SPX technical chart
 先週のS&P 500は一直線に反落した。大したヘッドラインはなかったものの、金利低下にもかかわらずS&P 500はダラダラと下げ続けており、どうもデフレーショナリーな値動きに見える。ISMが悪かったのを引きずっているのか、そうだとすれば今までグッドニュースがバッドニュースだったのが、バッドニュースもバッドニュースになった形となる。先週の記事はマクロイベントの通過だけを取り上げていたが、デフレーショナリーな雰囲気は債券買いを正当化しただけで株は債券に付いていけなかったようである。「ポストCPIレジームではショートで持っていかれる時は3%なのに、雇用統計ガチャをショートで当てたところで1%取れたかどうかなので、引続きショートの分は悪く押し目買いの方が安心感が強い。イントラデーで2%以上売られた時だけ身の処し方を考えればよいだろう」としていたのは完全にマクロガチャだけを見ていた油断だった。S&P 500が2%も売られた日がなかった代わりに週頭から1%台後半の下落が連続した。

DB Aggregate US equity futures positioning
Bloomberg future positions
 DB equity fund flows vs PMI
DB Consolidated Equity Positioning
 DBのポジショニングはAMとレバレッジファンドの先物ポジションを見ても株フローを見ても直近でピックアップしている。前者がポジティブ域に入ったのが少し話題になった。決して重くはないが、グローバルPMIの悪化対比ではまだ落とし切れていないということになってしまう。
GS Retail equity outflows
GS CTA estimates
 一方GSによるとリテールの売りも2018年10月や2019年1月、2020年10月以来の勢いだったそうである。上げの勢いが止まったのでCTAの買いも鎮火しそうである。
Dailyshot SP500 ERP Equity RIsk Premium
 バリュエーションは金利低下を受けて割高さは少しだけ剥落したが、依然ポストGFCで見るとかなりエクイティ・リスクプレミアム(ERP)が割高な方に位置する。
NAAIM
 NAAIMは少しだけ弱気化したが依然強気域であり、高値追いを正当化しない。
LQD
 LQDが木金こそ調整したものの基本的には堅調地合いが続いていることから株もそこまでベアにも見えないが果たして。インフレの退潮からデフレまで意識されると今まで株式対比で割安化してきた債券が再びアウトパフォームするようになるシナリオも分かるものの、それは果たして「今」なのか。

 テクニカルには先週取り上げていた3930, 3937サポートが再びブレイクされてしまったため、4100が週足レジスタンスに転ずる。ブレイクした後は木、金曜にかけて一旦跳ねたがPPIで金利まで上昇するにつれて再び下落に転じている。インフレのピークアウトを受けて国債と株の逆相関が戻りそうになったところで金曜は再び露骨に正相関になってしまったので、再び少しきな臭くなる。ポストCPIレジームの下限となる3900は辛うじて守られているが、もしここが破られるなら日足ヘッドアンドショルダーにもなり、かなり厳しいチャートになってしまう。その時の右肩は3975になりそうだが、ブレイクしていなくても3975は日足レベルのレジスタンスになる。一方、3900をブレイクしてようとしてなかろうと3975を再びブレイクできれば再び上向きのチャートになる。今週は更にCPIとFOMCが控えており、それを首の皮一枚の状態で迎えるとリスク管理が難しくなってしまう。下値余地については再びナスダックが分かりやすく、再び日足リバース・ヘッドアンドショルダー右肩の10250がサポートになる。下値を掘ったケースの日柄は16日のOp Exが反転の目安となるか。

これより先はプライベートモードに設定されています。閲覧するには許可ユーザーでログインが必要です。


この記事は投資行動を推奨するものではありません。