SPX
 先週のS&P 500は一旦売りが先行してから金融やエネルギーを中心に反発し、再び過去最高値を更新した。先週「強いレジスタンス」としていた4215は月曜にレジスタンスとしてワークした形跡もあるが、週後半にかけてのラリーではあっさり突破されてしまった。

 先週の記事では「4215をもう一度ブレイクできたら「やはりEPSの垂直上昇から指数の新たなトレンドが始まる」構図になり追いかけてもよさそうに見えるが、一方少なくともブレイクする手前では上値追いのオッズが悪すぎて休憩を決め込んでもバチが当たらなそう。下向きに動き始めた場合、今までは1%の調整でも拾う価値があったが、ヒゲがヒゲなだけにもう少し値幅を要求したい」としていたが、押し目はせいぜい2%程度だった。
Nasdaqw
Nasdaq-100-Relative-to-the-SP-500
 一方ナスダックに関しては上値の重さをいくら強調しても強調しすぎということはなかった。先週の記事で記していた「4215をもう一度ブレイクできたら、やはりEPSの垂直上昇から指数の新たなトレンドが始まる構図になり追いかけてもよさそうに見える」としていたのはチャートだけ辿ればその通りであったが、ブロックバスター決算の連中は全く関係なかった。ナスダックに限って言うと一ヶ月前の記事で「最高値更新はコミットしているが、過去最高値の水準に近付くにつれてオッズが悪くなる」と描いていた展開からまだ逸脱していない。

Sell in may
 GSによると、Google Trendで毎年5月に近付くとSell in Mayの検索数は増える。今年は例年よりも多く注目度の高さを示しているが、これは個人投資家が増えた分自然でもあり、また大盛況であった昨年ほどではない。昨年は大外ししている。
DB
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 様々な証券会社がセルインメイネタで示しているように、シーズナリティ的にはここ数ヶ月はそこまでアップサイドがない。ポジショニングも先週と並べた構図から大して変わりはないだろう。ファンダメンタルズ的には雇用統計がやや滑ったが例のごとく都合よく解釈されている。雇用主側ではなく給付金との競合が背景とのことであるが、理由がどうあれ雇用統計が滑ったことにより早期テーパリングどころではなくなったことは間違いない。
Nordea
 コモディティインフレ懸念は高まっているが米金利はむしろ週間を通して上がりづらかった印象が強く、実質金利の低下だけが続く。これは足元のナスダック劣後とやや非整合的であったが、指数ベースの株高・ドル安には整合的である。

 テクニカルには週足は上ヒゲ陰線を下ヒゲ陽線で打ち消し、先週までの弱さが打ち消される形となる。金利と同様、上値の重さは下方向への揺さぶりによって逆に解消された感がある。下ヒゲを作った先週安値の4130はサポートとなり、2~3月のヘッドアンドショルダーのなり損ないパターン(冒頭チャート)のやや小さいバージョンに見えてしまう。ショートの支えとなり得た4215レジスタンスは消滅してしまったためショートは依然危険である。ただ下値は固まったように見えるものの、4130までの100ポイントのダウンサイドリスクを取るとして、釣り合うほどのアップサイドが残っているかも怪しいので、高値を追いかけるよりはやはりどこまで押し目を拾えるかに注目したい。
SP-500-vs.-Retail-Favorites
 個人投資家が選好する銘柄はアンダーパフォームが続いており、中旬に控えている税金支払いの影響もこのあたりに集中する恐れがある。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。