SPX Daily
Nasdaq
 先週のS&P 500は棒上げとなった。先週の記事では「2月以来何度も跳ね返された3950 -3980のレジスタンス帯を突き抜けて新高値に売りなしとなった。3940サポートすら生きている間に逆張りショートを張るのは危険である」としていたが、やはりどんなヘッドラインが流れようとショートはあまりにも論外であった。4月のアノマリーも強烈に効いており月初から飛ばしている。ナスダックは「もし13600を上にブレイクできれば巨大なヘッドアンドショルダーを巨大なリバースヘッドアンドショルダーで返した形となり、逆右肩の12800が守られる限り最高値更新を何の疑問もなく見据えることになる」としていたが月曜から13600をブレイクした後、早速2%以上吹き上がっている。

 2件目のブロックオファーのヘッドラインやPPIを受けた瞬間的な金利上昇には釣られてはいけなかった。金利はNY Fedが20年債購入増を匂わせたり、また強いPPIにも耐えたのでしばらく波乱要因にならなそうである。中期的に波乱要因になりそうなのはエマージングか中国あたり発のヘッドラインだろうか。

VIX
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 この指数の上昇局面で目立つのは取引高の顕著な縮小である。先週の米株出来高はクリスマスイブ以来の少なさとなっている。2月にはあれだけ盛り上がっていた個人投資家がリオープンと共に株式投資からすっかり離れており売りフローが追加されない中、低下してきたVIXで押し出される形になった最後の機関投資家が買い上げている構図に見える。現に引け近辺で上に跳ねやすかったのはルールベースで執行する機関投資家の仕業だろう。
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 「VIXの低下に押し出される最後の機関投資家」の存在はDBのポジショニングからも観測できる。システマティック勢のポジショニング(上図青)は平均値まで戻ったところで停滞していたのが、再び上に跳ねている。機械は高値恐怖感を感じないのが特徴だ。裁量投資家のポジショニング(上図緑)は一足先に既に過去最高圏であったがまだ上値で積み上げ続けており、合わせると(下図水色)過去最高水準に急速に近づきつつある。
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 バンカメのウェルスマネジメント部門の株式アロケーションとマージンデットも共に過去最高水準となっているが、これらはやや長期のデータであり今日明日で変わったわけではない。システマティック勢のメクラ上値追いが終われば全部門全力ロングで揃うため、長期的にはそこまでアップサイドがなさそうである。
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 大いに役に立ったアノマリーとして4月の買い優勢は衆目の一致するところであり、従ってまだ4月半ばにもなっていないのにフライングセルインメイ狙いのショートは引続き危険が大きい。一方月中の推移を見ると、冒頭のチャートで水色の線が示すように今年に入ってから1,2,3月は全て上旬の指数パフォーマンスがよく、早くて15日をすぎたところ、遅くて下旬から月末にかけて調整が観測されている。とすると気絶しているだけでそれなりのペースでお金が増えるのは今週までと見ておいた方が安全なのか。
NAAIM
 NAAIMは先々週時点では総慎重だったため先週の上値追いは無リスクに近かったが、それなりの勢いでキャッチアップして来ている。

 テクニカルには新高値に売りなしが続く。サポートも依然3940とすっかり遠くなってしまった。ナスダックは過去最高値を射程に収めているが、ヘッドアンドショルダーの右肩ブレイクは最高値ブレイクまでしかコミットしないため、買いシグナルのオッズもだんだん悪化して来ている。最高値を更新しないで終わる確率よりする確度の方が遥かに高いとはいえ、それまでに紆余曲折を経るパターンになったらアホらしいので、中旬に差し掛かりつつある日柄もあって先週よりは上値追いに対してやや慎重なスタンスに変えていきたい。ただ地合いとしては個人投資家がすっかり抜けてGAFAM中心の上昇となっており、であればマクロな悪材料があっても抵抗力が付きそうな雰囲気が強く、何か起きても急いで下値を叩く場面には見えない。むしろ1~3月と同様の予定調和的なガス抜き調整が来た方が緩やかな上昇トレンドの持続性が増しそうである。
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 米銀を中心に決算シーズンが始まるが、解釈は地合いに従属しそうである。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。