IMG_5618SPX Daily
SPX Weekly
 先週のS&P 500は久々に想定レンジを大幅に下回ってしまった。というよりほとんど掠ってすらいない。「3350 -3550レンジが3415 -3550に切り上がりそうであるが、大統領選前は引続きレンジ決め打ちは避けたい。イベントさえ通過さえすればボラティリティは下落しそうであるが、あまりフライングしたくないものである」としていたが、月曜朝一からレンジを下に切ってから欧州のコロナ変異株の再流行を受けた再ダウン、大統領選前の給付金再開の断念(よく今週まで期待が繋がったものである)、またAppleとAmazonの決算が投資家の目線に届かなかったことから指数の暴落が続いた。懸念材料が複数出てきたため気持ちよく売りを入れられたようである。また差し迫った大統領選について改めて接戦が意識されるようになった。

 欧州のロックダウンは懸念材料であるが、ロックダウンプレイと言うほどにはロックダウンで恩恵を受けるセクターが特段優位になっているわけではない。大統領選もバイデン優位が動いていない。新たに情勢が変わったというよりも、急落に伴い参加者のポジションが重くなり、大統領選が即日結果を出せず何日か待つとなった時に耐えられない投資家が増えてきた、ということではないかと思われる。やはり大統領選前にフライングしてはいけなかった。値幅より日柄である。

VIX
 それにしても災害級の急落であった。VIXはそれまでの20台から急上昇し5月以来の40台を付けた。これで今まで上値を買い上げる「浮力」としていたリスクパリティは、売りに回るかどうかはともかくしばらく上値を買うことはできなくなりそう。
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 現にDBのリスクパリティポジショニングは過去平均以上まで復元したところで再び落とされ始めたようにも見える。もっともVIX=40など想像も付かない、もし現れたら即座に全カットしかあり得なかったコロナ前と比べるとやや粘り強くなったように見えるのも事実であるので、ショートで先回りしようとしてもあまりエッジがない。
AQRIX
 AQRIXなどを見ても惨憺たる現状である。指数と違ってコロナショック前の水準まで全戻しできず、その上で直近高値圏でどうもポジションを増やしたらしいので下げにはしっかり付いて行っている。
TNX
 さらに追い打ちをかける形で米金利がリスクオフにも関わらず上昇が続いている。
TIP
 TIPS ETFは9月以来の長い水平レンジを下に抜けている。金利が上昇している間はファンダメンタルズに問題がない、と言いたいところであるがTIPSの急落はそれを裏付けない。むしろシンプルに実質金利の上昇に見える

HYG
 一方、ハイイールド債は金利上昇にも関わらず堅調であり、各資産のシグナルがいよいよバラバラになってしまった。結局大統領選を前にそれぞれのポジションが苦しい方に動いているということか。

 テクニカルは9月の急落に続いて10月の急落も前もって察知することができなかった。もはや勝敗が決した感もあるが、一応9月急落の底にあたる3200はサポートとなる。その下には更に200SMAの3130が控えている。値ごろ感では9月の急落で買い場としていた水準に近い3130 -3200間はさすがに買い場に見える。一方それまでサポートとしてワークしていた3350はレジスタンスに転化しそう。大統領選の結果によらず3300以上があれば苦しくなったポジションの解消に適した場になるか。ここまではもし天井ショートできればよかったがもし9月のレンジ内での推移で終わった場合を考えるとこの水準からショートを立てるのは割に合わなそう。

 以前の例からも明らかであるように大統領選の結果はテクニカルでは占えない。またしてもアジア時間がファーストリアクションを取らされることになるが、政治イベントではアジア時間の解釈が米国時間になるとすぐに全否定されることが多かった。従ってアジア時間の値動きについていくのは分が悪い。もっともアジア時間の参加者自身もそれを自覚しているため、当然アジア時間の逆を張るほどではない。素直な予想としては、バイデン優勢が早い段階から決まれば上院がどちら優位でもリスクオン(ただし就任までに財政出動がなさそうなのでリスクオンもあまり長く続くイメージはない)、早々とトランプ優勢と上院共和優勢が決まっても(自称は除く)リスクオン、トランプと上下院民主ならリスクオフ、勝者がすぐに決まらない場合、紛糾してもリスクオフというあたりになるか。この紛糾するかどうかは特にアジア時間には読みづらそうである。コンセンサスはバイデン優位である。

 ボラティリティはとりあえず不確実性が剥落すれば低下しそうである。リスクプレミアムの剥落を狙うという観点では選挙前にロングを仕込んでおけば報われそうな気もするが、GAFAもバリュエーション懸念が残り懸念材料が複数ある中で一個が剥落したくらいでは上には飛ばなそうであるため、思ったよりも有利な勝負ではなさそうである。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。