Michigan Consumer Sentiment  
UMich consumer sentiment long term
 11/15発表の11月分ミシガン消費者信頼感指数は再びダダ滑りしている。長期的に見てもリーマンショックや欧州金融危機以来の低さでありリセッション前後以外にあまり見られない水準である。しかしこちらは前回の記事でも取り上げたように、ガソリンなどの生活必需品が値上がりすれば生活が苦しく感じるというだけで、実際の消費活動や経済先行きには大したインプリケーションがない。
US Retail sales
 現に翌日発表の小売売上高は前月対比+1.7%と堅調であった。高い、可処分所得が減ったと口では言いつつ結局消費は堅調であった。値上がりによる影響もあるだろうがその影響を除いても堅調であった。
Umich buying conditions for vehicles
 自動車の買い時と答えた人はボルカー時代以来の少なさだったが、ハードデータの小売売上高はと言うと自動車の供給制約が少し緩和されたのを受けて自動車の寄与が大きくプラスになっている。

Chase card
 元々JPMが発表するチェースカードは堅調な消費を示唆していた。もちろんクレカを切れない大型耐久消費財(家財道具)やら車やらはここで捕捉されていないので、ミシガンの「買い時でない」アンケート結果と合わせるとクレカ消費額だけを頼りに小売売上高を当てに行くのはリスキーであったが、結果的に深く考える必要はあまりなかった。
UMich homebuyer sentiment
 住宅の方のセンチメントも値上がりのせいで同じくらい悪いが、こちらはさすがに予算制約があるようなので、9, 10月の住宅着工はやや落ち込んでいる。もっとも、米国では中古住宅市場の方が遥かに大きいので中古住宅販売件数を見ないと何とも言えない。
Personal Saving Rate 
JPM Saving rate
 一方、だからと言って米国の消費には死角がないかというとそういうわけでもない。消費の燃料は確実に余剰貯蓄であるが、給付金ばら撒きの時間帯はとっくに終わっており、毎月の個人貯蓄率は既にコロナ前の水準まで落ち込んでいる。つまりこの後雇用や賃金が劇的に伸びない限り、過剰貯蓄(年間収入の1割)を使い切ったらそれっきりである。もし日経が言うように足元の旺盛な消費が品不足感(≒インフレ期待)に煽られたものであるとすれば、その分は将来の需要の先食いにすぎないので将来の減速が長引くだろう。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。