SPX Daily
 先週のS&P 500は前半に慣性で上値を試し続けたが、日足で上ヒゲ陰線を連発したところから上値の重さが目立ち、週後半にはすっかり重くなってしまっている。先週時点でテクニカルには週足下ヒゲ陽線で売る理由がなかったが、先週の記事で「一方金曜の中国株の下げさえ止まれば万事オッケーなメッセージはショートカバーにしても自棄っぱちに見える」「特に中国株の急落→当局が何らかの施策で支える→8月を迎える、という流れは2015年を想起させやすくあまり縁起がよくない。ではヒゲに向かって売りたいかというとそこまで弱さも感じられないものの、4290サポートをブレイクしたらそこで調整が深刻化すると見て切ればよいので押し目で作れたポジションは割り切って引っ張ってもよさそうと思いつつも、高いコストで追いかけて新規買いは作りたくない気持ちはある。インフレ懸念が消滅したのでテックが無リスクになった、とは引続き言えるもののそれくらいしか高値を追いかける根拠がなくなっている」「シーズナリティ的には7月の新高値更新までの上げは大体実現し、本気の追いかけ買いは9月以降の方が安心感がある」と定性的に慎重さを被せたのは正解であった。テクニカルの4290サポートは破られてはいないものの、それだけで方向性を作るほどでもなく相場はやや重かった。

db positioning  
VIX
 久々にポジショニング。裁量投資家は依然高値恐怖感とFOMOの間で無意味に揺れ動いており、一方でVIXもすっかり上がりづらくなったことからシステマティック勢は淡々とロングを積み上げている。この動きは少なくとも先月や今月に体験済であるVIXの20超え程度では反転しないようだ。3月や5月に見られた20台後半までの振り落としが来ればその後年末まで安心できそうだが、そこまで行くかどうか。念のため、もしVIXが再び21を突破したらリバースヘッドアンドショルダーになるが、もちろんVIXチャート上の図形は無意味である。
NAAIm
 NAAIMも揺れ動いてきたが、こちらは7月に入ってから動きが止まっている。特に情熱的になれるポジティブ要因も見つからないが、小さめのロングを引っ張る分には大丈夫だろう、ということだろうか。
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 パウエル議長の上院証言は当然ハト的であったが、反応したのは金利サイドだけであり、株サイドは銀行株に悪影響を与えただけでゴルディロックスは進まなかった。これでテックを含めて情熱的になれなかったなら、一旦振り落としが行われないとこれ以上伸びづらい印象を受ける。7月のFMサーベイでもマクロ環境への自信がポキッと折れたのにリオープンプレイが伸び切ったままであり一旦整理される必要がありそうだ。
SPAX
Russel
 「文句の付けようがないGAFAMをとことん引っ張りつつ、過熱感警戒でベータを落としたければ少しでも問題が出てきた組から順に蹴り落としていくのが最も居心地のよいポジショニング」は続いているが、「テックだけが高値追いの根拠となっている」のは少なくとも相対的には変わっていないが、中国ADRだけでなくラッセル2000も蹴落とし、あまりにもGAFAM一本打法しか残らなくなった後ではどう収拾するのかがあまり見えてこない。
$SPX
 テクニカルには週足で下ヒゲ陽線を上ヒゲ陰線で返した形となり、4400はレジスタンスとなる。先週の記事では「4290サポートをブレイクしたらそこで調整が深刻化すると見て切ればよいので押し目で作れたポジションは割り切って引っ張ってもよさそう」としていたが、4290サポートは出番がないまま一旦忘れ去られる。買い方は一旦ポジションを縮小して4400をまたブレイクしたら追いかければいいくらいの意識で一旦サイドラインに立つ方が安全そうに見える。シーズナリティ的には8月いっぱいまで湿気ており、また現に上に走りそうな材料がよりも(デルタ株をはじめとして、どれかが実現するかと決め打ちしようとするとどれも怪しいものの)リスク材料の方が多く、ベタッとポジションを張って8月に突っ込むよりややリスクプレミアムを要求したい気持ちがある。調整パターンに入った場合、下値目安としてまず視界に入ってくるのは3月以降毎回付けては跳ね返ってきた日足SMA50の4240となる。4290が割れるかどうかはあまり重要でなくなる。

 一方、もし4300台で戻す局面があれば4400越えで踏む覚悟で久しく封印していたショートを試してみたい。もっともその場合のターゲットはせいぜい4240を付けたらラッキーというところなので速戦即決が鉄則となる。夏にいよいよピースが揃って本格的に暴落を狙えそうにしか見えない局面が来ることは2,3年に一度はあるが、だいたいその時が底なので下がった後にやたらと悲観的になることだけは避けたい。調整後の買いのエントリーは値幅より日柄(シーズナリティ)に注目か。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。