SPX Daily  
 先週のS&P 500は4300台のレンジ推移となった。週末に戦闘再開といくつかのロシア銀行のSWIFTからの排除が流れたため当然弱めのオープンとなったものの、先週の記事で「非常に雑に4200台は買い、4400台は売り」としていた通り、週間を通しての安値が4280、高値が4417と、綺麗に4300台を中心とするレンジとなった。4200台の買いは金曜夜更かしすれば引けまでに2度ワークし、4400台の売りもワークした。ヘッドラインとしては戦闘続行、米ドルのファンディング不安欧州金融機関のロシアエクスポージャー懸念、瞬間的には原発近辺の戦闘が神経質さのクライマックスとなった。パウエル議長の議会証言や米国の雇用統計は「それどころではない」扱いであった。
Sector Map 
GS Large Small
 指数の値動きはセンチメントほどは弱くなく、通常であればそれはブルシグナルであるが、ただ今回は明らかにエネルギーなどのディフェンシブが効いているからであって、個人投資家が好きなナスダックなどは大型、ハイグロを問わず弱かったので、体感はもう少し弱いかもしれない。下を叩く動きが限定的だった代わりに上値の重さは目立っており、先々週引け4380に対して4400載せが重かったのは「早期の週末引け値近辺での上値追いは「そんなわけはない」の売りに押し返されやすそう」の通りの展開であった。もっと大局的に見ると先々週の「ヘッドラインはどちら側にも動き得るので、日単位で順張りすると曲げそうである」もまだ生きている。
DB Consolidated Positioning
 ポジショニングは機関投資家に関する限りいまだに軽い。いまだにというより、むしろどんどん軽くなっている。これはマクロで大きなネガティブサプライズがあってもあまり下を投げる人が出て来ず、むしろ下値では小規模なショートカバーらしき動きが続く背景であると思われる。もちろん裁量勢はマクロ的に完全に状況が変わらない限り打って変わって上値を追うようになるわけではないし、システマティック勢も深く踏まれているわけではない。
BofA Corporate Buyback
 企業の自社株買いはいまだに続いており下値を支えている。こちらはセンチメントやポジショニングとあまり関係ない。
GS RAI
NAAIM 
 NAAIMも悲観域を更に下に掘っている。実際株式以外のマーケットを見てもコロナショック発生後から数えて最大の調整が起きている最中であることは間違いない。悲観域に入って3週ほど経つが、これは依然ショートがサクッと決まらなそうであることを示すだけで、これだけを当てにして底打ちを当てるのは難しかった。
Bloomberg US Total Put Volume
 プット出来高は過去最高水準まで増えている。
HYG
 一方、とにかく金利の上昇は止まったようなので、HYGのアンダーパフォームも止んでいる。クレジットに関しては米ドルの流動性がいまだに要注意であり、流動性で済んでいる間はともかく、ロシアエクスポージャーで欧州銀などの経営不安が大手中小を問わず顕在化し信用不安の様相を呈するとUSIG 150, S&P 500 3800コース突入の可能性がチラつく。確率は高くないが特定の金融機関名が連呼されるようになったら一層慎重になる必要があるだろう。
BofA Flow Financials
BofA Flow European 
Bloomberg Stoxx vs SP500
 特に上の見方から金融、欧州株からの資金引き揚げが大がかりである。一方、これにより年初からの「米株からお金が抜けて他国へ」のフローも反転した可能性が高い。

 テクニカル。ここまでテクニカルの示唆から逸脱する動きは一切見られなかった。中期的には依然広すぎて使えない4115 -4600レンジであり、その内部で一旦4200台と4400台をそれぞれ掠る動きが続いた結果、分かりづらいものの新たな小さな週足上ヒゲ陰線の上ヒゲと週足50SMAが重なる4420が新たにレジスタンスになる。強弱の分水嶺はまず2/12の記事で4600、次に2/19の記事で4490と週ごとに下りてきたのが4420まで下がって来ることになる。日足的には二度の今週安値が並んで作った4270に注目で、こちらは水平サポートとなり得る一方、もし3度目のトライで下に抜けてしまった場合は非常に小さなヘッドアンドショルダーとなり、その時の右肩を再ブレイクするまで「4115からの反発が短い持ち合いを経て反転してしまった」解釈になる。まとめると非常に短期的には4270 -4420レンジの行く末を見守ることになるが、レンジとしては大して広くない上に、朝起きてヘッドラインに大きくやられる可能性を鑑みると、先週上手くいったであろうレンジ内逆張りをいつまでも続けるのも少し腰が引けてくる。むしろ抜けた方向に進みやすい目安として考えた方がすっきりしそうである。

 ナスダックは元より週足ヘッドアンドショルダー下という、S&P 500よりもはっきりとベアなチャートであり、今のところその流れは続いている。チャート云々ではなく真面目に解釈するならディフェンシブ色が薄すぎた。S&P 500が4420を上に抜けたところで、ナスダックの14500は強いレジスタンスとして控えている。もっともナスダックもH&Sが完成しても寄り底からの反発となり、今のところネックライン13000の上でまだ首の皮一枚で繋がっているので、「H&Sが完成して勢いよく下落する途中」にあるわけではないのが救いである。

これより先はプライベートモードに設定されています。閲覧するには許可ユーザーでログインが必要です。


この記事は投資行動を推奨するものではありません。