先月の記事でヘッドアンドショルダーを取り上げて以降、香港株はヘッドアンドショルダーの右肩に押され続けている。一時右肩に近付く場面もあったがそこはもちろん売り場となった。一方下値が割れるわけでもなくダラダラと長く広いレンジが続いている。アルケゴスの敗戦処理はとっくに終わっているが、それでもアク抜けとはなかなかなっていない。
国営企業を除いたニューエコノミー中心のCXSEも5月中旬に一度出来高の激増で拾える場面があったものの、モメンタムに逆らうリスクを取ることになった割りには大して報われていない。
テンセントもブロックバスター決算を発表したが市場の反応は冷めている。数字はともかくどの方角を見ても「規制当局の監視強化」を警戒するコメントばかりである。また増えた利益の一部を自社ビジネスに再投資すると発表しているが、自社株買いができる米国テックと違い限界まで再投資していくとマージン低下にしか繋がらない。穿った見方をすれば儲けすぎ、資本家に儲けさせすぎは政権に目を付けられる可能性が高まる局面が続いていると見ることができる。独禁法調査もまだ結果が出ていない。
最高指導者の私怨もあって当局から虐められていたアリババはもし独禁法罰金の「出尽くし上げを全戻ししたらチャートは更に悪くなる」としていたが現にそうなっている。こちらを見ているとテンセントの調査結果が出てもわざわざ出尽くし上げを演じるのもアホらしいのではないかという気がしてくる。アリババのフォワードPERは既に20に近付いておりバリュエーションは安くなりつつあるが、それがいつ材料視されるのか。
というわけで短期的には香港、中国のニューエコノミー株は少なくともUSピア対比で持たざるリスクをあまり感じない状態が続いている。香港株にありがちな長い鳴かず飛ばず状態に陥るのを回避するにはやはりテクニカルなHSI 29700突破が必要があるか。ファンダメンタルズ的にはセンチメント改善のきっかけは政権交代くらいしか思い付かないが、一応7/1の共産党100周年をすぎればある程度の政治面の大らかさが戻ってくるか。「反発のきっかけ」らしさはゼロだったがジョージ・ソロスがどうもアルケゴスがぶん投げた百度をキャッチしたらしいのはこのセクターのセンチメント面での支えとなり得るか。もし29700突破が成れば「3万ポイント台で定着しない」法則をひっくり返す可能性は引続き期待しているが、それまでは良くてレンジ取引ということになりそうである。
関連記事
中国、香港株は依然チャートが弱い
中国テックは春節後恒例のリバーサル
これより先はプライベートモードに設定されています。閲覧するには許可ユーザーでログインが必要です。
この記事は投資行動を推奨するものではありません。