SPX chart
 先週のS&P 500は本ブログの慎重な感想に反して一直線に反発した。週明けは前週末の流れを引き継ぐ形で続落して3900を割り込んだが、水曜からは一直線の反発に転じた。結果的に本ブログが8/1時点で「8月全体にわたって3910 -4300のレンジをイメージすることになる」としていたレンジは継続したと見なしてよく、レンジ下限でびびってしまったのは間違いであった。反発のきっかけになったのは米欧の9月の金融政策の不確実性の剥落である。水曜のNY時間朝にWSJのNick Timiraos記者が9月の75bp利上げを再びリークに見える形でコールした。ホーキッシュなら株安と言いたいところだが、これは本ブログが「ECBとFRBの織込み切れない2つの75に金利市場の注目が集まっており、両方を通過してはじめてインフレ解消一色の経済指標に注目が戻ることになるだろうか。逆にそれまでの間に誰かが75bpと言い切ってくれた方がその視点転換のタイミングは早まりそうである」と想定していた好材料の一つであり、「2つの75」はその時点でECB待ちの1つの75となった。更に木曜になってECBも75bp利上げを確定させると「2つの75」が出揃った形となる。金曜になると中国当局の相場支援への思惑でアジア株もリスクオンで返ってくるとS&P 500はレジスタンスとしていた4020と4060を一気にぶち抜いた。
TDS CTA Emini positioning  
 ポジショニングは流れて来たのがトロント・ドミニオンのものくらいしかない。CTAは下落トレンドでショートを追加した後にこの小さなラリーを迎えている。このラリーが育てば再び8月のようなショートカバーを期待できるだろう。
GS Equity Sentiment Indicator 
 GSのセンチメントインジケーターは▲1.4であり、5月の最低値からは中立に近いがまだベア寄りではある。

NAAIM 
 NAAIMの悲観化はやや極端である。先週の記事では「NAAIMは大幅に下落しており、これは底打ちの週の決め打ちには繋がらないものの、買いのオッズが再び改善し始めたことを示唆する」としており、それが思ったよりも早いリバウンドに繋がった面もあるだろう。先週の値動きが反発したにもかかわらずNAAIMは更に低下しており、これはさすがに踏まされ待ちではないか。本ブログが連呼する「2つの75」に慣れ親しんでいる読者にとっては納得できる展開が続いているだろうが、世の中的にはこの反発はまだ若い相場なのか。
Factset SP500 bottom up EPS
 ボトムアップEPSは依然じりじりと低下しており、それは上昇局面が金利低下かリスクプレミアムの圧縮に依存することを意味し、3900~4300のレンジがそれなりに長く続きそうな予感を抱かせる。

 テクニカルは調整終了を示唆する。週足は下ヒゲ陽線となったため3885はサポートとなる。レジスタンスは短期のものは先週のうちに一通りブレイクされたため、3885を背に押し目買いを狙えるようになる。上値は引続きヘッドアンドショルダー右肩の4200がレジスタンスとなる。シーズナリティは引続き味方しておらず、特に今週後半あたりから自社株買いブラックアウト期間に入ってしまう。一方マクロイベントはCPI、FOMCが続くが「2つの75」のクリアで前倒しで通過したと見なしてよいだろう。「レイバーデーが明けると数営業日にわたって上昇しやすいシーズナリティがあり例年通りになると引続き悪さする可能性が高い」としていた通り、肝心の金利は「2つの75」を通過しても下がらないのはシーズナリティが効いているからと思われ、株は金利を飛ばして直接ラリーした形となる。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。