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 先週のS&P 500はひたすら上昇が続いた。先々週の記事では「米失業給付特例は7月末で切れてしまい、8月以降は縮小となる可能性が大きい。という中でロビンフッダーの買いが一巡したところでまさか機関投資家が「エコノミックサプライズは良い」「VIXが下がって来たから買わざるを得ない」などと言って大真面目に買って来たら笑うしかないが果たして」としていたが、まさにその笑うしかない構図になりつつある。主役は再び個人から機関投資家に変わってしまったようだ。米中対立のヘッドラインはアジア時間に香港株にはインパクトを与えたものの米株は全くリスクオフに振れなかった。むしろ2019年後半のような「米中対立のヘッドラインがガス抜きになり過熱感が出なくなる」という図にさえ近付いているように見える。

Nomura SPX
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 久々にネットで転がった野村のCTA先物ポジションは「ナスダックロングをキープしたままS&P 500もロングを拡大」となっている。
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 これは過去の日次パターンを大きく強気方向に逸脱する買い方であるが、今のところ「利食いを急がない」路線を決め込んでいるようだ。実際明らかにVIXの下落によって押し出されている投資家が後に続いているように見え、先行組が利食いに入っただけでは押し目に終わる可能性が高い。
VIX
 
 本ブログがかねてから注目してきたVIXの弱さは明らかに指数の強さの背景の一つである。先週はもはや日足陽線がなかった。VIXの下落と指数の小陽線の連続はセットであり、コロナショック直前を彷彿とさせるが、リスクパリティなどのポジションがパンパンだったその時と比べても彼らのロング構築が道半ばであるのでショートには依然長い苦難の道が待ち構えていそうだ。
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 実績PERとフォワードPERは当然どちらも割高域での推移が続くが、話題にする人はすっかり減ってきた。
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 FedのBSは為替スワップやレポの縮小によって一時縮小に向かったが、ここに来て再び増加に転じている。もとよりテクニカルな縮小であるので当たり前と言えば当たり前だが「BS縮小を見たパブロフの犬」の反応も限定的となった。ファンダメンタルズ的にはISMや雇用も小康状態となっている。TiktokはともかくWechatとの取引禁止などは米国企業への影響も大きそうに見えるが、今のところ指数に材料視されそうな雰囲気はない。先週には「株以外のシーズナリティはリスクオフを示唆しやすいようだが、株式指数そのものは特段下がりやすいわけではない。ただ足元で米ドル安が足元の株の強さの背景の一つになっているとすれば、ドル高への転換があるならばリスクオフの深刻化を示唆する可能性が高い」としていたが、綺麗に「シーズナリティのドル高説は生き残り、特段下がりやすいわけでない株はやはり下がっていない」という形となった。足元のブル相場が「ドル安と低金利に支えられたもの」であったとすれば二つのエンジンは両方先週にストップし滑空状態となっており持続性は落ちてくる、従ってここから腰を据えて全力で突っ込むべき場面ではないだろうが、もちろん金曜程度の金利上昇だけで株式指数を崩せるわけではない。

 テクニカルはすっかり置いて行かれた形となる。週明け早々3280レジスタンスがブレイクされ、「たとえ3280を上にブレイクしてもショート撤退はともかく、ドル高アノマリーの8月を前に高値を追いかけていくには心理的抵抗が強い」としていたが実際には高値を追いかけるべきであった。置いて行かれた雰囲気が強いが引続き3200がサポートとなる。レジスタンスは過去最高値くらいしかなくなってしまっている。ショートと上値追いの双方を戒めながら慎重に押し目を拾うべき時間帯か。

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