SPX DailySPX Weekly
 先週のS&P 500はまず上値を試した後に失速して戻ってきている。先週の記事で「(週足下ヒゲの)3127近辺は再び押し目買いゾーンとなりそう。このままVIXが落ち着けばそのうち上値余地も広がりそうではあるが、まだまだヘッドラインが控えている中での上値追いは油断禁物である」としていたが、3127近辺を試す機会はやってこず、上方向と上値追い油断禁物だけは合っていた。もっともヘッドラインと言っても「米中の領事館閉鎖騒ぎ」を予想できたわけがない。
 
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 たまたまに近いが、「エコノミックサプライズは非常にポジティブに偏っている。ただ雇用の改善もどうも一巡していると解釈されているようであり、コロナ再拡大が進むにつれて経済指標のアップサイドサプライズが一巡しつつある可能性も残る」とした後にエコノミックサプライズは改善から反落に転じている。サプライズなので永遠に驚き続けるわけにはいかない。
NFP
 ピークを付けてから減り続けている新規失業保険申請件数はここに来てややスティッキーになっている。第二波の広がりと共にサービス業再開のペースがやや減速しているのに整合的であり、今週分にも注目である。二週連続で悪化すればやや真剣に向き合う必要があるのではないか。「ワクチンができるから関係ない」とどこまで言い張れるか。

 他のファンダメンタルズについては、欧州復興基金の合意は大方の予想よりも早く、米中対立は劇場化させるとトランプ再選に有利になるので盛り上がらないだろう。足元の激しい米ドル安は米ドル立ての資産価格に有利であり、リスクオフでも株が下がりきらない背景の一つでもあるだろう。何かの拍子でこのドル安トレンドが反転した場合はリスクオフが深刻化する可能性がある。
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 ポジショニングは「大々的なショートはなくなったと思われるものの、過去対比では依然ロングが極めて少ない状態」が続いていると思われるが、日柄までミクロにみると野村クオンツが示すように「独立記念日以降の」足元のナスダック先物買い上げペースは短期的な飽和状態に近づいている。元よりナスダック先物はロングが当たり前でリオープンとなるとショートしていた他の先物で踏まれる、という構図があったようだが、他を踏み終わるとただのナスダックロングになってしまう。

 機関投資家を無視して買い上げたロビンフッダーの財源になったと思われる米失業給付特例は7月末で切れてしまい、8月以降は縮小となる可能性が大きい。という中でロビンフッダーの買いが一巡したところでまさか機関投資家が「エコノミックサプライズは良い」「VIXが下がって来たから買わざるを得ない」などと言って大真面目に買って来たら笑うしかないが果たして。
COMP
AMZN
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 週明けにゴールドマンとジェフリーズがAmazonの目標株価を大幅に引き上げており、それを受けてAmazonは急騰したが週内には上昇分を全て吐き出してしている。最初のドローダウンで捕まった投資家をゴールドマンの煽りが二番天井で救出したダブルトップに見えなくもない。二回めの煽り上げは一回めよりペースが速く話題を呼んだが、別に高値を更新できたわけではなく、むしろ値幅が増えた分不安定化したように見える。そんなドタバタを経てナスダックもS&P 500と同様に週足上ヒゲ陰線となっている。あれほど盛り上がってから実際に決算がよかったテスラも二番天井を付けて下落している。今週は心なしかハードルが上がったFANG決算が更に続く。しかし、週後半にナスダックが弱含んでも「リーダー達も上値が重いが、それでも指数内のローテーションの範疇に収まっているためS&P 500指数そのものは値持ちがよい」としていた図が続いており、それなりにインパクトのありそうなヘッドラインの割りにはS&P 500そのものは大して下がったわけではない。
VIX
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 カナリア。先週末のVIX崩壊から「夏枯れらしさ」を指摘していたが、果たして今週もVIXの崩壊が続いた。指数が下がってもVIXが上がりづらい時間帯はまだ続いている。野村クオンツが示すように20を割ったらシステマティック系が買い出動して焼け野原にしてしまうリスクが出てくる。もっとも6月、7月にも既に付けていた現水準で推移する限りはまだ出動が差し迫っているわけではない。

 テクニカル。先週の下ヒゲ陽線を上ヒゲ陰線で被せて否定した形となる。今週高値の3280はレジスタンスとなる。最近は月曜などは米株のパフォーマンスが毎回良いらしいが、それでもナスダックがヘタレている中でヒゲ高値を取りに行くには力不足に見え、給付金延長やワクチンのヘッドラインで吹き飛ばされるリスクを取れるなら懲りずに3280を背にした売りを試してみたい気はする。一方VIXもヘタレている中で積極的に下値を追っていくのも得策に見えず、上で売る勇気がないならなおのこと下では売りたくない。3100, 3000はそれぞれサポートになりそうだ。 

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。