SPX Daily
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 S&P 500は週足大陰線となった。週明けは先週末から少し前兆が見えたアンチ・ゴルディロックスの流れを引き継ぐ形で続落となったが、それまでは上げすぎと全員が思っていたので多少の反落は予定調和的であり悲壮感はなかった。4100近辺まで調整したところで売りは続かず、NVDAはワーニング通りに決算弱かったのが出尽くしとなり、既に割りとタカ化が備えられていたジャクソンホールに向けて指数の反発が進んだ。ジャクソンホール当日については先週の記事で「(大した話が出て来ない可能性こそあるものの)ドービッシュ・サプライズになることだけはないだろう」としていたが、実際は今までの議事録や連銀総裁講演で言われてきたコミュニケーションの繰り返しであり大した話は出なかった。中立金利の話も出て来なかったのでツイスト・フラットニングとなった。むしろ直近の天然ガス高騰などを受けたECBのタカ化懸念の方が目立った。金曜に株が大きく下げた理由でいうとECBの方が大きいだろう。裏の裏を読むような結果になったが、素直にその日になったらホーキッシュ・サプライズに備えてスピーチもヘッドラインも見ないのが正解だったということでもある。本ブログは久々に「4325を背にしたタクティカルなショート」を検討し始めていたが売り場となるべき4200後半はやって来なかった。
Barc HF Equity Beta
 ポジショニングは基本的に先週の記事に準じるだろう。BarclaysによるとHFの株βはショートが最も深かったところからはカバーが進んだものの、絶対値はまだショート気味である。CTAの買戻しはこれほどの長大なラリーを経て多くの証券会社が報告しているように明らかに一巡している。直近の下落で再びショート積み増しに転換していなければいいくらいである。Volコントロールは以前の記事で言い続けたように、金曜の1日3%の下落を見て「3歩進んで2歩下がる」ステータスに縮退することになった。JPMによるとヘッジファンド勢のニューショートも入ったようである。金曜の値動きも明らかにイベントを通過してショートカバーが済んだのを確認しての売り直しであり、その執行が大引けまで続いた。
GS Mutual funds cash
 CTAやVolコントロールがノーモアバイヤーになったということで、ポジションが軽い主体としてのスポットライトはロングオンリー裁量勢に当たった。投資信託のキャッシュ保有率は高止まりしている。また投資信託の中で最もアンダーウェイトにされがちなのがAAPLであり、この銘柄は安値から最高値の近くまで一気に切り返しており今回のラリーの主役でもあった。ここまで来るとAAPLに代わって続伸を牽引する主役に交代したいところであるが、それが定まらずやや迷走が続いた。エネルギーの底堅さが目立ってきたくらいか。
Bloomberg EPS SP500 and FANG
 S&P 500の予想EPSは決算期が終わって下げ止まっているものの、まだ頭打ちした状態が続く。それもエネルギーがあってのことであり、FANG+は年初対比で7%減となっている。従って金利が下がらないと指数が上がらない構図は変わっていない。中間選挙年の9月はシーズナリティが弱い。欧州はともかく米国のインフレ・ピークアウトは明瞭なのでこのあたりの水準については長期にわたって助からないということはないだろうが、最後下で切らされることだけは回避したいところである。
NAAIM
 NAAIMは木曜時点でやや低下しており、水準としてはロングの重さを示唆するわけではないものの、5月や7月対比では既にだいぶ戻したところであり、既に振り落としが終わったので次は押し目買いである、というほどは低くない。

 テクニカルにはS&P 500は日足がヘッドアンドショルダーになってしまう。「インフレ・ピークアウト後の最初のサポート」としていた4100は週前半に一度は綺麗にワークして4200までのラリーを支えたものの、金曜の下落では一気に貫通されてしまった。ジャクソンホールから新トレンドが始まったとすると4100はジャクソンホール前で付けた4200がレジスタンスになる。春からの下落トレンドが続いているとして、これまでの堅調地合いを台無しにした大陰線の後が毎回どうなったかというと、続落か、2日目が小康状態の十字線で3日目に下値を伸ばすかであった。早ければ反発に転じるのは3日目であり、1本目の日足大陰線がそのまま安値になったことはない。下値探しは少し時計の針を戻す必要がある。元々8/1時点では8月全体にわたって3910 -4300のレンジをイメージすることになる」としていたのだが、このレンジは引続き生きていると見てよいだろう。上限はほぼ完璧であった。日柄的には中間選挙年の9月の弱さに加え、9月FOMCは依然マーケットとしては結論を出せておらず、従って近付くにつれてリスク回避が進みやすそうであり、その途中でオプションエクスパイアも迎える。やはり値幅より日柄である。先週の記事では4325をブレイクしたらどうしようという贅沢な悩みをしていたがその分水嶺は4200まで下がって来ており、その分押し目買いのゴールも下に移動するという整理になる。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。