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SPX Daily
 先週のS&P 500は一転して反落した。これまでのラリーを火曜に発表された米国CPIに台無しにされてしまった。先週の記事では「マクロイベントはCPI、FOMCが続くが「2つの75」のクリアで前倒しで通過したと見なしてよいだろう」としていたが致命的なまでに誤りであった。前回のCPIで窓を開けて上に飛んだ展開の二匹目のドジョウを狙うコール買いまで見られたところで、指標を受けて金利市場は更に100bp利上げを織り込み始め、S&P 500は絶対値がそこそこ高かったこともあり豪快に売られ1日で4.32%急落した。

 一旦反落となるとその後の展開は以前の記事でまとめていた「これまでの堅調地合いを台無しにした大陰線の後が毎回どうなったかというと、続落か、2日目が小康状態の十字線で3日目に下値を伸ばすかであった。早ければ反発に転じるのは3日目であり、1本目の日足大陰線がそのまま安値になったことはない」に沿ったものとなった。2日目はやはり小さな十字線となり、3日目は続落した。今後もイントラデーで例えば2%以上下げた後は毎回このパターンを想定することになりそうである。4日目にあたる金曜はFedExが前日引け後にワーニングを出した影響で下に窓を開けて始まったが、そこでは小さな下ヒゲ陽線となった。本ブログなどはこの程度のCPIで9月FOMCの75bp利上げは揺るがないと考えているし、逆にCPIのコア化で利上げ織込みが加速したのならミシガン大インフレ期待などがガソリン価格と共に鎮火したところでそれはもはや古い話題であり関係ないと考えているのだが、実際にはCPIで100bp利上げ期待が盛り上がり、ミシガン大インフレ期待でやや鎮火しており、株式指数までその通りに動いている。
BofA FMS Cash level
BofA Overweight Equities
BofA FMS OW Equities 
BofA FMS Profit Expectations 
 9月号のバンカメ・ファンドマネージャー・サーベイが流れてきているがこちらは総悲観がいよいよ極まっている。キャッシュ比率は2001年9月(9/11)以来の高さとなる6.1%まで引き上げられている。これは今ひとつリスクプレミアムが広がらず、むしろバッドニュースが確定するたびにリスクプレミアムが剥落する傾向が続く背景となる。
DB Positioning 
GS Leveraged Future Positioning
 一方DB Positioningも描いているように、これまでの数回のシステマティック勢のショートカバーにも裁量投資家が動じて来なかったくらい、株があまり上がらないだろうという確信は強い。
Bloomberg Nasdaq PER and EPS 
GS SP 500 Rivision Index
 EPS予想は相変わらずフラットが続く。ガソリン・インフレと異なりインフレのコア化は必ずしも企業収益を悪化させるわけではないように見えるものの、Fedの反応も確定しない中ではさすがに今それを織り込みに行く時間帯でもないように見える。次の決算期では米ドル高だけでもそれなりに収益に打撃を与えそうであり、株価対策のために容赦ないリストラが発表されるだろう。それは必ずしもバッドニュースではない。
NAAIM
 NAAIMは逆指標としての調子がよかった記録は先週で途切れた。これほどの値動きにもかかわらず少し反発しているのはやや諦めが悪いようにも見えるが、水準はさすがに低い。
EquityClock Seasonality Mid Electiion Year
 シーズナリティは先々週のブル・チャートにかき乱されるまで9月初旬の記事で述べていた「値幅より日柄」がまだ続いていたということになる。夜明けが近いようにも見えるものの、9月の弱さは依然目立つ。
GS Op Ex Notional
Dailyshot Option Expire
 オプション・エクスパイアは9/16に通過した。8月はディーラーがガンマロングになった状態で通過したので通過と共に不安定化したが、今回は実際のガンマ分布を見なくてもCPIショックでディーラーがガンマショートになっていたと想像できる。従って一旦下げ止まるのも自然であり、その流れが今年の過去平均では1週間でそれなりに続いたが、果たして。日柄ではFOMCが続く。こちらも今年の流れが続くならFOMC直前のブラックアウト期間に出されるCPIサプライズの2、3日後にはNickのリークが続くものだが、これまでの想定通りの75bpだとすればハトサプライズになるのでわざわざ出す必要はないだろう。となれば時間が経つほどNickの沈黙は100bp織込みの剥落に繋がるのか。恐らくは75bp利上げと11月、12月~来年以降の引締め継続コールとのセットになるのが筋がよいと思われる(そのニュアンスをリークで過たず伝えるのは無理だろう)中、シンプルに100bp懸念が剥落したままFOMCに突入すると分が悪くなりそうである。逆に神経質なまま突入するならいつものFOMCの「引けにかけて大幅上昇→翌日以降に再び調整」というパターンに当てはまりやすくなるだろうか。

 テクニカルにはまさか遠すぎて形だけだろうと思っていた3885がブレイクされたので週足で一気に重くなってしまう。さすがに調子に乗りすぎていた月曜の4120は週足レジスタンスに転ずる。週足が一本一本長すぎるのでさすがにその内側で日足のサポート・レジスタンスを探すなると3960がまずレジスタンスとなりそう。サポートは金曜安値の3838であり、ここが割れるなら月1のアノマリーサポートが消滅してしまうので丸腰でFOMCを待つことになってしまう。ポジショニングの軽さだけが味方となる、やや分が悪い博打期間の週となりそうである。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。