SPX technical
 イベントフルな週間をS&P 500は下落で通過した。米国CPIは順調に収束コースに乗っており、世間のCPIガチャはまたしても成功して指数は上値を試したが、翌日のFOMCを通過すると出尽くし、更にそれでも何とかイベント通過のヘッジ外しもあって首の皮が繋がっていたところに更に、ECBがタカ派サプライズを放り込んでぶち壊しにした。FOMCは「サプライズリレーを繋げられなかった」という意味では株価が下落するイベントだったが、特段前日までの上昇を台無しにするほどタカ的だったわけではなく、少なくとも最もFedに近い金利市場はFOMCを全く無視している。従って金利市場を飛ばして株式指数が下落したのはFedの政策金利パスの織込みが修正されたためではなく、あくまでも株式自体のリスクプレミアム拡大である。先週の記事で取り上げていた「金利低下にもかかわらずS&P 500はダラダラと下げ続けており、どうもデフレーショナリーな値動きに見える。ISMが悪かったのを引きずっているのか、そうだとすれば今までグッドニュースがバッドニュースだったのが、バッドニュースもバッドニュースになった」流れが継続していることになる。「パウエルが株式の上昇を見ると怒る」という安直な見方でFOMCガチャに突入した市場参加者も棚ぼたを喜べたことだろう。
BofA equity fund flows
 フロー・ポジショニングはこれだけ流れて来たが直近は株式ファンドが資金流入超となっている。ポジショニングはベア域から少し回復、CTAは上げの勢いが止まったことから買い止めというこれまでの構図は大して変わっていないだろう。Volコントロールも先日の1日2%の下落を受けてしばらく買えなくなりそうに見える。
BofA FMS sector weight
 FMSはセクターウェイトだけ流れて来た。こちらはまだ株全体で見てもアンダーウェイトであり、またディフェンシブに寄っている。
BofA monthly SP500 returns
 月次のシーズナリティでは次の1月は堅調であるが、そもそも12月も堅調だったはずだ。そして1月の議論の前に今週からブラックアウト期間に入る。
NAAIM
 NAAIMはこの値動きにもかかわらず8月以来の高さとなっている。ここまでは安直なNAAIM逆張りを試みて来なかったが、さすがにこれは3900 -4100の高値圏レンジで強気ポジションが構築されていたことを示唆するのではないか。
LQD
 LQDは堅調でありS&P 500を大幅にアウトパフォームしており、少なくともLQDはFOMCで怒られていないし、債券投資家はFOMCなどに耳を貸す必要が全くないと強く自信を持っていることが分かる。LQDの堅調さは先週の記事でも取り上げており、その記事の表題にもなった株の債券ラリーからの脱落について「インフレの退潮からデフレまで意識されると今まで株式対比で割安化してきた債券が再びアウトパフォームするようになるシナリオも分かるものの、それは果たして「今」なのか」と半信半疑だったのだが、今週を経てやや確信度が高まっている。CPIを経て金利がもう上昇しないと見るのは結構だが、かと言って債券そのものではなく、元々ERPがインフレ・レジーム入りでしか説明できないほど低い割高な水準で株式の放置を決め込んでよいとは限らない。

 テクニカルには先週の記事が多少ベア目線だったにもかかわらず、日足レジスタンスの3975を早速あっさり上にブレイクした。その上でCPIガチャに突入し、バッドニュースがなかったことから恐らく本ブログのようなライト・ベアが踏まされて更に上に飛んだものの、これまた先週の記事で取り上げていた4100レジスタンスに綺麗に当たって反落した形となる。その後、更に長らく水平サポートとしてワークしていた3900を下にブレイクした。週足は長い上ヒゲ陰線となり、4100レジスタンスはかなり頑強なものとなる。更に誰の目からも分かりやすい3900 -4100レンジからの下抜けが明瞭であり、3900より上ではポジション整理が優勢になりそうであるし、強気なNAAIMも合わせてモメンタムは下向きと見た方がよさそうである。木曜のこれまでの堅調地合いを台無しにした2%超えの下落は「翌日が小十字に近くなり、底打ちになるのが早くて3日目」パターンに入ったように見える。下向きモメンタムが解消するには下を叩いたところで買いにぶつかるか、或いはリアライズド・ボラティリティが低下して上下幅の小さな週足を一度作る必要がありそう。サポートはナスダックが分かりやすく、少し前のリバース・ヘッドアンドショルダーの右肩10250はさすがにサポートとなるだろう。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。