SPX Daily
 先週のS&P 500は一度下値を試した後に一段高となっている。週明けはまず中国のゼロコロナ政策に対するデモのヘッドラインでリスクオフモードで始まったが、そのデモも週末になるといつの間にかなし崩し的な中国リオープン期待に転換している。前週の安値近辺まで調整したところでパウエル議長の講演は無事に通過して大幅なショートカバー、一方雇用統計は市場予想よりも強く、先物はジャンプしたものの一旦オープンすると寄り底となりほとんどフラットで引けている。

 マクロガチャはショート方向で当てたところで1%取れるかどうかだったのに対し、ロング方向はCPIに続いてガチャに参加しないと大幅に置いて行かれるというバランスとなっており、先週の記事で「ベアイベントを当てたところで1%も取れなくなっているため、年内にわたってショートは避けられるようになりそうである」とした流れが続いている。とはいえ週前半は想定よりはかなり大きく調整しており、S&P 500の3930サポートはガチャを前に見事にワークしたが、「10250から一気に引き上げてきた」ナスダックの10970サポートは一時破られており、かなりヒヤヒヤさせられている。雇用統計ガチャの方は10月発表の9月CPI以来となる、マクロガチャで外した後の全戻しとなった。「S&P 500が2%売られるようなイベントがあれば台無しパターン、なければ引続きじり高が続くことになりそうである」としていたが、この日の寄り底も2%まで売られなかったので台無しにはならなかったわけである。
Bloomberg projected annual chg SP500
JPM SP500 EPS target
 ウォール街の来年のS&P 500予想は20年ぶりにマイナスとなっている
Nordea Philly and SP500 EPS
 インフレがどうもピークアウトしたらしい代わりに景況感があまりにも悪いので、いつEPSリセッションへの懸念が持ち上がるとも分からないが、その場合は長期国債のヘッジとしての機能が復活するだろう。
Factset SP500 2023 bottom up EPS
Factset SP500 forward PER
 今のところ決算期を通過して2023年のボトムアップEPSは下げ止まっている。PERは長期金利がここ10年なかった水準にいるにもかかわらず10年平均近辺まで回復しており、過去対比で高くもなければ債券対比で安くもないというところで、一層の上昇には長期金利の一層の低下が必要である。
DB MOVE vs SP500
 DBによると今年に入ってMOVEとS&P 500の連動もよく、直近のS&P 500を押し上げていたのは金融政策の不確実性の低下だったということになる。
BofA put call ratio
 この期に及んでプットコール・レシオはプット割高になっている。上値余地がどう考えてもあまりないのでコールの売りとプットのスケベ買いが集中するのは不思議ではない。一方、大胆な年末4175コール買いも観測されたようである。ただ、この手のコール買いが話題に上がってマーケットが持ち上がった後は上を追いかけても短期的にはあまりいいことがなかった気がする。
GS Equity flow by regions
 株へのインフローは引続き米国とEMでピックアップしている。 
NAAIM
 NAAIMは引続き楽観圏で推移している。暴落に繋がらなかったにしろ、先週もそうだったが、極端な大幅上昇の後には高値を追いかけるよりも調整を待って押し目買いした方がストレスが少ないことを示唆する。
BofA Presidential cycle
 少し長めの視線で見ると大統領選サイクルには従っている。

 テクニカルには引続き堅調地合いが続く。神がかった働きをした3930サポートの近くに2本目の週足下ヒゲ陽線のヒゲサポート3937ができる。ポストCPIレジームの3900より上での推移は更に続きそうである。ナスダックで3937にあたるのは10940であり、10200を上に抜けてから本ブログが取り上げていた重さは10940までの振り落としと、11500のブレイクによって払拭されたか。上値は週足で見ると50週SMAの4130あたりで跳ね返ると綺麗そうだが、今のところそうなると決め付けるような材料はない。ポストCPIレジームではショートで持っていかれる時は3%なのに、雇用統計ガチャをショートで当てたところで1%取れたかどうかなので、引続きショートの分は悪く押し目買いの方が安心感が強い。イントラデーで2%以上売られた時だけ身の処し方を考えればよいだろう。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。