SPX
Nasdaq
 先週のS&P 500はGAFAMのブロックバスターな好決算を見届けながら伸び悩む展開となった。MSは好決算でも延々と許されず、AAPLとAMZNは超絶好決算でも上がったところは寄り天となった。決算も反応もよかったのはGOOGLとFBくらいとなった。マクロ的には大したヘッドラインがなかったので、決算へのリアクションが全てとなった。FOMCは景気認識を上方修正しながらもハト的なスタンスとこれまた株にフェーバーな結果で返ってきたが、これもしけた反応となっている。総じてグッドニュースへの反応の鈍さが目立つ週間となった。

 先週の記事では「日足鯨幕が続いているので上値を追いかけても少なくとも金曜の現水準ではオッズがあまり面白くない。ナスダックは高値を更新できればティーカップとなるが2月のAAPLを見ても高値圏でのこのシグナルはあてにならない。全てのポジションを外すともし3度目の最高値更新が来た時に追いかけ直すか取り残される覚悟で上げを無視し続けるかという難しい決断を迫られることになるし、一方で押し目があっても大して怖くないので少しは引っ張る方が精神的には落ち着くが、基本的には上値追いは終了として押し目待ちに移行する時間帯か」としていたが、とりあえず企業決算を見て上値を追うことだけはしなくてよかったという結果である。

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 米株は伝統的に大半の企業が決算でコンセンサスをビートできるに予想が控えめに作られてきたが、今回はテックを中心に際立って多い(少なくとも1993年以降で最高の)86%の企業がコンセンサスを上回る決算を出している
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 幅にすると垂直に近いEPSの伸び方である。
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 一方、裏コンセンサスは明らかに更に先走っていたらしく、EPSベースで予想を上回る決算を発表した企業は1日で平均して0.3%の下落、下回った企業は2.0%の下落となった。機械は決算を当てにいかないので、この反応の悪さは明らかに裁量投資家が既にISMなどを手掛かりにポジショニングを最大限まで膨らませていた結果である。
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 DBによると裁量勢とシステマティック勢を合わせたポジショニングは過去対比96パーセンタイルまで伸びている。過去最高値を超えられないわけではないので「買える人はあと4%」という解釈をするわけではないが、少なくともショートカバーの上値追いが噴出しそうなポジショニングには見えない。
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 先物でもAMとレバレッジファンドを合わせると、既にS&P 500ロングを立ててきたが慎重だったナスダックでもネットロング転していた。
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 裁量投資家のポジショニングがISMに連動するとはDBが常々言ってきたが、CTAのポジショニングも野村がISMと比較している。いずれにしても、ブロックバスター好決算はブロックバスターISMによって既に織り込まれてきたということか。
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 本ブログが描いてきたように、リスクパリティがVIXの低下によって債券から押し出されて株に流れ込む様子を野村クオンツがチャート化している。

 テクニカルには上値が重いの一言に尽きる。日足もやや汚くて神経質に見えるし、週足は綺麗な上ヒゲ陰線となった。2度ほど発作的に試したものの2度とも押し戻された4215は強いレジスタンスとなる。先週言い始めた「上値追いは終了」は維持する。とはいえ何かVIXが20を超えていくようなイベントが来ないとリスクパリティの流入は続きそうであるし、先週こそ反射的にブロックバスターに利食いをぶつけたものの週末を経て冷静に考えてやはり買い直す動きが出ることもあり得るし、月末のリバランス売りも通過したところになるので、ショートは依然勇気がいる。4215をもう一度ブレイクできたら「やはりEPSの垂直上昇から指数の新たなトレンドが始まる」構図になり追いかけてもよさそうに見えるが、一方少なくともブレイクする手前では上値追いのオッズが悪すぎて休憩を決め込んでもバチが当たらなそう。下向きに動き始めた場合、今までは1%の調整でも拾う価値があったが、ヒゲがヒゲなだけにもう少し値幅を要求したい。

 上げやすい特異月の4月は終わった。一方後半は下げやすいという1〜3月の経験則は効かなかった。次はセル・イン・メイである。通常4月中旬の税金支払いは5月中旬に伸びている。過剰にアノマリーを追う必要はないだろうが、いずれにしても上値が重い間の上値追いはやる気が出ない。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。