SPX Daily
 先週のS&P 500はレンジ内の反発となった。先週の記事では「本格的な上昇追随はやはりこの右肩(S&P 500 4,450, NDX 15,400)のブレイクを待っても遅くはなく、これらの水準の手前は一旦やれやれのリスク整理を行う場に見える」「新たな材料が出てくるまで、一週間レベルでは4290 -4450のレンジを見込んでもバチが当たらなそうに見える」としていたが、実際の一週間の可動域は4280 -4430となった。月曜は下値を試したもののレンジ内に跳ね返り、木曜には上値を試したものの強いレジスタンスとしていた4450を前に反転した。4290 -4450のレンジは下に10ポイントほどずれたが、値幅も含めてほぼ完璧だったと言えるだろう。
Nat Gas and BEI
 ヘッドラインとしては欧州で天然ガス急騰騒ぎがあり、英国のBEIも連れられて一時4%を超えたが、一時的にはロシアの安定化発表を受けて鎮静化した。債務上限は12月に先送りになった
HSI
 中国不動産市場発のバッドニュースは依然続いており、ハンセンの弱さは週明けを中心にセンチメント悪化のきっかけの一つになったが、一週間終わってみるとこの指数はとことんテンポがずれており、モニターするだけ時間の無駄だった。とはいえ、エバ―グランデや中国不動産周りのヘッドラインはだらだらと続きそうではある。

TNX 
 米金利はインフレ期待主導で更に続伸して1.6台に届いた。雇用統計は先月に続き解釈しづらい数字となった。9月はそこから19日に向けて下落トレンドが始まったが今月はどうか。
HYG
Tech vs Bank
 株の金利上昇へのリアクションはテックに集中しているが指数全体で見ると、本ブログが警戒していた通りに初めて1.5台に載せた時のショックと比べるとそこまででもない。ハイイールド債は金利上昇で相当弱くなっている。夏の小さな金利上昇については「株よりもアップサイドが薄く金利上昇に敏感なハイイールド債すらクラッシュしていないのに株のクラッシュは期待薄」としていた時期もあったが、今はその論理が使えなくなっている。
Real Yield vs PER
 最近一貫してベアだったモルスタは更なるバリュエーション調整を警告している。S&P 500のフォワードPERは実質金利と連動を示してきたと言われており、だとすれば実質金利上昇はフォワードPERを切り下げる要因になりやすいが、今のところ金利上昇は主にBEI主導であり実質金利はまだ十分に低い。
GDPnow vs BEi
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Gold
 それとは別にGDPナウも低下しており、BEIの上昇と合わせてスタグフレーション懸念が燻る。もっともスタグフでパフォームしそうなゴールドの低迷を見てもあまりスタグフらしい織り込みとはなっていない。
NAAIM
 NAAIMは指数のチャートと似ており、悲観に行った後に少し反発している。やはり総悲観の先週に下値を売るべきでなかったのが分かるが、一旦はNAAIM発の明確なシグナルが消えるか。

 テクニカルには上昇トレンドが折れて調整した後のレンジが続く。4450のレジスタンスは当然引続き重く、いくつか集まっている抵抗のうちの最も低い50SMAの4440にも先週の時期尚早な上値攻めは届かなかった。中でも弱かったNDXは15,400に届きそうにもなかった。一方下に向かう圧力もマクロ環境の割りには強くなく、週足は下値を掘った後に反発して2本目の下ヒゲ陽線となっている。2本前の週足下ヒゲ陽線はあまり意味がなかったが今回はどうなるか。いずれにしろ先週の記事で決め打ちした4290 -4450レンジは下値が少し足が出ただけで基本的には健在であり、今週も4280 -4450レンジが継続しやすいか。「本格的な上昇追随はやはりこの右肩(S&P 500 4,450, NDX 15,400)のブレイクを待っても遅くはなく、これらの水準の手前は一旦やれやれのリスク整理を行う場に見える」は維持する。日柄的にはこれまでの数ヶ月の経験から19日に向けて下落トレンドに入りやすそう。前回の下ヒゲ下抜け後のリアクションを見ても4280を下に抜けたところにショートで付いて行こうとすると依然ストレスが高そうに見える一方、4450レジスタンスも更に明確であり、レンジ内で高値を追いかけたり安値を投げることだけは避けたい。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。