

先週のS&P 500はテスラの大型受注から急騰し時価総額が大きく膨らんだのを受けて上値追いセンチメントが煽られた。先週の記事では新高値に売りなしとしていたものの、NAAIMを見て少し調整しないといけないではないかとしていたのは余計だった。週半ばには小さな調整が行われたものの即座に押し目買いで全戻ししている。出遅れていたナスダックも「S&P 500と同様の過去最高値更新が時間の問題になった」としていたが早速過去最高値を更新した。

GAFAMの決算は明暗が分かれたが、それでも全体の強い地合いを曲げることにはならなかった。AAPLとAMZNが滑ったがそれでも週間を通してフラットであり、決まったMSFTとGOOGが大きく上昇した。

テスラの上昇に煽られる形でナスダックのコールは再び大きく盛り上がった。

コールも盛り上がりはVIXの底堅さに繋がった。先週の記事では「ショートは油断しているとシステマティック勢の突撃に轢かれるリスクが出てくる」としていたが、それに限っては指数高VIX高へのシフトとなれば主役にならなそうである。とはいえ、システマティック勢を追い出すほどVIX上昇が目立ったわけではない。これが指数が上値を追いながら20を超えたりしてくれば失速に繋がりやすくなるだろう。

コールで突撃するくらいなので当然NAAIMはブル極にあり、それを見るとやや神経質になってしまう。

シーズナリティ的には年末にかけて自社株買い再開などで大幅に買われやすくなる。

グローバルでは中央銀行の早期利上げ織り込みラッシュとなり、また欧州でも周辺国スプレッドが特に理由も分からないまま広がっておりリスクオフ色が強かった。一方先進国の長期、超長期金利は上がりづらく、金利カーブのフラットニングはただグロース優位を強めただけとなる。米金利の20-30年スプレッドが需給でインバートし、「金利カーブインバート=ポリシーフェイルの織り込み」などと脊椎反射を呼んだが株にとっては取り上げる価値がなかった議論である。ハイイールド債だけはデュレーションが短いため短期金利の上昇により反応した。

またTIPSの買いは米国債の買いに続かず、週後半にかけてBEIが失速したのも目立つ。それに伴い実質金利が上昇しているのは教科書通りには悪い実質金利の上昇と言えるが、そもそも誰も想定していなかった▲1.1という深いマイナス域からの反発なので深刻に捉えられるとは限らないし、船賃など供給制約の緩和を織り込むものならばむしろフラットニング株バブルを裏付けるするものとなる。
とはいえマクロ的なサポートが基本的になくなった中で、コール買いが煽る指数上昇に付いていくのは心理的に抵抗が大きい。先週は短期的な調整での押し目買いを狙っては押し目が来なかったが、このスタンスは引続き維持する。テクニカルには週足は短いものの下ヒゲ陽線となっており強気トレンドが続く。4535が週足サポートとなり、それすらブレイクされないようでは売りはコールの盛り上がりに焼かれる危険性が引続き高そうである。一方、高値を追うのもシーズナリティの味方があるものの、もし金利側のマニアックな懸念が遅れて伝播することになったらアホらしいので押し目買いくらいが釣り合うのではないか。もっとも今週はFOMCがあり、一番アホらしいのは早期利上げ否定が改めてコミットされた場合にマクロベアが結局自棄っぱちで上値を追わなければならなくなることか。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。