AAPL and US stock market
SPX Daily
 先週のS&P 500は決算を通過して棒上げとなった。先々週は3500 -3700のレンジ内で押し目買い先週は3640 -3800レンジ内で押し目買いで抜けた方に動きやすいとしていたのはいずれも上に抜けられたが、少なくとも方向性は間違えていない。
SP500 heatmap
Bloomberg GAFAM earnings
Friday AAPL MSFT GOOGL
 GAFAMはアップルを残してことごとく決算で滑った先週の記事では「今週控えているGAFAMはクラウド、PCや広告の減速、米ドル高の影響が予想され、しかも指数が跳ねた状態で迎えるなら、7月のようにSNAPで下げた押し目を買えばよいという簡単なゲームではなくなっている。決算直前の引けに大幅に上に飛んでいたならややオッズが悪くなってしまう。もっともガチャで外れても指数ベースでは耐えればよいチャートにはなりつつある」としていたが、概ね想像通りの展開だったと言えるだろう。火曜引け後のMSFTとGOOGLは両方滑ったが水曜は安寄りから反発した。水曜引け後に滑ったMETAは最も指数に影響が小さそうと思われたが木曜は一日中にわたり指数は弱く、木曜引け後のAAPL, AMZNはAMZNが滑ったため時間外は指数も弱かったが、金曜にオープンするとAAPLに力強い買いが入った。滑った組とは上げるタイミングが違ったのでこれは指数というより現物の買いと思われる。
DB Positioning
 DBの統合ポジショニングは6%パーセンタイルと依然低い。先物ポジションも同様である。
Barclays Institutional positioning
Barclays Retail Positioning
 珍しくバークレイズのポジショニングが流れて来た。機関投資家はどこのチャートを見てもポジションが軽い。リテールはコロナ給付金による過剰貯蓄形成→インフレに伴う取り崩しの段階になってきたため基本的にはどんどん資金を入れて来る場面ではないし、パフォーマンスもコロナショックの底から持ち続けていればまだ通算プラスだが、という程度である。
TDS Cumulative Flows 
GS Tech Fin flow
DB Fund Flows by Asset Class
 一方、TDSの株式フローはやや流入が加速したが、これまでのそのようなタイミングは3月末、6月末、8月末と相場にシンクロしているだけとの見方もできる。
NAAIM
 NAAIMは先週に続いて大幅に改善している。先週の上げは一応無視して正解だったのだが、そろそろ真面目にオッズが悪くなってくる。
Bloomberg Q3 SP500 earnings estimates
DB SP500 concensus EPS
BofA Earnings Surprise and reaciton
 Bloomberg Buyback Blackout Period 
GS SP500 Buyback Blackout Exits 
GS Buyback Authorizations
 決算自体の良し悪しはともかく、とにかく決算を通過しつつあるということでブラックアウトピリオドも明けつつある
Topdown chart conditional seasonality
 シーズナリティが完全に味方かというと、10月は文句なしに強い一方、ベアマーケットでは11月、12月はそうでもないため、ここから10月ほどの安心感はない。年末に弱いケースで言うと2018年のアップルショックが記憶に残るが、2018年シナリオはアップルの決算でやや遠ざかったと思えるのが、妙に中長期的っぽい現物資金が入ってきた根拠の一つだろうか。
BofA GAFAM and Central Bank BSFactset SP500 forward PER
 今週はFOMCが目玉となる。株が上がるとパウエルが怒るのでは、と金融政策を児戯と見なすような浅い世界観に与するわけでは決してないが、とにかく市場が先にpivotをフルに織り込んだ状態でFOMCに突入すると何が出て来ようとオッズは悪くなりそうである。「最後の75bp」が確認されればインパクトは大きいものの、9月FOMCから11月にかけて遅行指標である物価指標に何か具体的な進展が見られたわけではない。そういう意味では新たに政策サポートが入らない限り、例えば3.9%と3900の組合せは割高感が強い。先週の記事でも「勢いで3900を突っつければ更に(CTAなどの)ショートカバーを誘発できる」としていたが、いざ3900に来てみると割高感ばかりが目立つ。エクイティ・リスクプレミアムの観点からするとバリュエーションが壊れていると言ってもいい。
LQD HYG
 VIXの25.75もかなり陽の極を感じさせる。一方、LQDとHYGがちゃんと付いて来ているのはリスクオンを正当化する。特にHYGは出来高も急増しておりフォロースルー感が強い。

 最後のテクニカルであるがこちらはやや情報過剰となる。3ヶ月前の決算シーズンでもGAFAM最後のAAPLを受けて金曜引け(4130)まで買いが続き翌週は金利上昇で地固めの週となり翌々週はショートカバーで4280まで上値を伸ばした。このパターンに今回はどこまで似るか。日足は3800、週足は3740がそれぞれサポートとなる。上値についてはやや劣後しているナスダックの方が分かりやすく、11200がレジスタンスとなる。先週の余韻を借りてここを攻略できれば綺麗な日足リバース・ヘッドアンドショルダーとなり、10750をサポートにかなり上値余地が広がってくる一方、もしチャレンジに失敗して手前から反落した場合はかなり弱いチャートとなる。現状の11100と11200の間は1%幅しかない割りには重要な分水嶺になっており、11200を突破するまでは一旦ポジションを整理した方が安心できる水準である。上値を伸ばす唯一の理由がCTAショートカバーの炙り出しである以上、上値を追いかけるにしても確信犯であるべきで、レバレッジをかけて放置のような投資行動はこの水準ではやや不利に見える。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。