
先週のS&P 500は引続き弱かった。警戒されていた1月FOMC議事録はサプライズなしで通過したものの、週を通してウクライナ関係のヘッドラインに振らされた。「マクロのヘッドラインは悪いニュースばかりがいつまでも続くわけではない」としていたように週初めには全面的な戦争開始リスクが後退して一旦リスクオンになったものの、週後半になるとむしろ予想不可能な偶発的な戦闘に一喜一憂させられるようになり、後者の方がより市場参加者をうんざりさせたようである。今週になって金利は悪さしなくなり、むしろリスクオフの金利低下が目立ったが今のところ、ゴルディロックスには繋がっていない。
頼りになったのはテクニカルだけであった。「先週の時点ではまだ明瞭でなかったが4600が明確に分水嶺となる。ここを奪還できればしばらく安心できそうだが、今から4600に向けて買い上げるのはあまりオッズがよくない」としていた通り、4600に向けて買い上げるのは間違いであり、アップサイドはせいぜい4500手前までだった。「4450近辺に位置する200SMAについては一度目のクラッシュでは200SMA割れはロスカットしたりショートを入れる水準ではないように見え、むしろ反発狙いの方がオッズがよさそうとしており、実際その後浅傷で逃げられる逃げ場にふさわしい4600まで跳ねたものの、二匹目のドジョウがいるかどうかはかなり微妙なところである」という悩みは今週も続く。


BofAのFMサーベイではキャッシュが上がってきた。株式も国債も逃げ場にならないからである。一般的にこのキャッシュ水準は逆指標とされており、今回も機関投資家の押し目買い余力として待機しているという解釈となる。またテックへのネットアロケーションは2008年以来のアンダーウェイトとなった。全体的にポジショニングは悪くない。


DB Positioningの方は、システマティック勢は依然過去対比の株ショートを維持している。一方裁量勢は中立までポジションを落とした上で押し目買いを入れているが、その後の値動きからは上手く行っていないと推測される。その結果、統合ポジショニングはショートから中立まで戻ってきた。

TDのCTAポジショニングも2021年対比でだいぶ軽く、ナスダック先物はショート転している。総じて機械のポジショニングは軽い。

一方バンカメによると1月は株式ファンドから2018年末並みの勢いで資金が流出した。

米株のEPS成長は鈍っており、それでも期待割れということではないが、モメンタムが他国対比でも見劣り始めている。なお業績改善自体が最も堅調なのは日本株とよく言われているようだ。金利ショックは時間が経てば何とかなるが、後になって成長懸念と言われるのが最も辛い。

NAAIMは再び直近の底近辺まで落ちており、一層の下落があるとすればそれは新規材料によるものということになりそう。アノマリー的にはオプション・エクスパイアは通り過ぎたが地合いは依然あまり改善していない。(それに向けて弱いのは合っていたが)19日近辺底打ち説は2ヶ月続きの不調であり要注意である。
最もワークしているテクニカルは依然分水嶺だけは明瞭に示している。週足は2本目の上ヒゲ陰線となった。先週までの分水嶺4600から、新たに2本目のヒゲ4490にシフトする。4490は新たにレジスタンスとなる。4200の週足下ヒゲはサポートとして残っているがやや時間が経ってしまっており心もとない。4600の時はもし本当に上にブレイクしたら、テクニカルにブル転換と言われても現実的なアップサイドを考えるとかなり困るので、4200 -4600レンジの下半分での慎重な押し目買いがその後最も対処しやすいように思えたが、4490ブレイクならもう少し追いかけやすくなり、それだけブレイクが見える前からブレイクに向けて買い上げる必要性は薄れる。もっともポジショニングもセンチメントも(逆指標的には)悪くないので4490を背にしたショートもあまり勝算が高くない。先週に続きヘッドラインはどちら側にも動き得るので、日単位で順張りすると曲げそうである。ナスダックの13000は何が何でも死守したい水準であり、これを割ると週足で巨大なヘッドアンドショルダーになってしまう。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。