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SPX technical
 先週のS&P 500はやや調整色が目立った。「"株が上がるとパウエルが怒る"神話は2月FOMCで既に滅んでいるが、雇用統計を受けたトーン変化があるかどうかを慎重に見守りたい」としていた火曜のパウエル・スピーチは株式ラリーの敵・カシュカリと合わせてもハウキッシュ・イベントにならなかった。既に滅亡した「株が上がるとパウエルが怒る」神話がキョンシーになって復活すると期待してはいけなかったのである。ただその日は先週の天井となった。「4180~4200はさすがに一旦レジスタンスとなるか」としていたが現実に先週の高値は4176となった。個人投資家の0DTEが荒れ狂ってもテクニカルには勝てなかったようである。MSFTがChatGPTをBingに搭載するとのヘッドラインでAIバブルへの期待が話題になったものの、水曜には既にMSFTは日足上ヒゲ陰線となっており、週後半はテックの利食いが優勢になった。木曜はドイツCPIがインラインで海外時間に上げて始まったが寄り天大陰線となり、一方金曜は小さな寄り底になっている。全体的には0DTEに警戒しつつもどちらかというと調整が優勢な展開になった。安値の方は「3950、4000と押し目が上昇してきたので、素直に考えて次は4000前半を拾えるかどうか」としていたが安値は4060と4000前半には届かなかった。
DB consolidated positioning
 DBの統合ポジショニングは2022年年初の水準まで戻って来た。
Bloomberg JPM Future positioning
 JPMは先物ポジショニングを基にHFとAMは先物ベースでは既にショートからニュートラルまで戻していると論じる。とはいえ先物はポジショニングのごく一部でしかない。
GS CTA position
 GSのCTAポジショニング推定は更にCTAは既にショートカバーがマッシブまで進んだことを示唆する。

zerohedge GS Short basket
 GSのショートバスケットは2月初頭は大幅に踏まされたものの、先週に限ってはむしろアンダーパフォームしており、これはニューショートも入っていることを示唆する。ということはそれでもナスダックが上がったのはニューロングも入っていることを示唆する。機関投資家のショートカバーはやはり概ね終わっていると判断できる。ここから一段と機関投資家の買いが伸びるとすれば、債券と株式の逆相関回帰に伴ってまだ多めのキャッシュを積んでいる裁量投資家のポジション復元が考えられるが、果たして今それをやるのか。
WSJ DB call option volume
JPM small costumer call options
Vanda Research Retail flows
 メガテックを中心にコールオプションの取引額が急増しているのをWSJも取り上げ始めた。パンデミック最中と比べると過剰貯蓄は減っているし流動性も引き揚げ中なので2021年ほどの祭りにはなりづらいと思えるが、少なくともこの流行は直近まで続いており、今週終わるとは簡単に断言できない。Insider Transactions Ratio
 インサイダーの売りは1月末対比ではやや勢いが衰えているが依然続いている。
MS forward EPS
 フォワードEPSは低下し続けている。ところどころEPSが反発しそうなテーマも見られるものの、今のところボトムアップアナリストは特に上方修正していない。直近の3.3%台から3.7%までの金利上昇もあってS&P 500のバリュエーションはかなりストレッチ(ERPは縮小)しているように見える。逆相関が戻って来たとはいえ、ここまで割高だとS&P 500ブルにはある程度の金利ブルが含まれていると見なさざるを得ない。
Non recession
Trahan macro research soft landing talk
GS Kostin
 一方トップダウンでは年初からノン・リセッションへの期待が急速に盛り上がっており、GSなどはソフトランディングを理由に市場を後追いする形で年末のS&P 500ターゲットを3600から4000まで引き上げている。この雰囲気は金利上昇と株式の債券に対するアウトパフォームに繋がった。ノン・リセッションはインフレ―ショナリーでもあるものの、インフレ―ショナリーな流れが来つつ、パウエルFedがハトスタンスを崩さないという、いいとこ取りの時間帯になっている。
T1Alpha Vol Structure
 CPIもやや上振れしやすい流れになっており、14日の1月CPIを少なくとも高値圏で迎える気は起きない。一方で短期のImplied Vol期間構造ではCPIがまだ警戒されたイベントとなっており、もし無事に通過して1日2%以上のクラッシュが見られなければまだまだ押し目を買える地合いが続く。
Seasonality Feb
 シーズナリティは2月後半はかなり弱い場面とされている。CPIの後にはOp Exも控えており、日柄はリスクテイクを正当化しない。つまりCPIがミスせず相場がラリーしたとしても深追いするほどではない。
NAAIM
 NAAIMも値動きが利食い優勢だったにもかかわらず2022年通年で見ても高い水準まで続伸しており、こちらも高値追いを正当化しない。
LQD HYG
 3.75%近辺までの金利上昇に株式はほとんど影響を受けなかったが、LQDとHYGは一足先に売られている。これも高値追いを正当化しない。
VIX
 VIXは週間を通してじりじりと上昇した。コール買いが続くと低ボラティリティ・レジームへの遷移が阻害される。じり高になればレバレッジを積み増して付いて行く場面だが、今のところ高値圏で鉄火場が続く。金利は今のところ静かに上昇しているだけであるが、もしMOVEが一段と跳ねる場面があればVIXは更に下がりづらくなるだろう。

 テクニカルには週足が上ヒゲ陰線となった。もっとも下ヒゲも生えているためそこまでベアというわけでもなく、上ヒゲの4175に近付いたら一旦リスクを落とした方が安全という程度である。下を売るといいことがないのは続いているし、上ヒゲに近付いても、ショートは0DTEに焼かれたらアホらしいので引続き米国時間午前を避けた方がよさそうに見える。1日2%以上の下落はありそうでまだなく、それが見られたら2営業日は買いを我慢した方がよさそう。一旦は4000近辺 -4175のレンジ感が強まるか。「売り場が分かりやすくなる代わりに売っても値幅が出づらくなるか」は続いていると考えている。

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この記事は投資行動を推奨するものではありません。