夏以来すっかり忘れ去られてしまい、「各国の対応がバラバラ」な中で話題になるのがせいぜい一部の新興国だった新型コロナであるが、実は欧州で静かに新規患者が増えており、それなりの数まで増えたところでオーストリアのロックダウンは一部の市場参加者にとって青天の霹靂となった。もっとも、この話には特に続編はなく、ドイツは全面的にはオーストリアの後に続かなそうということで単発イベントで終わりそうな雰囲気となっている。
今回の感染拡大は欧州とイギリスが中心である。mRNAワクチンを一通り打った後に放置しており2021年のコロナ死者が既に2020年のそれを上回った米国や、これまたずっと放置状態のロシアは別格として、例えば一時ロックダウンに追い込まれていたオーストラリアも安定しているし、強い協調性を発揮してmRNAワクチンを打った後に真面目にマスクしている日本では絶滅しそうな勢いである。中国などは全体主義の利点を生かして更に高い接種率を実現しているが、いかんせん非mRNAワクチンなので鎖国と肉弾戦の継続は免れない。平均的な新興国は更に脆弱である。
市場的にはあまり話題にならないまま欧米でコロナ症例が減らないのは前回の記事で想定した通りである。「多くの国で絶対多数のワクチン接種による集団免疫獲得を諦めて騙し騙しで経済再開を続けることになりそうだが、そうなるとゼロ・トレランスの国々との間の人の移動は長く遮断されそうであるし、諸事情でワクチンを打たなかった人々がリオープンした街を歩いて移される危険性はむしろ昨年よりも遥かに高くなっている」は数ヶ月経った今でも変わっていない。7割程度の人間がmRNAワクチンを打った後の国は冬になって波がやってきても引続き自由度が高いだろう。そういう意味で欧州は日米などの先例になると決まったわけではない。欧州のここからの対応は国によってある程度はバラ付きそうだが、ワクチン接種の再加速とロックダウン、或いは両方と選択肢は決まっている。
米国の航空旅客数は2019年の水準に近付きつつあり、この流れが喫緊に反転しそうな兆しは見られない。
一方中国の航空旅客数は症例数が少し観測されるだけでもロックダウンに入るため安定しない。国によってコロナ情勢がバラバラなのはしばらく変わらなそうである。
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