前回の記事の後、KWEB/CWEBは結局8月のレンジ内の推移が続いている。「上で飛び乗るなら違うと思った時はすぐ降りられる態勢を維持すべきであり、飛び乗っておいて違うと思っても損切れないとなると上から下まで持っていかれそうに見える。一方、一直線に下がり続ける場面もどうも終わったようであり、24日の大暴騰により鉄火場化センチメントはやや改善しているように見える。基本的には8月に上下をやった水準の中で新たなニュースを待つ形となる」としていた通りである。もっとも細かい値幅については、「そこそこの出来高がある24日の水準から7月末の戻り高値にかけては一旦抵抗帯になりそうに見えるものの、そこも上に抜けた場合はもっと上値余地ができそうである」の見方は上値余地を少し見誤った結果真逆の結果となった。KWEBで言うと50 -53を一度は上に抜けたものの55で折り返してしまい、その後55が蓋となった。CWEBで言うと25-27が蓋となっており、両ETFとも長い水平ペナントとなっている。上値を攻めあぐねている間に恒大ショックまでやってきてそれどころではなくなったが、下値では割安感からの買い支えが入りレンジが続いている。
上値を抑えてきたのはもちろん中国政府の取り締まりの不透明感であるが、徐々に中国の経済環境の悪化そのものにシフトしつつある。不動産業界への引締めが限界的に緩和方向に転換されたのを見て連想する形でメガテックも買われたが、直近ではアリババの悪い決算で撃ち落とされてしまった。よい方向に膨らみつつある期待を現実の答え合わせが否定するという非常に残念な形となる。
アリババに言われるまでもなく、中国の消費が虫の息なのは本ブログが繰り返してきた通りである。その理由は当然、これまた本ブログが繰り返してきた通り、コロナショックで中国が主要経済体の中で唯一大規模な給付金を国民に配らなかったからである。これの背景は長らく謎であったが、どうも「共同富裕」の中にアンチ福祉主義も入っているようである。足元のコロナ肉弾戦が一巡すれば消費も短期的には反発する可能性もあるが、長期的にアリババの見方を覆すほど改善する見込みは低い。これからはDIDIは調査がそろそろ終わる頃であり、教育銘柄の規制も概ね結論が出たようである。今後は新規制が加わるというよりも不透明感が剥落する時間帯に入りそうである。GSなどは中国株が規制緩和で上がると推しているが、テクノロジー業界と緩和に傾きつつある不動産業界との共通点はあまりなく、規制が厳しい状態がニューノーマルになるので収益の伸びが鈍くなるにつれて割安感の方も剥落する懸念が残る。
テクニカルにはKWEBで55が明確にレジスタンスとなっており、その下では良くてペナント継続というところである。CXSEで見ると58.5がレジスタンスとなり、ただのペナントであるテック系と違って58.5をブレイクできれば日足が巨大なリバースヘッドアンドショルダーになる。ハンセンやH株も同様であり、ハンセンで言うと26500が同様のキー水準となる。これらのキー水準をブレイクできれば中長期的にも反転を期待できそうである。一方、3度目のチャレンジに失敗してネックラインの下で折り返してしまうリバースヘッドアンドショルダーの出来損ないは最も怖いチャートパターンの一つである。ペナントの中では引続き神経質にならざるを得ない。テックとその他で規制の方向性に温度差があるとすれば意外とHSI、CXSE>KWEB、CWEBとなるか。
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中国テックを純粋なテクニカルで見るこの記事は投資行動を推奨するものではありません。