SPX 
 先週のS&P 500は大がかりな調整が続いた。エバ―グランデ(中国恒大)のニュースは市場参加者に飽きられたものの、一方で週明けから中国の停電によるサプライチェーン寸断の悪化、欧米のガス価格高騰などでスタグフレーション懸念が少し持ち上がり、それに対応する形で株と債券のダブル安となった。これはかねてから述べてきた、9月FOMCを仕上げとするテーパリングスケジュールの硬直化に伴うものでもあったと言え、更に同じく会合を開いたイングランド銀行なども供給制約に対してもタカ化しそうな観測も流れるなど、世界中で複数の中銀がシンクロで引締めに転ずる絵になった。指数は前日比プラス域での売りが連日強く、更に期末日にはヘッジ付き株式ファンドのダウンサイドヘッジのロールも放り込まれて下値が神経質になった。

 先週の記事では「ショートを仕掛けるのは引続きストレスが高そう。もっとも、過去の調整でも下ヒゲ陽線からそのまま翌週も上がり続けることもありそうでなかったし、50SMAを一度は有効打で割り込んでいるのですぐに最高値を更新できるほど上昇の勢いが強いようにも見えず、となるとあくまでも4305を背にどこまで深い押し目を拾えるか。一方、4305がもし下にブレイクされたならさすがに50SMAはしばらく蓋になりそうである」としていたが、4305は金曜に一時下にブレイクされてしまっている。もっとも、長期金利上昇が株式指数に与える悪影響として「1.5台に入ったら要注意」としていたのは有意義であり、1.5台に入った途端に指数も重くなった。そこは1.4台でも1.6台でもだめだった。

VIX 
 一方、先週の記事では週足下ヒゲの4305を分水嶺としていたが、実際には金曜に4305を下に割ったリアクションとしては15ポイントほど下に滑ったものの、その後分水嶺の下から反発している。結果論ではあるが、下にあまり走らなさそうというのは指数が9/20安値を割ったにもかかわらずVIXが9/20高値に遠く及ばなかったところからある程度予想可能ではあった。長期金利は週間を通してリスクオフに対してやはり硬直的であったが、金曜は過激な中銀引締めの可能性後退を象徴するとも言い張れるブルスティープニングに転じGAFAMを支えた形となる。
DB US Equity Flows
 金曜はそうだったとはいえ、DBによると恐らく金利上昇懸念でラージキャップから少し資金が流出している。昨年年末の金利上昇局面入りに伴うGAFAMの劣後局面でも資金が流出しスモールキャップに流れたが、今回は果たして。なお今回は中小型も資金流出となっている。
NAAIM
 NAAIMは一週間で大きく悲観に傾いた。この悲観ぶりは6月以来の毎月のパターン通りの調整時のものより遥かに激しくセル・イン・メイの5月以来となっており、調整幅と整合的となっている。となると油断がだいぶ減ったため調整もいいところまで来たと言えそうであり、少なくともショートの難易度は上がっていると言えるではないか。

 マクロ的には10/1に発表されたISM製造業は悪くなく先月の小売売上高に続いて米国の指標は悪くない流れが続いている。一方マイクロンの見通しが弱気だったのが話題になった。
NDX
QQQ
 テクニカルには週足下ヒゲ陽線の下ヒゲ4305がブレイクされ週足的には下値余地が広がったままとなる。この下ヒゲブレイクパターンの否定は4460、放り込まれたコール売りのストライクが4450、50SMAが4440近辺ということで4450近辺は相当上値が重そうに思え、(ブレイクで走らなかったものの)「4305がもし下にブレイクされたならさすがに50SMAはしばらく蓋になりそうである」は維持しても問題なさそうに見える。S&P 500の4450に相当する先々週の値動きがヘッドアンドショルダーの右肩を形作ったように見えるNDXにおいてその傾向はより一層明瞭である。本格的な上昇追随はやはりこの右肩(S&P 500 4,450, NDX 15,400)のブレイクを待っても遅くはなく、これらの水準の手前は一旦やれやれのリスク整理を行う場に見える。金曜の日足は下ヒゲ陽線で日足レベルの底打ちを示唆しているが、セリングクライマックスに見えるほど出来高が盛り上がったわけではない。一方「金利上昇で始まるリスクオフは金利低下に終わる」というパターンに従う形で金利も落ち着いてきたように見えるし、木金で日足ベースではある程度の振り落とし耐性も観測されたため、週足下ヒゲがブレイクされたからとて下値を売り急ぐ場面でもないように見える。新たな材料が出てくるまで、一週間レベルでは4290 -4450のレンジを見込んでもバチが当たらなそうに見える。

これより先はプライベートモードに設定されています。閲覧するには許可ユーザーでログインが必要です。


この記事は投資行動を推奨するものではありません。