先週はマクロイベントが多すぎて捌き切れない中で日替わりの荒い値動きとなった。先週はマクロイベントベットを避けつつテクニカルでは「例えば最新の日足下ヒゲ4000さえもブレイクできないようでは売りは考えられない」「先週は4000より上を買わなくても3950までの押し目を待てたが、さすがに押し目は切り上がるか」「ショートカバーが続いているためやや買いが有利だがそれはあくまでもショートカバーであるとの認識を維持すべきである。堅かった3800を始点とするラリーをベアマーケットラリーと笑っていたカサンドラ達は既に焼かれつつある。ポジションを全部外してしまうとFOMO取りがFOMOになってしまう危険性を孕むが、4000近辺までドローダウンしてもストレスを感じない程度にはとどめたいものである」としていたが、まさに月曜から4000近辺までドローダウンした。しかし4000さえもブレイクできないようでは売りは考えられず、その後はほぼ一直線にナスダック主導でラリーした。先々週はともかく先週は必ずしもショートカバー主導とも言えなかったが引続き買いが有利でありカサンドラ達は更にこんがり焼けた。
4000を超える株高で迎えたFOMCではパウエル議長もいつものような牽制をして来なかったためナスダックが急騰した。S&P 500ベースではそれほど特異な上げ幅でもなかったが、ポリコレのディフェンシブからアンチ・ポリコレのナスダックへのシフトがえぐかった。続いてMETAが決算を無事に通過してナスダックは更に急騰した。ここで成功体験が積まれたのを受けて個人投資家からの1dayコール買いが殺到し、木曜は指数高・VIX高の筋の悪い高騰となった。そこへAAAの、少なくともMETAほどの祭りにはならない決算と、想定外によかった雇用統計を受けてナスダックは2%安で始まったが、そこに再び個人投資家の1dayコール買いが群がり一時全戻しした。AAA決算が出揃った時点でナスダック先物は▲2%に近付いていたため雇用統計のインパクトに限っては無傷であったとさえ言える。週間を通して機関投資家は静観か、持ち上がったところに利食いを入れて来るかのどちらかであったようである。
雇用統計を受けて今年中の利下げ織込みは大きく後退しており、本来株式相場にはもっとインパクトがあった(少なくとも昨年後半ならS&P 500の2%下落は堅かった)はずであるが、一旦個人投資家のコール買いに火が付くと押し目買いの勢いは激しかった。少なくとも金曜の前日比フラットまでの戻しは明らかに非合理的だったのだが、そういう地合いが1日で終わるとも思えないのでショートは分が悪いし、あえてショートポジションを取るなら米国時間以外に限定、少なくとも1dayコールを買いやすいNY午前は避けた方がよさそうである。
個人のコール買いが主導したオプションボリュームは空前の水準に達した。GSによると金曜は68mmのオプション契約が取引され、うち40mmがコール、28mmがプットであった。
木曜のナスダック急騰でHFのショートカバーが更に進み、GS PB顧客のショートカバーは前回取り上げた時より更に大きく加速した(このチャートは6年ぶりの水準となるが、z-スコアの6年ぶりは大して意味がない)。
決算はAAAを通過したので概ね終わったようなものである。全体的にどちらかというと滑りがちであったが、まだ滑った銘柄の方が若干上がりやすかった。
決算の代わりに今週はFed関係者のスピーチが続く。「株が上がるとパウエルが怒る」神話は2月FOMCで既に滅んでいるが、雇用統計を受けたトーン変化があるかどうかを慎重に見守りたい。
フォワードPERは18.4まで上昇しており、一時期よりだいぶ割高になっている。MSやJPMはもとよりバンカメもS&P 500の売りを推奨し始めた。
NAAIMはかなり楽観域まで進んでいる。バンカメのブルベア・インジケーターもベア域からかなり回復した。
テクニカル。これまでの水平レジスタンスだった4100は突破されており、中期的にかなり堅調なチャートとなっている。金融政策の不確実性が取れたので低ボラティリティ・レジームへの転換は正当化される。しかし直近の急上昇はリテールのコール買いに煽られたものでありやや筋が悪くなっている。金曜は金利に逆らって前日比プラス域に再チャレンジしようとしたものの、NY時間の昼頃には燃料切れになり日足が上ヒゲ陰線となった。4180~4200はさすがに一旦レジスタンスとなるか。一方、金利発の高ボラティリティ・レジームは終わりつつあるので、戻り売りがワークしにくい局面に差し掛かっているのは恐らく変わっておらず、押したところは買い場になりやすい。イメージとしては売り場が分かりやすくなる代わりに売っても値幅が出づらくなるか。3950、4000と押し目が上昇してきたので、素直に考えて次は4000前半を拾えるかどうか。レジーム再転換はMOVEの大幅な再上昇で判断することになる。サポートはこれまでのラリーの頭を抑えて来て今回突破されたのがレジーム・チェンジの証となる週足50SMAの4020、次に日足50SMAと200SMAがゴールデンクロスしている3950近辺か。日柄としては連銀スピーチ週間を経て中旬のCPIまではマクロイベントを回避し続けたい。少なくともNY夜間に、調整後はともかく高値圏から更にコール買いが湧くことは少ないだろう。コール買いでS&P 500が上がりつつVIXも上がる局面があればクラッシュ圧力が強まりそう。
これより先はプライベートモードに設定されています。閲覧するには許可ユーザーでログインが必要です。
この記事は投資行動を推奨するものではありません。