イースター前のS&P 500は弱く、前回の記事で「4425 -4600レンジ」と挙げたレンジ下限を中心とした推移となった。「4600手前では更にポジションを圧縮し、4600再突破で2月の「ダブルトップ反発終了」パターンの再現と決別したのを確認して初めて積み直せそう」としていたが4600手前もやって来なかった。特段バッドニュースが出ているわけでもないが、金利上昇が止まらない中で上値が重い状況は変わっていない。「上海のロックダウンの悪化」を取り上げるのはこれで3週目となるが、サプライチェーンに与える悪影響が明らかになるのはここからか。
EPSは前回の記事でも取り上げたように問題があるように見えないものの、金利上昇を受けてフォワードの益回りから米国債利回りを引いたスプレッド(リスクプレミアム)が圧縮されている。配当利回りとの比較なら自社株買いがあるという反論もできるが、フォワード益回りはだいたいの期待を織り込んでいるので、一層のアップサイドサプライズがないと暴落した債券対比で「まだ暴落していない」株式の魅力度が薄れてしまう。
フォワードPERはコロナ前の2019年の水準に回帰しており、そういう意味で跳ねた場面はともかく、現時点では割高でもないものの、金利は2019年より高い。バリュエーションからは中期的にはやはりEPSで明確なビューを立てられるまでレンジ気味の推移が続くか。
FMSでは株式のオーバーウェイト率は3月にボトムを打ち、それまで落とした分を4月に少しだけ復元している。奇しくもGSが統計したS&P 500のレバレッジファンドとAMのネット先物ポジションも同じ傾向を示す。先週取り上げたDBの裁量ポジショニングもだいたい同じである。経済先行きへの悲観さ対比ではまだポジションを落としていないものの、直近の反発の値動きの割りに復元もしなかったというところか。
悲観さはこの辺りから来ている。
いわゆる投機的なポジションが軽く、またヘッジも入ったままなのはどのチャートを見ても共通している。
3月後半の底打ちからラリー更に再反落にかけての期間、リテールはほとんど動きを消している。ヘッジファンドと機関投資家がそれぞれ売り、その一部を企業の自社株買いが吸収した形となる。特に大型テックがそうである。
一方GSによると大半のS&P 500企業は決算発表前の自社株買いのブラックアウト期間に入り、5月に入るまで戻って来ない。
NAAIMは先々週妙に強かったのが改めて悲観を向いてきた。4月のオプションエクスパイアと4/18の納税期限は済んでおり、イースター明けに自律反発できるかどうか。
テクニカルには「4600再突破で2月のダブルトップ反発終了パターンの再現と決別したのを確認」できず2月を再現している。4600のレジスタンスを試すまでもなく反落しており、4600レジスタンスは継続される。日足では火曜の分かりやすい上ヒゲ陰線に対して水曜は反発、しかしヒゲに阻まれて再び反落という形になったため、本来ワークするかどうか微妙だった日足上ヒゲ陰線の4475もレジスタンスとしての意味を付与される。ナスダックでそれに当たるのは同じく火曜に付けた13690であり、こちらは月曜安寄りしたこともあって週足が上ヒゲ陰線のヒゲとなっている。サポート側は3月のラリー局面ではこの水準を素通りしているため見当たらず、1月の下落時と同様、上ヒゲの一つもブレイクできないとショートカバーを期待できなそうなので、買いエントリーは一気に近くまで迫ってきた日足レジスタンスの突破を待つことになる。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。