


先週のS&P 500は引続きグダグダだった。休み前にVIXが20を切ったこともあって週明けからバブル再開との期待もあっただろうが結局上値は伸びるたびに重くなった。もっとも下値を叩いてみても小型株を除いて崩れることもなく、煮え切らない週足陰線となっている。上ヒゲも伸びたが下ヒゲも更に長く、上ヒゲ陰線とはなっていない。先週の記事では「ベアトラップになった疑惑もある3885は週足サポートになれそうだが、もしなれなかった場合は再び3650 -3690ゾーンに頼ることになる」としていたが、あまり期待していなかった3885のサポートが見事にワークした。


米金利上昇が止まらない中、本ブログは米金利上昇が資産価格調整を招かなかった背景について、(BEI主導の上昇であり)実質金利主導の上昇でない限りタントラムはやって来ない、としていたが、先週に限ってはBEIはむしろ失速し、名目金利の上昇幅を超える幅で実質金利が上昇した形となる。これは先週何度も指数が上がりそうな場面で失速しがちであった一因になっていたかもしれない。しかし、絶対値としてはまだ11月大統領選前後の水準に戻ってきた程度であり、新値を付けるほどにはなっていない。「ここもとVIXは指数の後追いだけであまり役に立たなかったからそこまで見る意味があるのかと、一方で金利上昇が止まらない中で株を積んで正面突破できるのか」とVIXの20割れからシステマティック系投資家の突撃を連想することに慎重であったことは正解となった。

金利上昇を受けて金融セクターへの逃避が目立っている。セクターローテーションで済んでいる間は指数への打撃とならないが、果たして。前回金融セクターへの突撃が行われたのは2017年なのでVIXショック前に似ていると言えば似ている。前回のファンダメンタルズ改善期待に伴う金利上昇はVIXショックに繋がったが、足元の展開はもしリスクパリティが装填されていなかった場合のVIXショック前後のリプレイというところか。

テクニカルには上値も重いものの、下値でも押し目買いがひしめいており崩れるほど弱くはない(週足の上下にヒゲ)。VIXの20割れは少し遠のいた。実質金利の上昇はバリュエーション調整の必要性を示唆するものでありどんどん上値を追いかける根拠が薄れつつある一方、金利上昇そのものはそれなりに警戒されてきたため青天霹靂なクラッシュに繋がる期待値も高くない。一方、日足ベースでは上値も重いためバブル再開は少なくとも新高値は取ってもらわないと期待できなそう。先週はVIX <20などバブル再開の材料が揃っていた方であるがその期待が間違いであったことが示された週となった。バブルが継続するビッドコインからは引き離された。3950はレジスタンスとなる。ここから鼻息荒くバブルを待つのは金利の落ち着きのなさとレジスタンスまでの値幅を考えるとあまりオッズが良くなく、3950ブレイクで初めて確信犯バブルの再開を確認できる。その場合は3885サポートは安泰になりそう。今のところ3885はブレイクされていないが、その間近まで下値が伸びたことは大したベアトラップでもなかったことを示唆している。もっともたとえ上でショートしても全然伸びなくてストレスが溜まりそうなのに3885ブレイクを見て下でショートエントリーしようものならあっさり地中に取り残されそう。あくまでも3650 -3690より上でどこまで深い押し目を拾えるかである。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。