SPX Daily  
 先週のS&P 500は予想に反してFOMC前後から崩れてしまった。FOMCでは思いのほかタカ派な結果が出て話題を呼んだ。前回の記事では「テーパリング示唆開始も6月説があったが雇用統計からは依然明確な示唆がなく、8月ジャクソンホールまで持ち越されそうな雰囲気である。事前のハト化期待が異常に盛り上がるとフルポジで突入するのがややオッズが悪くなりそうだが、そうならない限りは無難なイベントとなるか」と完全に油断してしまっていた。テーパリングではなくドットチャートが動いた。指数は分水嶺としていた4208をブレイクして4166まで下落した。一方ナスダックは今年に入ってからでは珍しくタカイベントを耐え抜き、いまだに過去最高値近辺で推移している。

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 DBポジショニングは裁量勢もシステマティック勢も過去最高水準での拡大が続いていたが、先週後半の調整で一部の参加者は出鼻を挫かれるか。指数別の先物で見るとS&P 500の大幅ロング、ナスダックのそれなりのショートが続いており、今週の値動きは明らかにペインに動いている。
 
 FOMCはタカ的であったが長期金利は全く上昇せず、そういう意味で長期金利上昇懸念は会合の内容にかかわらず存在しなかった。しかし本ブログが可能性を全く見落としていた、2月末以来の大規模な中期金利上昇は定石通り相場にとってネガティブ要素となった。
US BEI
XLF
 一方、春と異なるのはナスダックが強靭な抵抗力を見せたことである。今までの金利上昇懸念ならテックが弱くなり景気敏感株が抵抗力を示すはずであるが、現に起きているのは逆であり、コケたのはあくまでもインフレトレードの方である。BEIも急落している。これは足元のインフレが一時的であれば当然であるがなぜ「今」か。「タカ派なFedがインフレを引締めるためインフレ高進の可能性が薄れた」という解釈もできるが今ひとつピンとこない。何よりもこの展開はBofAのFMサーベイが示唆した通りでありポジショニングが影響していると思われ、FOMCはただのきっかけか、あまり関係ないようにすら見える。不人気でポジショニングが軽いテックに代わり、好調が続いた金融セクターの下落が目立つ。金融政策については今週Fed関係者の講演が続いており、火消しが行われるかダメ押しになるかに注目であるが、いずれに傾いてもインフレトレード再開のきっかけにはなりづらいだろう。
SPX Seasonality
 あくまでも今にしてみればであるが、シーズナリティ的に6月後半は急落しやすくなっている。もっともこの調整は角度は急であるものの本格化しやすいわけではなく、その後は高値圏で夏枯れに入りやすいように見える。こちらも前もってチェックできなかったアノマリーだが金曜はトリプルウィッチングであった。12月のクアドルブルウィッチングすら1日下げただで終わったのでこちらは済んだ話である。

 テクニカル的には2本続いた週足下ヒゲ陽線が下にぶち抜かれてしまい週足は上抜け否定の調整モードに入る。日足でも今まで長居しなかった50SMAを下にブレイクした。「4208は元々のレンジの上限にも当たるので重要な水準となっており、もしブレイクされたら再びレンジ内の推移に戻るか」としていた通り目下は4060 -4230レンジに逆戻りするか。ただインフレ懸念から解放されたナスダックがここまで強い中でインフレトレードの巻き戻しだけで4060近辺まで調整するのは難しそうに見えるので、レンジ下半分は押し目買いを並べてもあまり不安がない。一方で上抜けに失敗してレンジ内に戻ってしまったため上限近辺の4208 -4248は重そうであり、週が始まってまずこちらを試すようなら4208割れで投げ切れなかった分を軽くして6月後半の押しを待つべきか。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。