SPX Daily 
 先週のS&P 500は急落から一転して連日反発に転じた後、再び調整している。本ブログは急落開始を予想できていなかったが、そこからの展開はあまり意外性がない。先々週の記事では「よほどレバレッジを掛けすぎていなければ200SMA割れはロスカットしたりショートを入れる水準ではないように見え、むしろ反発狙いの方がオッズがよさそう。ただこのままでは日足が味方しないだけでなく、中期的にもチャートがすっかり弱くなっているので戻りに転じても上値余地は見えており、非常に遠くて重い4750の週足レジスタンスに加え、下に抜けてしまった上昇レンジの底にあたる4600近辺も重そうであり、その手前が取りすぎたリスクの畳みどころとなる」としており、4600レジスタンス説は先週の記事でも繰り返した。水曜引け後にFBが決算ミスして指数も窓を開けて暴落する前はまさに4595が指数の戻り高値となっており、4600手前でリスクを外していれば、窓を開けて下落した後は買い戻すにしろ放置するにしろ、自由に行動できた。週後半の急落は案外深刻であり、警戒されていたAMZNを無事に通過しても、ECBと雇用統計を受けた急激な金利上昇もあって直ちに底打ちとはならず、S&P 500は一度200SMAをサポートに頼る必要があった。

Rogers Satchell Volatility
 先週の記事で「安心できる上昇トレンドに復帰するにはイントラデーの大きなスイングが止まる必要があり、もし強引な大幅上昇が見られたら逆にリスクを外す機会になりそうである」としていた通り、週初めは一度安心感が戻ってきたように見えながらも、週後半には前の週の値動きを思い出すことになった。VIXは上がりづらかったし、大きく上に振れてから下にも振れて引け値はあまり動かないという日も置かったが、イントラデーの高値安値も考慮するRogers-Satchell Volatility (10 days)は最近10年間でコロナショック以外の全ての場面より高かった。これは今回の調整の重要な特徴と言える。
VIX VXN
 VIXは例のごとくすぐに高値から戻したが、ナスダック版のVXNはやや高止まりしている。巨大テックが決算でコケたりコケなかったりしているのは指数にそれなりのアンシステマティックリスクを提供している。時間外のロシアンルーレットに疲れたのか、AMZNを通過しても指数は一直線に株高とはならなかった。
SPY and QQQ Flows

SPY and QQQ Flows 
 ETFフローは基本的にベアで、1月はSPYは史上最大、QQQはドットコムバブル以来の大規模な資金流出となった。ショート建玉もSPYはそうでもないがQQQはコロナ後で見てもかなり大規模に建てられている。一方株式ファンド全体では資金流入が続いたとする観測もある。いずれにしろ、需給的には焼け野原に見える。
Most shorted basket
 最もショートが建てられているバスケットはというと、月末はショートカバーが進んだものの、そこからまた垂れてきて、金曜には大して上がらなかった。これは金曜AMZNを通過してもあまりショートカバーが入らなかったことを意味し、指数値動きのグダグダ感を説明する。
NAAIM
 NAAIMは指数が跳ねた割りには引続き悲観域にあり、押し目買いを正当化する。
MS Earnings 
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 金曜は金利が爆騰したにも関わらずナスダック優位になったのはそれだけファンダメンタルズに支えられて需給が改善したという解釈をされそうだが、果たして。金利が上がってPERがやや切り下がったものの、実績のEPSは堅調に伸びている。もっともEPSの代わりに今度はガイダンスについてあれこれ言われやすくなったようだ。業績が堅調ならば金利上昇にも打ち勝てると言いたいところだが、そもそも最も金利上昇に脆いはずの仮想通貨よりも株は弱い。

 テクニカルには、4600から切り上がったトレンドライン及びかつてサポートだった50SMAが位置する4620にかけて上値は引続き重そうである。サポートは引続き週足下ヒゲ陽線の4220、内部では一応金曜跳ね返った200SMAの4444も日足ベースのサポートとなるか。ナスダックも最も狭い日足レンジが13800 -14200で抜けた方に動きやすいか。このあたりの下値が割れるとAMZN通過のリリーフが踊り場だったという解釈になってしまう。テクニカルは4600という戻り高値をほぼピンポイントを当てたものの、長期的な、相場がどのフェーズにいるかについてはあまり示唆を与えない。とりあえず切り下がったレンジの4220 -4620、金利上昇に打ち勝った金曜を信じると4440 -4620レンジ内の値動きとなりそうか。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。