
散々こき下ろした中国テックだが、ARKが一部の中国ADR銘柄を買い戻したとのニュースで暴落したところから暴騰している。少し前の記事でARKはずっと中国についてオープンマインドであると言っているものすぐ買い戻しそうに見えない、としていたが即座に掌を返された形となる。金余りなのでわざわざ大挙して売却する機関投資家がいないとしていたが、ARKも金余りですっかり割安になった銘柄をいつまでも回避しているわけにはいかないということか。ここからのヘッドラインは、政策修正というよりは新たなクラックダウンが続く可能性がやや高そうであるし、一方市場参加者もベアヘッドラインには飽きており、それよりもフローを追いかけていく毒を食らわば皿まで感も漂っている。というところで、ニュースを無視して純粋にKWEB/CWEBのテクニカルだけ見たらどういう図が見えるかを考えていきたいと思う。
チャイナショックの時もそうであったが、長らく注目されていなかったところからの急騰ならともかく、既に急落で注目されている中での急反騰はあまりよい兆候ではなく、急騰からそのまま一直線に反転するとはあまり考えづらい。フレッシュに捕まったままの参加者がまだ大勢いると思われるからである。実際、KWEBで言うと2度50に載せた場面、CWEBで言うと2度25に近付いた場面で売ればよかったという後悔は市場参加者の多くの心の中で残っていそうなチャートとなっている。であればKWEBで言うと50 -53、CWEBで言うと23-25は反射的にやれやれ売りが出やすいゾーンとなりそうである。このゾーンを何か新材料で突破して初めて底打ち反転を確認できるのではないか。それまでは発作的な反発の域を出ない。
もっとも前回の記事では「出来高が急増して新しい傷付いていない投資家がこのポジションを吸収しないと相場は反転しづらそうである」としていたが、実はその直後から出来高が急増していたのは皮肉であった。7月安値付近で一度出来高は増えており、それまでの投資家の投げ売りを新しい投資家が相当数キャッチした。しかし、一旦それで跳ねた後に続く投資家がおらず薄い中を自重で潰れていき、再び7月安値が割れるともう一度新規投資家の投げ大会となった。もっとも、金余りとアニマルスピリッツの健在によりそこでも新規資金が入っており相場は再び反発した。そこにARKの買戻しのニュースが入って更に出来高急増と共に相場が一段と持ち上げられた。

二度目の出来高急増局面で入ってきたのはVanda Researchというところによるとリテール投資家が主力であったようである。ARK自身のインフローもあっただろうが、彼らはトレードを毎日公表しているということもあり、大半はフォロワーの追従買いではないか。注目とは言っても全員が「安くなったけどいつになったら入れるかは分からない」と思いながらの注目なので、一旦カタリストが出てくると一気にワッと追いかけがちとなる。ワッと追いかけたとなると信心が大して深くない人達が、跳ねた後の24日の出来高を見ると高いコストでもポジションを構築している形となり、仮にもう一度8月安値も割れた場合、2度目の新規投資家も追い出されることになる。また(ARKの買いが案外続いたり他の銘柄も買い出したり、或いは他のファンドも買い始めるなど)材料が続けば上値を追いかける動きには事欠かなそうに見える一方、浅い含み損状態で盛り上がらない時間帯が続くと再び自重を感じるようになるのではないか。そのパターンになってしまった場合、「資金流入が続く資産は、何もない間はじり高が続き、タイミングによっては振り落としが起こるもののすぐにV字回復してまたじり高が始まるサイクルを描きやすい。一方、資金流入が途絶え流出に転ずる資産のチャートはこれを上下逆さまにしたもの、安いのを見て発作的に買われることはあっても買いが途切れるとまたじり安に戻るという図になりやすいだろう」で想定していた図が実現することになる。
ARKが掌を返したとはいえ機関投資家の買戻しがあまり見えていない中、鉄火場に飛び込む個人投資家がよくも悪くも絶えないので、神経質な展開が続きそうである。上で飛び乗るなら違うと思った時はすぐ降りられる態勢を維持すべきであり、飛び乗っておいて違うと思っても損切れないとなると上から下まで持っていかれそうに見える。一方、一直線に下がり続ける場面もどうも終わったようであり、24日の大暴騰により

個別銘柄を見るとARKフォロワーがメインプレーヤーなだけあって、ARKが買うと言っているJDのチャートは強く、ARKが買わないBABAは弱く格差が鮮明である。24日は個別銘柄ベースでも相当出来高があった。BABAは8月月初の戻り高値まで相当距離があって戻るのが大変そうであり、一方JDも夏のレンジは上に抜けたものの、4月以来の高値が居並ぶ水準に近付いている。となると単発ニュースによる持ち上げではやはりこのあたりが限界ではないかと思われ、一方ブレイクしている銘柄もあるということになるので、ETFでも8月月初の戻り高値のレジスタンスも絶対ではないという希望も抱かせる。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。