S&P 500は自重で潰れる形で一時大きく続落したが、週末にかけて反発して週足下ヒゲ陽線となった。先週の記事では「3430が週足レジスタンスとなる。その水準を上にブレイクできない限り、例えば3400に近付くにつれて戻り売りが優勢となりそう。サポートの方は依然200SMAの3100近辺とやや遠いが、そこまで調整した場合は問答なしに買い場となる。従ってその水準までショートを引っ張れる期待値は低く、先週に続き下を叩きづらい。3100〜3200は引続き買い場になりそう」としていた通り、3430は遠く、一方下値は買い場レンジの上限としていた3200で綺麗に跳ね返された。3200中盤で何かに目覚めてリスクリワードの悪いショートを入れていたらすぐに埋もれてしまうところであった。
ナスダックバブルの自重崩壊から始まった指数の調整は先週になって他の資産クラスにも波及している。ハイイールド債と投資適格債は大きく下落した。これは足元のリスクオフに対して、機関投資家をも説得できる何らかのファンダメンタルズの説明がなされたことを示唆している。もっとも債券投資家は理由へのこだわりが強く一拍子遅いだけであり、債券と株とで値動きが異なった時にどちらが正しいかは一概には言えない。
一方TIPSとVIXは週末の指数の反発を正当化している。
DBのポジショニングは先週の記事時点とあまり変わっておらず、システマティック勢が高値圏で再開したポジション構築は頓挫している。名指しされたリスクパリティも中間値まで復元したところである。最高値圏までの復元が難しそうであることを考えると「ポジションは重くなった」という見方は継続でよいだろう。
同じように指数先物のポジションも中途半端なロングまで復元された形となる。一方、ナスダック先物の投機的ポジションが一気に過去最大圏までショートが積み上がっているのが話題になった。
またナスダックETF QQQからも急速な資金流出が観測されている。
今週はまず大統領選に向けた最初の討論会が予定されている。大統領選がどちらかに決まるか今のところまさに五分五分であり、郵便投票の集計にも時間がかかるであろうから選挙後の混迷が警戒されている。討論の勝ち負けというよりバイデンが失敗しなければバイデン優勢の織り込みが進み、失敗すればトランプに逆転されそうという構図であるが、夏にバイデン優勢と思われていた期間の指数のパフォーマンスも悪くないので、争いが長引きそうな五分五分、つまり大統領選に限っていうと現状がワーストではないか。ISMは波乱がなさそうであり、あとは欧米で第二波がどうなるかである。
テクニカルには3100を最終防衛線としつつ、週足のヒゲを素直に信じるなら3200 -3430のレンジを想定することになるか。先週の急落をもって今回の調整が終了したと言えるかどうかについては、これという材料がまだ公になっていないまま買い手が漫然と耐えている雰囲気でありアク抜け感に欠け、結論を出しづらい。しかしいずれにしても慎重な戻り売りはともかく、イキり立って下でショートを立てると先週のように埋もれやすいのは変わらないだろう。それがたとえ3200の週足下ヒゲ陽線の下割れをきっかけとしたものであっても変わらない。一方レンジ内で上値を追い掛けても3430の壁が大変遠く見える中でポジショニングと需給フローに逆らうことになり不利そうである。
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