先週のS&P 500は先週警戒していた通り一旦荒れたが、一週間以内に地合いを修復している。エバ―グランデ問題のスピルアウトについては確かに月曜は材料視されたが、本ブログでも取り上げたように金融システムや海外への波及がなさそうと分かると2日以内には消化されてしまった。エバ―グランデ問題が今後経済に与える影響がグダグダと材料視されることはなく、木曜に予定されていた米ドル債の利払いがなかったことも瑣末なイベントとして片付けられた。エバーグランデについては同業他社と銀行間の流動性をモニターしていくことになる。
FOMCは「2~3%株が下がったところでテーパリングスケジュールは変わらないだろう」どころか普通にタカ的であり現に長期金利は大きくブローアップしたが、それも株には無視されている。このテーパリングスケジュールの硬直化は8月から述べてきたものであるが、株に関してはあまり役に立っていない。
50SMAとの絡まり方や日柄はこれまでと少し変わったが、結局金余りがあまりにも激しいのでグダグダと弱い日が続くというシチュエーションはやって来ず、クラッシュしたところですぐ拾わないとすぐ祭り終了になるパターンになったという意味ではこれまでと同じだった。「ショートで大幅な下落を狙ったり下でぶん投げる用意はしていないが、下で消極的に対処することにならないようにするためにも、レジスタンスの手前でポジションを軽くしておくことが重要」は目の前のクラッシュの心理的な対処として正解ではあったものの、下で逆張りで買えていないと意味がなく、そういう意味では過剰流動性下では「日柄とヘッドラインの消化」を待っている場合ではなかった。
VIXは先々週の記事で「仮に19日を過ぎても底を打たず、また50SMAをしっかり下に切るような5月以降の様々なパターンが崩れ、5月以来初めての大規模な調整という解釈となり、となるとVIXが25を超えて30を目指しても文句を言えないだろう」と描いていた通り、まさに一時29まで上昇した。また先週の記事でも「今週に入って更に金曜の下値割れ(=サブ50SMAの掘り下げ)が続くならここ半年のパターンからの逸脱となり市場参加者は改めてダウンサイドに備え始める必要に迫られそうである」としていたが、現実にはこれの早送りで終わってしまい、そこから指数が反転するにつれて激しい勢いで全戻ししている。
NAAIMは木曜にこれなので、VIXほども焦っていなかった形になる。
週次のEPFRファンドフローで株式ファンドが2021年に入って初の資金流出週になったのをBofAが取り上げたことが話題を呼んだが、別途流れてきたヒストリカルファンドフローを見ると前の週が異常な流入となっているのでテクニカル要因の入り繰りであってセットで見るべきと思われる。来週も流出が続いたら本物であるがやや期待薄に見える。
FOMC後に金利上昇が止まらないが、今のところは悪影響が限定的に見える。GSによると1ヶ月以内に1σ以上上がるとS&P 500はあまり上がらなくなり、2σ以上上がると下がりやすくなるため、さすがにこのまま1.5台に入ったら要注意である。
テクニカルには下を掘ったもののそこでは買いにぶつかり、週足は下ヒゲ陽線になった。下ヒゲの4305はサポートとなる。一方でクラッシュした後に下ヒゲ陽線を作ったので、4520, 4492と降りてきたレジスタンスの意義は薄れてしまう。VIXはすっかり10台に戻ってしまっており、次のベアヘッドラインとなりそうなエバ―グランデのデフォルト認定まであと1ヶ月あるので、その間に先に耐えられなくなった方が折れることになると考えると、エバーグランデネタやチャートのレジスタンスを手掛かりにショートを仕掛けるのは引続きストレスが高そう。もっとも、過去の調整でも下ヒゲ陽線からそのまま翌週も上がり続けることもありそうでなかったし、50SMAを一度は有効打で割り込んでいるのですぐに最高値を更新できるほど上昇の勢いが強いようにも見えず、となるとあくまでも4305を背にどこまで深い押し目を拾えるか。一方、4305がもし下にブレイクされたならさすがに50SMAはしばらく蓋になりそうである。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。