SPX Daily
 先週のS&P 500は堅調地合いとなった。決算としてはテスラが滑ったが指数にはあまり影響がなく、またSNAPが毎回ながら決算で滑って広告業界を引き連れて急落したものの、前回それがGAFAM決算跨ぎチャンスを提供してくれていたのだが、こちらのインパクトも1日で終わった。本ブログはCPIで跳ねた後で再び垂れて引けた指数について「基本的に3500 -3700のレンジ継続を想定しているが、このレンジ内での滞空時間が伸びてリアライズドVolが下がってくれば来週以降はシーズナリティを借りて上昇しやすくなるだろう」としていたが、少し前の3585 -3735レンジに続いてまたしても想定よりも3700台をやっており、3700は指数の蓋にならなかった。日々の値動きは想定より大きく、必ずしも「リアライズドVolが下がってくれ」たわけではないものの、水準としては3700を挟んだ推移が続いた。とはいえ木曜までの日足では3700後半の重さが際立っており首の皮一枚にも見えたが、金曜にはNickがまたブラックアウト前に12月のFed Pivot観測を放り込んで来たため、場中は日銀の為替介入に隠れてよく見えなかったが日足の転換点になったようにも見える。
GS Op Ex
 21日金曜はオプション・エクスパイアであり、3700ストライクを中心に多くのオプションが失効した。それまでは100ポイント幅で3700に纏わりつくような値動きとなっていたのでディーラーは必ずしもショートガンマで通過したわけではないと思われ、従ってショートガンマの消滅→底打ちというより、Op Exの通過は単に3700から離れて上に抜ける材料になった。
DB systematic positioning
CS SPX Barclays Agg correlation
 DBのシステマティック勢ポジショニングは一時ショートカバーしたものの、再び過去対比でマッシブ近くまでショート化が進んでいる。そして何年も存在感が薄かったリスクパリティのポジショニングがようやく流れて来たが、こちらの株ポジションは2%パーセンタイルまで圧縮されている。もっともこちらは(ウェイトはガチャガチャ変えているものの根本的なβ源である)債券と株式がインフレ・レジーム下で正相関に転じているので戦略としてワークしていないため仕方がない面もある。
BofA GWIM equity allocation
FT estimated retail performance
 機関投資家がキャッシュで様子見を決め込んでいる横で下値を叩く可能性があるのは個人だけとなる。個人投資家が好きな銘柄群はだだ下がりしてきた個人投資家が利回りが上がって来たBillやMMFに殺到しているとのニュースもあるが、それは株式の積立てを止めて行うのはリーズナブルであるが、株式にもキャッシュのリターンが入っているのでBillを買うために株式をぶん投げるのは違うだろう。一方、上値を買い上げる可能性があるのは相変わらずCTAのショートカバーしかなく、それに火を付けるには、少し前は3900に載せる必要があると言われていた。
BofA FMS Cash level
BofA FMS sector
 バンカメのFMサーベイのキャッシュレベルは6.3%と2001年以来の高さを記録した。もっともキャッシュにも年率3%の金利が付いており、それが年末には4%を超えるだろうから、2016年や2020年ほど居心地が悪いわけではないかもしれない。一方セクターでは相当ディフェンシブに寄っている。
BofA FMS Corporate Earnings 
Bloomberg SP500 EPS consensus
DB EPS Concensus
 ボトムアップのフォワードEPSコンセンサスは徐々に低下してきており、そのトレンドは反転の兆しが見えない。従って指数の上昇は引続き金利低下に頼ることになる。一方、EPSのサーベイ結果はコンセンサスより更に期待が薄くなっている。またQ3のEPSコンセンサスは一時的なバブル下にあるエネルギーを除くと既に年初から10%以上下落しており、リセッションでも13~15%の下落と言われていたことを考えると決算ガチャは目線が低すぎて逆に滑るのが難しくなっている。
Earnings Whispers
 とはいえ今週控えているGAFAMはクラウド、PCや広告の減速、米ドル高の影響が予想され、しかも指数が跳ねた状態で迎えるなら、7月のようにSNAPで下げた押し目を買えばよいという簡単なゲームではなくなっている。決算直前の引けに大幅に上に飛んでいたならややオッズが悪くなってしまう。もっともガチャで外れても指数ベースでは耐えればよいチャートにはなりつつある。
NAAIM
 NAAIMは木曜までの醜悪なチャートにもかかわらず強気になっており、これだけは買い要因から売り要因に転じつつある。

 テクニカルには悲観さが払拭されつつある。週足的には3800が依然レジスタンスとなる。もしここを抜いた場合は日足リバース・ヘッドアンドショルダーとなり、その勢いで3900を突っつければ更にショートカバーを誘発できるだろう。サポートは日足の3640となる。GAFAM決算期とNAAIMを鑑みると上値を追いかけるオッズは必ずしもよくないものの、逆に決算で調整した場合は3640が割られない限り押し目買いで問題なさそうである。3640 -3800の狭いレンジの抜けた方に動きやすいだろう。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。