先週のS&P 500は堅調地合いになった。ナスダックだけはヒヤっとする場面が何度もあったが、S&P 500で見るとほとんど単調な上昇が続いた。先週末時点ではマーケットの雰囲気はほとんどパニックだったが本ブログは3650 -3950レンジ継続と喝破した。なんなら「3950ブレイクで全く新規に付いていくとコストの悪さから値動きに神経質にならざるを得ないので、レンジ内では3650割れでも痛くない程度のポジションを維持してもバチは当たらないだろう」と上方ブレイクを前提に見据えていた。ナスダックの方は日足ヘッドアンドショルダーの右肩として取り上げた13600に届かないまま一時金曜に再び失速し、13600レジスタンスを見据えていれば手前で外して金曜の調整をデイトレすることも可能だったが、前途多難の雰囲気が強い中でも一応ネックラインの上で推移している。
株の住人にまで注目されていた米国債10年入札は特に突っ込みどころのない結果に終わった。それを受けてナスダックでもリスクオンが進んだが、その後も米金利の上昇は続いた。もっとも、指数が金利上昇を受けた金曜の調整から買い直されたところを見ると、デカップリングの芽が見られないわけではない。さすがにそろそろ「金利が上がっても株は下がらない」勢が恥をかいて駆逐され尽くしたので、ここからはデカップリングしてもおかしくない。金利は具体的な水準というより、無秩序な変動が収まれば大丈夫ではないか。
今回の金利上昇場面ではFedをはじめとして各国中銀からの牽制があまり見られなかったのが特徴的である。ECBなどはPEPPの増額を言い出しリスクオンのきっかけを作ったが、金曜には火消し修正が入っている。今週はFOMCが予定されており、Fedの金利上昇の評価が注目される。また金利のボラティリティの背景にあるSLR除外措置延長への不安も残っている。こちらは3月中のどこかで延長が発表されればリスクオン要因になり得るし、失効が決まればSMCCFなどと違ってマーケットでリスクを圧縮する動きに繋がりそう。
VIXは徹頭徹尾役に立たなかった。今回の金利上昇によるクラッシュが概ねセクターローテーションで済んでいることもあってVIXはピークでも大して上がっておらず、S&P 500が過去最高値を更新しナスダックもネックラインの上まで戻してくるとVIXは再び20近辺まで下落した。今まで鳴かず飛ばずだったリスクパリティがここに来て上値を追いかけ始めたら笑えてしまうが、果たして。
一方個人投資家サイドでは一人1400ドルの給付金が再び配られることになるが、ロックダウン下で配られるお金と違ってリオープンで他にやることが増えれば必ずしも株に投入されるとは限らないかもしれない。
テクニカルには少なくともS&P 500は強気トレンドが維持されている。3650 -3950レンジは上にブレイクされているが、3950は注目されていたとはいえ、先週の記事で記した通り、3950ブレイクを見て上でエントリーしてもすぐに含み損域でウロウロすることになった。金利上昇が必ずしも株の調整を意味しなくなったとはいえ、神経質なセクターがまだ残っているのは事実である。しかし本ブログが今回の調整で言い続けたように指数で下を売る必要だけはないだろう。今のところS&P 500は「鬼より怖い一文高値」の範囲にとどまっているが、もう一度新高値を更新すればさすがに「新値に売りなし」となり上値の蓋は取れそうだ。その場合に参考となるレジスタンスはS&P 500よりもナスダックの13600になりそう。ナスダックの13600を攻略できたらバブル再開を確認できる。サポートは引続き3650 -3690あたりとなり、ナスダックでは遥かに近い13000のネックラインをキープできるかどうかに注目か。
指数ベースでどうも金利の免疫ができたらしいものの、ナスダックとS&P 500の相対的な温度差はあくまでも金利で決定されると思われ、もし中銀の牽制などで金利が低下に向かえば再びナスダック優位に戻れる可能性が高い。一方、緩やかな金利上昇には免疫ができていそうなものの、再び急激に上昇する局面があれば株も神経質な展開が続きそう。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。