SPX Daily  
 荒れ模様が続いている。先週の記事では「自社株買いで短期的に反転上昇を期待」「シーズナリティとNAAIMは売り持ちの継続を否定」「S&P 500は4310、ナスダックは13010がそれぞれ週足レジスタンス」「先週に続き週足上ヒゲの手前は再びポジション整理の場となるが、ヒゲを奪還できた場合は再び3月後半のようなショートカバーを期待できそうな気もする」と丁寧に細かく考えたが、実際75bp利上げを否定したFOMCを受けて激しいショートカバーが見られ、そしてそれは見事に4310 /13010のレジスタンスに阻まれ、4307 /12985を最高値に反落し、翌日「上がったところからの一直線の売り崩し」が復活して全戻ししてしまった。結局週を通しては前の週とはまた味わいが違う上ヒゲ陰線となった。ディフェンシブさが足りないナスダックは更に弱く、週足ヘッドアンドショルダー完成を挟んでの週足上ヒゲ陰線が続く。
SP500 daily distribution 
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 水曜の3%の上げと木曜の全戻しは値幅としてはどれも珍しい大きさとなった。上のモニターを通して水曜の上げ自体を予想することは難しくなかったものの、上げるとフォロースルーよりも売りを誘発しやすくなっている。これは5月FOMCで織込みが足りないものが何かあったというわけではなく、結局は債券対比で株のリスクプレミアムが潰れすぎているので、大幅に跳ねるとむしろ一段と踏まれづらいと見られ売りやすいということだろう。決算とFOMCを通過しても低ボラティリティレジームへの移行に失敗した。
ES1 TY Corr
 特に金利が横ばいでも株が割高なので、ましてや金利が一段と上昇すると話にならない。その構図を反映してかS&P 500先物と10年国債先物の相関は再びプラス域に浮上した。次のマクロイベントはCPIであり、こちらが短期的なピークアウトを描ければ5月FOMCと同じようなショートカバーを誘発し得るように見えるが、金利がよほど低下しないと長続きしづらそうである。
DB positioning
 一方、DBの統合ポジショニングをはじめとして一般的にポジショニングが軽いため、安直に下げるとヘッジ外しも入るようである。売るならあくまでも戻り売りということである。
RBC SP500 futures positioning 
TD CTA positioning
 珍しいRBCのS&P 500先物ポジショニングも軽くなっている。TDのCTAポジショニングもそこそこのショートになっている。
BofA institutions inflows 
BofA Corp buyback
 BofAのフローデータではリテールが前回の記事でも述べてきたように全く動かなくなっており、その中でヘッジファンドが売り続け、他が買い続けたという形になる。自社株買いの実弾は依然大したことない。
GS fund flows
 ETFは押し目買いも少し入ったのが話題になったが、GSによると投信の方はかなりの勢いでお金が引き出されている。
NAAIM
 NAAIMはFOMCで大きく反発した直後ということでもあるがやや楽観に跳ねており、押し目買いをあまり後押ししない。

 テクニカルにはFOMC後の3%上げに耐え抜いた4310 /13010のレンジスタンスが補強される。この水準を取り戻せない限り、週足では下落トレンドが続いており戻り売りが優勢である。前回の記事でも触れたようにもしS&P 500の4310レジスタンスが早々に取られるようなことがあれば別であり、買い方は4310ブレイクを待つことになる。一方ポジショニングは軽いので下を売ってもショートカバーに遭いやすく、一旦上がった方が下げやすいように見える。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。