SPX Daily
 先週のS&P 500は再び停滞した。中国株ADRを巡るセンチメントは更に悪化し、またGAFAMの決算も反応が湿気たものとなった。中国株ADRを外すのはいいとして、代わりに資金をGAFAMに移すのも直近の値動きに当てはめると安心感があるものの、割高感であまりやる気が出ないようである。一方、週明けに下押ししたところも押し目買い意欲が強く、週足は陰線になったものの下ヒゲの方が長かったため週足的には売りサインが出ない。先週の記事では「中国株ADRのクラッシュは局地的クラッシュの扱いになりそう」「7月FOMCも材料視されづらそう」としていた各論は当たったものの、「とはいえ「8月のシーズナリティが湿気ている」のは変わらないので、どこまで安く拾えるか」とテクニカルを無視して上値追いを拒否するのは正解となった。

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 久々にDB Positioning。裁量投資家は相変わらずポジションを高位に維持しつつ一喜一憂している。直近の調整ではシステマティック勢のポジションカットとも少し共鳴した。しかし今のところ大規模な調整はまだ起きていない。
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 エコノミックサプライズは低迷している。裁量投資家はポジションを高位に維持し続けることは否定されないにしても、一層のブルポジションを重ねる役割はあくまでもシステマティック勢に委ねられそうである。とすれば「荒れると困る」という態勢となるか。
VIX
 今のところVIXは20近辺でウロウロしているため、システマティック勢の押し目買い意欲は維持されそう。25までブローアップした先々週はどうもシステマティック勢の調整を呼んだらしいことを考えるとそのあたりが強弱の分水嶺となるか。

 決算的にはGoogleが前四半期に続き素直に堅調、MSFTはいつもながら事前の期待が高く、Amazonがリオープンでやや減速している。先週の記事では「滑る方にベットするのは分が悪い上に、多少滑ったところで押し目にしかならなそうである」としていたがどう答えが出るか。中国ADRと不動産業界のセンチメントは現在進行形で悪化の一途を辿っており、特に後者は改善シナリオが全く見えない。株的には「文句の付けようがないGAFAMをとことん引っ張りつつ、過熱感警戒でベータを落としたければ少しでも問題が出てきた組から順に蹴り落としていくのが最も居心地のよいポジショニング」で思考停止しても今のところ害はなかったが、中国の投資環境悪化が人民元相場などに波及する場合はさすがにそうとも言ってられなくなりそうである。デルタ株は依然あまり材料視されていない。米国で病院がパンクするまでは材料視されなそうである。
$SPX
Monthly SP500 y

SP500 seasonality
Aug peak
 8月のシーズナリティは湿気ており、特に大統領1年目ではそうである。とすると7月までのように少し調整したくらいですぐ新高値更新を狙う目線を続けるとオッズが悪くなりそう。決算を通過して夏休みの間に今更資金流入が加速するイメージも付かない。テクニカルには上昇トレンドが続いているが、マクロ的には中国ネタがいつ深刻化してトリガーを引くかを待つだけの相場でもあるので、そこそこの調整が来ても握り続けるならともかく、週足が弱気転換する4230割れを待って改めて投げようとするにはお金がもったいない。Fedはようやくデルタ株の金融政策への影響を否定してテーパリング匂わせの準備を整えているところであり、中国株発にしろデルタ株発にしろクラッシュがあっても方向転換は取りづらく、先々週のような予定調和的な調整を超える規模の調整が一旦来た場合はインパクトが長期化しそうに見える。ショートを再開するほどではないにしろ、8月中はあまりにもやる気が起きない。一旦は最高値更新で効かなかったことになった「買いのエントリーは値幅より日柄(シーズナリティ)に注目」は思い切って維持したい。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。