米国の景況感は2016年の通年ラリーの後、2017年前半から一貫して減速していたが、7月3日に発表されたISM製造業景況感指数は57.8と、サプライズで3年ぶりの高水準になった。これで米国の景況感に対する懸念は一気に後退し、金利上昇の継続を後押しした。
ISM PMI
このように米国のISM製造業は中国のCAIXIN製造業PMIと実によく連動するのがわかっているため、筆者は中国から原因を探す癖が付いている。。同じく7月3日に発表されたCAIXIN中国製造業PMIも5月の50割れから50.4に反発している。米国の製造業景況感が中国に影響を及ぼすとは考えにくいので恐らく逆の因果関係があると考えられる。しかし、中国は以前の記事にも書いたように、2017年前半は金融引き締めが続いており、景況感は圧迫されるものと考えられていた。実際、中小企業の景況感は金融引き締めで大企業よりも悪い。2016年の劇的な回復は不動産投資が牽引していたが、住宅価格は金融引き締めで北京、上海共に調整下落が始まっており、不動産投資は頭打ちになっている。
新築
固定資産投資

代わりに大企業の景況感を回復させたのは、意外と輸出ではなかろうか。やや古い記事となるが、 伊藤忠経済研究所の中国経済情報 2017年3月号では景気模様を詳しく解説している。その中で目立って良いのは輸出である。
痛感輸出
輸出
住宅が調整し出した後でも輸出は堅調さを保っている。さらにシンプルに考えて、6月ISMのブレイクダウンを見ると、対5月で最も伸びているのは輸出と期待である。
PMI
人民元の対ドルレートはずっと安定しているし、米国の1H景況感はいまいちだった。しかし、人民元とドルは共に対ユーロで大幅に下落している。欧州の景気も急回復している。中国の景況感は欧州への輸出によって支えられたと考えられる。
ISM
 米国のISMはもっと分かりにくいが、輸出注文が増えているのは中国と同じである。ユーロ高と欧州の景気回復で米中の景況感が支えられている形となる。

この記事は投資行動を推奨するものではありません。 

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