に大きな打撃を与えたデモは人数は少ないものの再燃している。また米国が昨年成立させた「香港人権・民主主義法」に基づいて「中国の一国二制度が損なわれたと米国が判断すれば」「香港の関税などにおける優遇を取り消す」可能性が残る。
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 香港株はS&P 500に恒常的に劣後してきた。米株がクラッシュすると、既にチープになっていた香港株は対米株で「毒を食らわば皿までも」的な底堅さを発揮するが、米株の反発に付いて行ける上昇力は期待できなさそうである。

 バリュエーション的には香港株指数のPERは10を割り込んでおり、米株などと違って安さが目立っている。従ってクラッシュした後は毎回拾う価値が十分にありそうだが、足元はチャートがとても悪い形となっている。ヘッドアンドショルダーの24,800はレジスタンスであり、逆にもし大規模な追加財政出動などでこのレジスタンスがブレイクされた場合は長いキャッチアップラリーが見られそうだ。

この記事は投資行動を推奨するものではありません。