
先週のS&P 500はじり上げとなった。週明けは先週の記事で「金曜は米金利の再上昇を指数が無視した形となり、週明けはリプライス先行になりそうな気はするものの、それでも大して下がらないとなったらリアライズドvol低下で安心感が出て来る」としていたが、完璧にそれをなぞる展開となった。水準としても3965から3933まで押してから、またしても下を崩せず動かなくなったので反発と、「S&P 500の3900サポート vsナスダックの11500レジスタンスのレンジ」としていた通りだった。ナスダックの反発も11310までとレンジ内に収まっている。



ここ2週間、CPI後に目立ったのはやはり指数が動かなくなったこと、つまりリアライズドVolの低下である。VIXが先に低下し、それを見事に追いかける形でリアライズドVolも低下してきた。逆CPIショックはレジームチェンジであり、それをVIXが予想してきたということになるか。


DBのVolコントロールのポジショニングと挙動も流れて来た。今年に入ってからリアライズドVolが高止まりしていたためVolコントロールのポジショニングは細かく動きながらも全体的に抑制的となっている。デイリーでS&P 500の2%以上の下落があるとVolコントロールは売りフローに転じ、一方1%程度の下落では若干の買いとなるので、指標等を受けた急落の幅が2%を超えるかどうかが一つの分水嶺になる。先々週から急にリアライズドVolが低下しているが、先週の記事で「大して下がらないとなったらリアライズドvol低下で安心感が出て来る」、更に以前の記事でも「リアライズドVolが下がってVIXに揃えてきたら買いやすくなりそう」と繰り返してきたのはその特性を意識したものである。


非商業部門のS&P 500先物ポジショニングは少し畳まれたとはいえ依然ショートである。



GSの株へのETFフローは5月以来の勢いとなっている。また、NAAIMに続いてこちらのセンチメントも悲観域ではなくなっている。

NAAIMは引続き楽観に振れつつあり、依然買いが機械のショートカバー狙いの確信犯であることを示唆する。

過ぎてしまっているので来年以降の参考用に。サンクス・ギビングの週のS&P 500は1945年以来平均よりも良いリターンを挙げて来た。サンクス・ギビングまでに10%以上下落していた年は12年しかなくレアであるが、特にそれらの年のサンクス・ギビング近辺のリターンは更によい。



来年のEPSコンセンサスは依然テックを中心に緩やかに悪化しており、指数の反発は金利低下とリスクプレミアムの一層の剥落に依存している。むしろ金利水準対比でもバリュエーションは高止まりしている。
テクニカルには依然3900より上の「ポストCPIの新レジーム」が続く。S&P 500の週足は下ヒゲ陽線となり3930も週足サポートとなる。ナスダックは先週の記事で述べた通り11200より上は依然重かったが、こちらも一応週足下ヒゲ陽線となったため、サポートが10250から10970まで一気に引き上がる。低ボラティリティ・レジームが続く限り、ベアイベントを当てたところで1%も取れなくなっているため、年内にわたってショートは避けられるようになりそうである。来週は引続きこれらのサポートを意識しながらGDP, JOLTS, ISMなどのマクロイベントをこなしていくことになるか。S&P 500が2%売られるようなイベントがあれば台無しパターン、なければ引続きじり高が続くことになりそうである。
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この記事は投資行動を推奨するものではありません。