

先週のS&P 500は上値が重かった。先週の記事では「もし休み明けにもう一度VIX上昇と指数上昇の組み合わせが来たら3588を背に果敢に売りとショートをぶつけたいところである」としていたが、指数上昇は3400超え程度で終わったしVIXは弱かった。結局行きでも帰りでも古典的な週足ヒゲが最も綺麗に方向性を示せたことになる。8月の上げを先導していた銘柄群が軒並みボコボコであるが、それらの下げが指数全体を揺るがすというよりは指数内の入れ替えで吸収されており今ひとつ下げの勢いに欠ける。今週はFOMCに注目。金融政策ネタはジャクソンホールで燃え尽きた感もあるが、ECBも特段ハト派でなかった中で「特段ハト派でなかった」が連続した場合はやや要注意。

興味深いのは調整の主役の一つであったと思われるVIXが先週までと打って変わって弱かったことである。VIX上昇局面でも指数とVIXの順相関が話題になったが、本当にコールの踏みでVI上昇→VI上昇を検出した参加者が指数を外す→指数が下がるにつれてコールが盛り下がってVIも下がる、というサイクルだったのか。もっともそうは言ってもまだ20台後半なのでリスクパリティの買い直しは直ちには期待しづらそうである。

発表からやや経ってネット上に出てきた野村によるとCTAは過去対比異常値レベルのナスダックロングを畳み始めたように見える。5月から買い始めた参加者の平均コストが10,800近辺なので、そこを抜けると更にセンチメントが悪化しそうに見える。S&P 500で言うと3300割れに当たると思われ、確かにそのあたりまでたどり着く頃には汚いチャートになりそうである。

個人(とソフトバンク?)のコール買いの盛り上がりが本格化したのは7月以降であるので、奇しくもこちらも3200〜3300にかけての水準での出来事となる。もっとも個人投資家が取引するコールは満期が短いことが多いので「コスト」として思い出されるかは怪しいが、3100〜3200は「オプション取引で荒らされる前の水準」なので買い安心感は強そうであり、200SMA割れは想定していない。行きの時点ではまだコロナ第二波などへの警戒感があったが、その後マクロで新たに出てきた懸念はハードブレクジットくらいである。
テクニカル的には2本目の週足上ヒゲ陰線となり、3588に加えて先週高値の3425も週足レジスタンスとなる。3400より上で入った戻り売りがあれば良い利食いができそうである。先週の記事で「下は叩けない」としていた通り、ここからの指数ニューショートはVIXの低迷を見てもやや冒険的であるが、3425への近づき方によってはレジスタンスの方が売りターゲットより遥かに近く感じることもあるだろう。3425を上に突破されたらチャートは再びブル転する。買いエントリーは淡々とした上げから大陰線連発にシフトしたところであるので依然やや日柄を要するように見える。先週の記事で「日足200SMAの3100近辺は流石に買い場になるだろう」としていたのは維持する。
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